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3章 魔獣と神々
6. 自己犠牲厨
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――見つけた――
自爆して、その身体を破壊しても、すぐさま回復してしまう魔獣のその肉片が飛び散るなかで、コロネは本に記載されいたイラストと同じ心臓核を見つける。
恐らく、これだけダメージを与えたのだから、このあと核が細胞を作り出し、魔獣の身体を飲み込もうとするだろう。
その時に、自分を飲み込ませれば、心臓核はコロネの身体の一部となり、硬質化のスキルでコロネと共に、硬質化させられるようになる。
細胞に触れば、自分の意識を保っていられる時間はそう長くない。すぐに魔獣に意識を乗っ取られる。
心臓核こそが、魔獣の本体なのだから。
勝負は一瞬。
自分が意識を保っていられる瞬間に、硬質化のスキルを使用できなければ、コロネ達の敗北が決定する。
絶対に失敗はできない。
コロネが思ったその瞬間。
ヒュン。
何故か心臓核とコロネの間に。
私が姿を表した。
「――は?」
意味がわからず固まるコロネ。
私はそんなコロネに構うことなく、アイテムボックスから取り出していた魔法陣の書かれた布で心臓核を包むと
『永遠の苦渋!!』
トラップを発動するのだった。
▲△▲△▲△
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
魔獣だかレオンだかの断末魔を思わせる悲鳴が辺に響いた。
心臓核がトラップによって継続的に攻撃をうけることで、レベル1の細胞はすぐ死んでしまい、超回復が不可能となったのだ。
ごすんと、布に包まれた心臓核が大地におちる。
心臓核の消失――つまり、コロネの自爆魔法によって破壊された部分は回復することはない。
本に記載されいた通り、身体の内部は弱かったようでほとんど身体がバラバラにされた状態の魔獣レオンは、そのまま倒れ込む。
私は、いまだ事態が把握できず固まってるコロネをそのまま抱きかかえると、地面に着地した。
流石に義手の右腕は復活の指輪や呪文では回復しなかったのか、右腕を失った状態でボロボロの衣服に身を包んだコロネがポカンと倒れた魔獣を見つめている。
「……コロネ」
私がジト目でコロネの名を呼べば……
引きつった笑みを浮かべてコロネが私の方に視線を向ける。
うん。どうやら怒られるのは自覚していたらしい。
「この自己犠牲厨!!!死にたがり!!!馬鹿でアホの大間抜けっつ!!!!
なんで私に相談しないで勝手に死のうとしたんだ阿呆っ!!!」
ぶんぶんっと首根っこを捕まえてふってみせる。
「すすすすっすすすすびませんっ!!」
頭をがくがくされながらコロネが震えた声で謝るが許してやらん。
うん。私とリリに相談すれば速攻で却下されるから相談しなかったのはわかる。
だけど、相談してれば命なんか投げ出す事なく、私の罠であっさり無効化できたのだ。
継続的にダメージを与えるトラップがあるんだから。
それなのにコロネが死んでたら、悔やんでも悔やみきれない。
守護天使達も守護天使達だ。
マスターは私のはずなのに何故コロネの方を優先したのか。
マスターの私に一言報告すべき案件だろう。
じろりとアルファーとファルティナを見やれば、二人とも露骨に視線をそらした。
くっそー。あとでじっくり御仕置きだ。
「ゴ ろ ね……」
声の方にふと、見やれば……レオンの顔部分だけが、地面に落ち、いまだ意識があるのか言葉を発していた。
「猫様、少しだけ宜しいですか?」
真面目な顔をして問うコロネを、私は仕方なく解放してやる。
すでに肉片になってかろうじて生きている状態のレオン。
その顔にはすでに生気はない。
コロネがその前に立つが……レオンの焦点はすでにあっておらず、ひたすらコロネの名前を呼んでいる。
「何故たかがNPCごときと馬鹿にしていた私に執着するのかはわかりませんが……。
不愉快です。さっさと逝きなさい」
言って、炎でレオンを燃やすのだった。
▲△▲△▲△
ごぉぉぉぉぉ!!
リリのブレスが魔獣セファロウスの散った肉片などを片っ端から燃やしていく。
でないと、核が生きている以上、肉片と核が結びついてしまえばまたセファロウスが復活するからだ。
マリアベルやデューク、そしてマナフェアスの顔も、片っ端から燃やした。
どうやら連れ去られたプレイヤー全員が魔獣セファロウスと合成されてしまったらしい。
民衆の前で裁くということができなくなったが、死体を残しておいてまた魔獣セファロウスが復活してしまうほうが一大事だ。
「に、しても、コロネもアルファーもファルティナも、この死体処理が終わったらお説教だからな。
忘れるなよ」
私が死体処理しつつ、ジト目で言えば三人とも項垂れる。
うん、有耶無耶にできると思ったら大間違いだ。
にしても、あとでメンバー全員できる技やスキルを改めて全部確認したほうがいいな。
でなければ、メンバーのスキルや技で何とかなったのに、コロネが勘違いして、また自己犠牲行為にでないと限らない。
死にたがりか。本当に。
レイスリーネは石化してたので、特に私とリリの邪魔をしなかため無罪放免となっている。
火力の高いレイスリーネは死体処理にむいてたらしく、人一倍死体処理を頑張っていた。
『これで最後? いくよー』
リリが最後の肉の塊をブレスで燃やし、死体処理が完了したその時。
パシィィィィン
なぜか布で包んでいた魔獣セファロウスの心臓核が粉々に割れる。
「……へ?」
私たちが呆然とそれを見ていると
≪魔獣セファロウスの再来イベントをクリアしました≫
と、システムメッセージが流れる。
「……へ?これイベントだったの?」
私が疑問符を浮かべていると
「……?どうかなさいましたか?」
とコロネが尋ねる。
そういえばコロネ達はシステムメッセージ聞こえないもんね。
≪また隠しクエスト『心臓核の破壊』もクリアしたため、特別ボーナスが付与されます≫
≪隠しクエストクリアにより特殊イベントが開始されます≫
≪これよりコロネ・ファンバードの過去イベントへ突入します≫
は?コロネの過去!?
私が思ったその瞬間。
そのシステムメッセージとともに――私は意識を失うのだった。
自爆して、その身体を破壊しても、すぐさま回復してしまう魔獣のその肉片が飛び散るなかで、コロネは本に記載されいたイラストと同じ心臓核を見つける。
恐らく、これだけダメージを与えたのだから、このあと核が細胞を作り出し、魔獣の身体を飲み込もうとするだろう。
その時に、自分を飲み込ませれば、心臓核はコロネの身体の一部となり、硬質化のスキルでコロネと共に、硬質化させられるようになる。
細胞に触れば、自分の意識を保っていられる時間はそう長くない。すぐに魔獣に意識を乗っ取られる。
心臓核こそが、魔獣の本体なのだから。
勝負は一瞬。
自分が意識を保っていられる瞬間に、硬質化のスキルを使用できなければ、コロネ達の敗北が決定する。
絶対に失敗はできない。
コロネが思ったその瞬間。
ヒュン。
何故か心臓核とコロネの間に。
私が姿を表した。
「――は?」
意味がわからず固まるコロネ。
私はそんなコロネに構うことなく、アイテムボックスから取り出していた魔法陣の書かれた布で心臓核を包むと
『永遠の苦渋!!』
トラップを発動するのだった。
▲△▲△▲△
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
魔獣だかレオンだかの断末魔を思わせる悲鳴が辺に響いた。
心臓核がトラップによって継続的に攻撃をうけることで、レベル1の細胞はすぐ死んでしまい、超回復が不可能となったのだ。
ごすんと、布に包まれた心臓核が大地におちる。
心臓核の消失――つまり、コロネの自爆魔法によって破壊された部分は回復することはない。
本に記載されいた通り、身体の内部は弱かったようでほとんど身体がバラバラにされた状態の魔獣レオンは、そのまま倒れ込む。
私は、いまだ事態が把握できず固まってるコロネをそのまま抱きかかえると、地面に着地した。
流石に義手の右腕は復活の指輪や呪文では回復しなかったのか、右腕を失った状態でボロボロの衣服に身を包んだコロネがポカンと倒れた魔獣を見つめている。
「……コロネ」
私がジト目でコロネの名を呼べば……
引きつった笑みを浮かべてコロネが私の方に視線を向ける。
うん。どうやら怒られるのは自覚していたらしい。
「この自己犠牲厨!!!死にたがり!!!馬鹿でアホの大間抜けっつ!!!!
なんで私に相談しないで勝手に死のうとしたんだ阿呆っ!!!」
ぶんぶんっと首根っこを捕まえてふってみせる。
「すすすすっすすすすびませんっ!!」
頭をがくがくされながらコロネが震えた声で謝るが許してやらん。
うん。私とリリに相談すれば速攻で却下されるから相談しなかったのはわかる。
だけど、相談してれば命なんか投げ出す事なく、私の罠であっさり無効化できたのだ。
継続的にダメージを与えるトラップがあるんだから。
それなのにコロネが死んでたら、悔やんでも悔やみきれない。
守護天使達も守護天使達だ。
マスターは私のはずなのに何故コロネの方を優先したのか。
マスターの私に一言報告すべき案件だろう。
じろりとアルファーとファルティナを見やれば、二人とも露骨に視線をそらした。
くっそー。あとでじっくり御仕置きだ。
「ゴ ろ ね……」
声の方にふと、見やれば……レオンの顔部分だけが、地面に落ち、いまだ意識があるのか言葉を発していた。
「猫様、少しだけ宜しいですか?」
真面目な顔をして問うコロネを、私は仕方なく解放してやる。
すでに肉片になってかろうじて生きている状態のレオン。
その顔にはすでに生気はない。
コロネがその前に立つが……レオンの焦点はすでにあっておらず、ひたすらコロネの名前を呼んでいる。
「何故たかがNPCごときと馬鹿にしていた私に執着するのかはわかりませんが……。
不愉快です。さっさと逝きなさい」
言って、炎でレオンを燃やすのだった。
▲△▲△▲△
ごぉぉぉぉぉ!!
リリのブレスが魔獣セファロウスの散った肉片などを片っ端から燃やしていく。
でないと、核が生きている以上、肉片と核が結びついてしまえばまたセファロウスが復活するからだ。
マリアベルやデューク、そしてマナフェアスの顔も、片っ端から燃やした。
どうやら連れ去られたプレイヤー全員が魔獣セファロウスと合成されてしまったらしい。
民衆の前で裁くということができなくなったが、死体を残しておいてまた魔獣セファロウスが復活してしまうほうが一大事だ。
「に、しても、コロネもアルファーもファルティナも、この死体処理が終わったらお説教だからな。
忘れるなよ」
私が死体処理しつつ、ジト目で言えば三人とも項垂れる。
うん、有耶無耶にできると思ったら大間違いだ。
にしても、あとでメンバー全員できる技やスキルを改めて全部確認したほうがいいな。
でなければ、メンバーのスキルや技で何とかなったのに、コロネが勘違いして、また自己犠牲行為にでないと限らない。
死にたがりか。本当に。
レイスリーネは石化してたので、特に私とリリの邪魔をしなかため無罪放免となっている。
火力の高いレイスリーネは死体処理にむいてたらしく、人一倍死体処理を頑張っていた。
『これで最後? いくよー』
リリが最後の肉の塊をブレスで燃やし、死体処理が完了したその時。
パシィィィィン
なぜか布で包んでいた魔獣セファロウスの心臓核が粉々に割れる。
「……へ?」
私たちが呆然とそれを見ていると
≪魔獣セファロウスの再来イベントをクリアしました≫
と、システムメッセージが流れる。
「……へ?これイベントだったの?」
私が疑問符を浮かべていると
「……?どうかなさいましたか?」
とコロネが尋ねる。
そういえばコロネ達はシステムメッセージ聞こえないもんね。
≪また隠しクエスト『心臓核の破壊』もクリアしたため、特別ボーナスが付与されます≫
≪隠しクエストクリアにより特殊イベントが開始されます≫
≪これよりコロネ・ファンバードの過去イベントへ突入します≫
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