【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

文字の大きさ
上 下
112 / 187
2章 人間領へ行くことになりました

29.密偵

しおりを挟む
「コロネ様は一緒ではないのですか!?」

 レベル上げ時。マルクさんとその側近の3名。そしてレヴィンとあと二人のコロネの密偵を連れて行けば開口一番に言ったのはレヴィンだった。
 ちなみにリリも、誰がマルクさんに敵対心があるか探るため心を読む必要があるのでコロネについていった。
 コロネは嫌がったのだがリリが役立つっ!!と張り切ってついていってしまったのだ。
 まぁ、コロネもアルファーもいるし大丈夫だろう。

「何故コロネ様が一緒ではないのでしょう?」

 と、大事な事だったのかレヴィンが二回目を言えば

「避けられたんだろ」

「うん、避けられたな」

 と、他二名のコロネの密偵が速攻突っ込む。

 確か名前はノーヴェとブラン。
 どちらも若い美形のエルフと人間のハーフだ。赤い髪と青い髪の青年で、人間領では姿を人間に変えて活動しているらしい。

「なぜっ!?」

 本気で信じられないという顔のレヴィンに

「お前の愛が重すぎるんだろ」

 と、ノーヴェ。

「愛というかあれは嫌がらせレベル」

 とブラン。

「しかし相手はコロネ様ですよ!?
 エルフの大賢者であるコロネ様をお慕いするのが全生物の義務でしょう!?」

「いや、その発想がもうキモイ」

「どうしてお前は一人ファザコンをこじらせたかな。
 そこまで重度なのはお前くらいだぞ」

 と、ジト目で見る二人。

 ……うん。コロネが一瞬嫌そうな顔をしたのがいまわかったわ。
 そういえばレヴィンって重度のコロネ信者だったもんな。
 私たちと一緒の時はわりと普通の人だったがコロネがいると違うのかもしれない。
 一緒に行動したくなかったのだろう。 
 まぁコロネも人の事言えない気がしなくもないが。
 てか変態化したコロネとほぼ同じような事を言ってるのは気のせいではないはずだ。
 それに、ファザコンってどういう意味だろう?
 まさか密偵全員がコロネの子供でした✩とかいうオチなのだろうか。
 結婚はしてないと聞いたが子供がいないとは聞いていない。
 未婚の子沢山もありえないことではないのだ。

 え、マジで。それはちょっと勘弁してほしい。
 コロネのイメージが変わってしまう。

「ファザコン?」

 私が聞けばマルクさんが柔和な笑を浮かべて

「一時期、孤児院を運営していたのですよ。あの子達は全員孤児だったのをコロネが引き取りました」

 と、答えてくれる。
 ……ああ、なるほど。びっくりした。
 そうだよね、300年も生きてるのだから、孤児の子達がここまで成長しててもなんら問題ないわけで。
 3人のノリがなんとなく友達感覚なのもそのためなのか。

「へぇ、孤児院なんてやっていたんだ」

「ええ、あの子達はハーフエルフや竜人といった一時期忌み子として、差別されてしまった子達ですから。
 誰も引き取り手がいなかったのですよ」

 と、マルクさんが目を細める。

 ハーフエルフが差別って……そういえばイベントのテオドールもそんなような事言ってた気がしなくもない。

 ……にしてもその論理でいくと、マルクさんも差別されていたのだろうか。
 実は以前鑑定したことがあったのだが、マルクさんもハーフエルフなのだ。

 私がチラリと横目で見れば、ナイスミドルなマルクさんがにっこりと微笑む。

「はい。私もコロネに助けられた一人です。
 人間の血の方が濃いため、あまり見分けはつきませんが」

 私の心を読んだかのように答え、マルクさんが遠くを見つめる。
 きっと私の知らないハーフエルフ達の歴史があるのだろう。

 この世界は純朴だと思っていたが、やはりどの世界でも差別や偏見はあるのかもしれない。
 私はこの世界をいい世界だと思い込んでいた事を反省するのだった。

 ▲△▲

「それにしても本物の猫さんに会えるなんて、思ってもみませんでした」

 レベル上げの休憩中。ノーヴェが感激と言わんばかりの表情で言う。

「え?なんで?」

「猫まっしぐら様と言えば、孤児院ではもうヒーローだったんですよ?
 コロネ様が毎週活躍を聞かせてくれましたから。
 子供達はこぞって猫様ごっこしてたくらいですし」

 と、ブラン。
 何でもヒーロー役が私でコロネ(役)を守りつつ魔獣を倒すというヒーローごっこをよくしていたらしい。
 何その羞恥プレイ。マジ恥ずかしいんですけど。
 あんの野郎子供たちに何吹き込んでるんだ。

「コロネ様の言った通り、本当に強いですね。動きが見えません」

 感動した声で言うブラン。

「いや、それはレベル差のせいだろ。同レベルなら3人とも私より強いんじゃないか。
 勝てる気がしないんだけど」

 と、私。特にレヴィンが同レベルだった場合怖い。
 アルファーすら気配に気付かなかったほどだし。
 私は結構殺気を感じて避けてる部分もあるので気配を感じ取れないのは正直つらい。

「猫様、恐らく気配を消した事を心配しているのでしょうが、あれは闘う気がないから出来たことですよ。
 もし戦いになれば、流石に殺気は押し殺せません」

 まるで見透かしたかのようにレヴィンが言う。

「そういうものかな?私も習えばできるのか?」

 と、私が言えば、三人が顔を見合わせる。

 うん。なんだろうこの間。

「猫様はその……感情が読みやすいというか」
「私たちは小さい頃からコロネ様のお役に立つために努力をしていたので、幼い時から修行して身に付けた術ですし」
「これ程何を考えてるのが顔に出やすい人ははじめてですから……」

 慎重に言葉を選びつつ言う三人に、私は察した。

 はい。無理なんですね。わかりました。
 どうせ私は感情が顔にでやすいですよすみません。

 と、私はちょっといじけるのだった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

『おっさんが二度も転移に巻き込まれた件』〜若返ったおっさんは異世界で無双する〜

たみぞう
ファンタジー
50歳のおっさんが事故でパラレルワールドに飛ばされて死ぬ……はずだったが十代の若い体を与えられ、彼が青春を生きた昭和の時代に戻ってくると……なんの因果か同級生と共にまたもや異世界転移に巻き込まれる。現代を生きたおっさんが、過去に生きる少女と誰がなんのために二人を呼んだのか?、そして戻ることはできるのか?  途中で出会う獣人さんやエルフさんを仲間にしながらテンプレ? 何それ美味しいの? そんなおっさん坊やが冒険の旅に出る……予定? ※※※小説家になろう様にも同じ内容で投稿しております。※※※

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

処理中です...