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1章 異世界に召喚されました
61話 パワースポット
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「に、してもどうしたんだあの兄ちゃんは……」
私がエルフの女王に貰った剣を眺めつつニマニマしているとグラッドさんが気味悪そうに呟いた。
「ああ、あまり気にしないでください。猫様の至福の時間というだけのことですから」
義手の微調整を行いつつ、コロネがため息まじりにそうつぶやく。
結局あのあと、エルフの女王からお礼を言われ、ブラッド作装備を沢山もらい、コロネの義手を完璧に調整するために、グラッドさんの魔道具屋に戻ってきたのだ。
に、しても流石エルフの女王だけあって、こちらのリサーチが完璧らしく、どんな趣味の武器が私の中二病心をくすぐるのかわかっているらしい。
もらった武器全てが、私の好みばかりだったので、もうホクホク気味である。
ちなみにリリちゃんも美味しそうなお菓子をいっぱい貰っていた。
流石王族、リサーチ力が半端ない。
しかしもらった武器は後でちゃんと額縁にいれて、ギルドハウスに飾っておこう。
……と、考えて、ふと気づく。
そういえば、ゲームじゃないんだからギルドハウス入れないんだった。
無意識にゲーム感覚になってるところがあるので気を付けないと。
そんなことを考えていれば
「ふーはっはっはっは!
我が名は魔王リリ✩勇者よ!!全力でかかってくるがよいっ!!
相手をしてやるっ!!」
と、黒いマントに身を包んだリリがバタバタと廊下を通り過ぎ
「まおうーたおすー!!」
と、おもちゃの剣をもったロロちゃんがそれを追っていく。
相手をしてやるっ!と言いつつ、逃げる魔王というのはなかなか斬新ではあるが、子供の遊びに整合性を求めてはいけないのだろう。
てかリリちゃんが楽しそうなのでそれはそれでよしとする。
そんな中
「父さん」
と、ひょこっとルーベルト君が空いたままの扉から入ってくる。
「ああ、どうだった?」
「はい。大賢者様の自宅前は凄い人だかりでした。
猫様や大賢者様やリリちゃんを一目見ようと大挙して人が押し寄せている感じです。
家に近づけませんでした」
と、しっかりした口調で話す。
まだ小学生の高学年くらいの見かけなのに随分しっかりとした男の子だ。
……にしても、人が押し寄せているととか。それはやばい。
ありがたやーとか言われるのはマジ勘弁して欲しい。
「えーーー。自分そういうの苦手なんだけど」
うんざりしたように私が言えば、
「そりゃお前、祭り会場に居た全員の命を助けたとなれば、街中の連中が一言礼をと集まるのも仕方ないだろう。
エルフは神の教えに従順だ。礼を言うのが経典の教えだからな」
と、グラッドさんが呆れたようにかえす。
「でも、すごいですね!猫様に大賢者様!
魔族を倒したんですよね!
伝説にでてくる魔族といえば天界の天使でも倒すのが難しいという話なのに」
ルーベルト君が少年特有の憧れの眼差しでキラキラと見つめてくる。
くっ!?元ヒキオタニートに少年の羨望の眼差しとかきついんですけど!?
「えー、まぁ、ほらプレイヤーはレベルが高いからできたっていうか?
そんな凄いことじゃ」
私が言えば
「そう!
ネコすごい! どんな強い敵でも あきらめない!
いつも倒しちゃう!」
いつからそこに居たのかエッヘンとリリちゃんが胸をはって言う。
いつの間にか魔王の格好から魔法少女っぽいひらひら服に変更になっていた。
「あーリリちゃんダメだよ!
魔王が魔法少女に変身するシーンでいなくなちゃ!!
このあと皆で楽しくお鍋をつついて闘うシーンだよ!」
と、テケテケと同じような魔法少女の格好をしたサラちゃんがリリを迎えにくる。
って、リリちゃんたちの勇者ごっこは一体どんなストーリーが展開されているのだろう。
物凄く気になるのは私だけだろうか。
「そうだった! リリ遊んでくる!」
言って嬉しそうにサラちゃんに連れられてくっついていくリリ。
「お兄ちゃんも!
まだ生徒会長の役がだれもいないの!」
と更にルーベルトの手を引っ張っていくサラちゃん。
ルーベルト君は名残おしそうに、コロネの方を見ているがサラちゃんは容赦なく連れていってしまう。
……にしても、やっぱり気になる。
魔王に勇者に魔法少女に生徒会長ってどんなストーリーなのだろう……。
リリ達についていこうか葛藤する私をよそに
「それにしても困りましたね。これでしばらく家にもどるのは難しいでしょう」
コロネがため息をつきながらいい
「一回、お披露目したほうがいいんじゃないのか。
適当に手を振っておけば街の連中も満足するだろ」
グラッドさんがトンデモないことを言い出す。
「嫌だ!そんな事恥ずかしすぎて悶え死ぬ!!」
「にしてもなぁ、放っておけば、コロネの家が勝手に神格化されて、巡礼コースに組み込まれかねないぞ」
「ええっ!?」
なんだよその巡礼コースって!?
パワースポット的な何かか!?
「それは困るかなぁ……」
私が言えばその言葉とカブセ気味に
「猫様のためならば!引っ越せばいいだけの話です!
むしろあそこは猫様を崇め奉る神殿にっ!!!
そうすれば猫様も街の住人もどちらも幸せになれます!!
このコロネ・ファンバード命にかえてもあそこを聖地にしてみせましょう!」
と、コロネがバッと手を掲げて何故か張り切り出す。
ちょ!?何言ってるんだこいつ!?
やべぇ、放っておいたほうがやべぇ。
変態のコロネが何しでかすかわからない。
変態化したコロネに
「……お前熱でもあるんじゃないか?」
グラッドさんが思い切り冷たい視線を投げかけるのだった。
私がエルフの女王に貰った剣を眺めつつニマニマしているとグラッドさんが気味悪そうに呟いた。
「ああ、あまり気にしないでください。猫様の至福の時間というだけのことですから」
義手の微調整を行いつつ、コロネがため息まじりにそうつぶやく。
結局あのあと、エルフの女王からお礼を言われ、ブラッド作装備を沢山もらい、コロネの義手を完璧に調整するために、グラッドさんの魔道具屋に戻ってきたのだ。
に、しても流石エルフの女王だけあって、こちらのリサーチが完璧らしく、どんな趣味の武器が私の中二病心をくすぐるのかわかっているらしい。
もらった武器全てが、私の好みばかりだったので、もうホクホク気味である。
ちなみにリリちゃんも美味しそうなお菓子をいっぱい貰っていた。
流石王族、リサーチ力が半端ない。
しかしもらった武器は後でちゃんと額縁にいれて、ギルドハウスに飾っておこう。
……と、考えて、ふと気づく。
そういえば、ゲームじゃないんだからギルドハウス入れないんだった。
無意識にゲーム感覚になってるところがあるので気を付けないと。
そんなことを考えていれば
「ふーはっはっはっは!
我が名は魔王リリ✩勇者よ!!全力でかかってくるがよいっ!!
相手をしてやるっ!!」
と、黒いマントに身を包んだリリがバタバタと廊下を通り過ぎ
「まおうーたおすー!!」
と、おもちゃの剣をもったロロちゃんがそれを追っていく。
相手をしてやるっ!と言いつつ、逃げる魔王というのはなかなか斬新ではあるが、子供の遊びに整合性を求めてはいけないのだろう。
てかリリちゃんが楽しそうなのでそれはそれでよしとする。
そんな中
「父さん」
と、ひょこっとルーベルト君が空いたままの扉から入ってくる。
「ああ、どうだった?」
「はい。大賢者様の自宅前は凄い人だかりでした。
猫様や大賢者様やリリちゃんを一目見ようと大挙して人が押し寄せている感じです。
家に近づけませんでした」
と、しっかりした口調で話す。
まだ小学生の高学年くらいの見かけなのに随分しっかりとした男の子だ。
……にしても、人が押し寄せているととか。それはやばい。
ありがたやーとか言われるのはマジ勘弁して欲しい。
「えーーー。自分そういうの苦手なんだけど」
うんざりしたように私が言えば、
「そりゃお前、祭り会場に居た全員の命を助けたとなれば、街中の連中が一言礼をと集まるのも仕方ないだろう。
エルフは神の教えに従順だ。礼を言うのが経典の教えだからな」
と、グラッドさんが呆れたようにかえす。
「でも、すごいですね!猫様に大賢者様!
魔族を倒したんですよね!
伝説にでてくる魔族といえば天界の天使でも倒すのが難しいという話なのに」
ルーベルト君が少年特有の憧れの眼差しでキラキラと見つめてくる。
くっ!?元ヒキオタニートに少年の羨望の眼差しとかきついんですけど!?
「えー、まぁ、ほらプレイヤーはレベルが高いからできたっていうか?
そんな凄いことじゃ」
私が言えば
「そう!
ネコすごい! どんな強い敵でも あきらめない!
いつも倒しちゃう!」
いつからそこに居たのかエッヘンとリリちゃんが胸をはって言う。
いつの間にか魔王の格好から魔法少女っぽいひらひら服に変更になっていた。
「あーリリちゃんダメだよ!
魔王が魔法少女に変身するシーンでいなくなちゃ!!
このあと皆で楽しくお鍋をつついて闘うシーンだよ!」
と、テケテケと同じような魔法少女の格好をしたサラちゃんがリリを迎えにくる。
って、リリちゃんたちの勇者ごっこは一体どんなストーリーが展開されているのだろう。
物凄く気になるのは私だけだろうか。
「そうだった! リリ遊んでくる!」
言って嬉しそうにサラちゃんに連れられてくっついていくリリ。
「お兄ちゃんも!
まだ生徒会長の役がだれもいないの!」
と更にルーベルトの手を引っ張っていくサラちゃん。
ルーベルト君は名残おしそうに、コロネの方を見ているがサラちゃんは容赦なく連れていってしまう。
……にしても、やっぱり気になる。
魔王に勇者に魔法少女に生徒会長ってどんなストーリーなのだろう……。
リリ達についていこうか葛藤する私をよそに
「それにしても困りましたね。これでしばらく家にもどるのは難しいでしょう」
コロネがため息をつきながらいい
「一回、お披露目したほうがいいんじゃないのか。
適当に手を振っておけば街の連中も満足するだろ」
グラッドさんがトンデモないことを言い出す。
「嫌だ!そんな事恥ずかしすぎて悶え死ぬ!!」
「にしてもなぁ、放っておけば、コロネの家が勝手に神格化されて、巡礼コースに組み込まれかねないぞ」
「ええっ!?」
なんだよその巡礼コースって!?
パワースポット的な何かか!?
「それは困るかなぁ……」
私が言えばその言葉とカブセ気味に
「猫様のためならば!引っ越せばいいだけの話です!
むしろあそこは猫様を崇め奉る神殿にっ!!!
そうすれば猫様も街の住人もどちらも幸せになれます!!
このコロネ・ファンバード命にかえてもあそこを聖地にしてみせましょう!」
と、コロネがバッと手を掲げて何故か張り切り出す。
ちょ!?何言ってるんだこいつ!?
やべぇ、放っておいたほうがやべぇ。
変態のコロネが何しでかすかわからない。
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