【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

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3章 魔獣と神々

21. 右手

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 ボウッ!
 轟音とともに、光が通過し、私を押し退けたコロネの身体が光に呑まれた。

 意味がわからなかった。

 気がついたその時には、レイスリーネの技から私を庇おうとコロネが私を突き飛ばしていたのだ。

 一条の巨大な光が通過したそのあとには……

 ボトリ。
 無情にも私を押しのけた右腕だけがその場におち、コロネの身体は跡形もなく消えた。
 そう一瞬で。

 私を押しのけた右手だけが、残ったのだろう。
 呑み込まれた身体は全て消し飛んでいたのだ。

 レイスリーネの技の後にはえぐれた神殿の床と、何もない空間が広がるばかり。




 意味がわからない。
 なんでレイスリーネが私を攻撃してきた?
 そして、コロネが私を守ろうとして……そして死んでしまった。


 嫌な予感なんてしなかったはずだ。
 なのにコロネは死んでしまった。

 嘘だ。こんなのあり得ない。

 一瞬惚けてしまった私の身体をリリが引っ張り、レイスリーネの第二波をすんででかわす。

「ネコっ!!しっかりしてっ!!
 守護天使全員おかしい!!急に念話きられたっ!!

 全員操られてるっ!!!」

 リリが叫んだその瞬間。

 がっ!!!!

 アルファーが私に攻撃してきて、身体が無意識にそれをかわす。

「操られてるってどういうことだっ!!」

 アルファーに構えつつ、リリに叫べば

「わからないっ!!急に何か別の女の意志がはいってきて、三人とも意識とられた!!」

 と、リリ。

 その時だった。

「はーい。猫ちゃんはじめまして。
 守護天使達は私がもらっておくから、ここで死んでくれる?」

 どこからともなく声が聞こえる。
 この声は聞き覚えがあった。異界の女神のクリファと魔王達の会話中にいたもう一人の女神だ。

 声はどこからか聞こえるが、姿は見えない。
 魔力察知で辺を探るがそれらしい姿もない。
 どこかに隠れているのか遠隔操作しているのか。

 なるほど。異界の女神が守護天使を操っているということか。
 くそっ。守護天使達は一度女神と接触していたのだから、操られる可能性も考慮にいれておくべきだった。

 私はキッと、レイスリーネの方を睨みつければ、間入れず突っ込んできたアルファーの剣を受け止める。

 もしコロネが私を弾き飛ばしていなかったら、消し炭になっていたのは私の方だっただろう。
 私はコロネの右腕を速攻石化して、いつでも生き返らせられるようにしたあとアイテムボックスに放り込む。

「ネコっ!!!」

 アルファーと剣を交える私にリリが助けに向かおうとこちらにダッシュして向かうが、それをレイスリーネに阻まれる。
 実力的にはリリちゃんの方が上だがレベル的にはレイスリーネの方が上だ。
 こちらに援護はこれないだろう。

 ――いや、むしろ。

 私がリリの援護に行かなければいけない。
 まずはレベル補正で倒しやすいリリの方にターゲットを決めたようで、アルファーが私にコマメな斬撃で私のスキル発動を防ぎ、ファルティナとレイスリーネがリリを倒すつもりだ。
 
 リリにファルティナとレイスリーネの二人かかりで襲いかかっている。
 なかなかどうして!!仲間だけにこちらの手の内をわかってるからやりにくい!!!
 リリちゃんはレベル補正で攻撃がきかない&二人相手で押される一方。

 せめてこれでコロネがいれば話は別なのに!!

「アハハハ。どう?どう?仲間にやられる気分は?」

 どこから聞こえる声。
 ああ、くそう。せめて姿さえ見せてくれれば瞬間移動で倒せるのに。

 以前アルファーと戦った事はあったが、あの時は圧倒的なレベル差があった。
 だが今度は同レベルだ。

 アルファーと私の力はほぼ互角。

 そしてアルファーは普段はお馬鹿キャラだが戦いに関しては正確な読みをしている。
 切り抜けるのはなかなかどうして難しい。

 でも、死ぬわけにはいかない。
 アイテムボックスの中にコロネがいるのだ。
 私が死んだらコロネも死ぬ。

 それにリリちゃんも助けないと!!

 アルファーは斬撃でことごとくこちらのスキルを潰しにきている。
 恐らくリリを始末したら、3人で一斉に私を倒すつもりなのだろう。

 守護天使かれらを強くしたことが裏目にでてしまった。

 私は足を大地につけると、そのまま、詠唱していた魔方陣を足のブレスレッドで発動させようとするが……それを見越してアルファーが足元めがけて攻撃してくる。
 飛び越えて避けるしかなく、魔法陣の発動が邪魔される。

 ああ!!!やりにくいっ!!

 私がアルファーに鈍間の魔法を発動しようとしたその瞬間。

 ドゴォォォォォン!!!

 物凄い爆音をたてて、レイスリーネの最大級の火力技が炸裂した。
 私が見たその時には……そこに広がるのは巨大なクレーターだけで……リリの姿はない。

 そう。どこにも。

 魔力察知をしても、リリちゃんの反応がないのだ。

「うそ……だろ?」

 私が言えば、上空から勝ち誇った声が聞こえ

「さぁ、あとは貴方一人だよ?猫ちゃん」

 声の方を見上げればそこに居たのは――クリファによく似た格好のツインテールのロリ女神だった。
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