【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

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1章 異世界に召喚されました

34話 お風呂

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「ネコ。この広い お部屋 なぁに?」

 だいたい部屋の説明を終え、お風呂場に来た所でリリが興味深そうに浴槽を覗き込みながら聞く。
 そういえば、コロネの家って身体が魔方陣の上に乗れば勝手に綺麗にしてくれる魔道具があるだけでお風呂はなかったしね。
 リリちゃんはお風呂初体験なんだろう。

「ああ、お風呂だよ」

「お風呂?」

 リリが日本風のヒノキ風呂を不思議そうに眺めながら言う。

「ああ、ここ凹んでるだろ?
 ここにお湯をいれてそこに入るんだ」

「お水あび?」

「そうそう、そんなような感じかな。
 そうだ、リリ一緒に入ってみるか?」

 私がそう言うとリリが嬉しそうにパぁぁぁぁと目を輝かせ

「ネコと一緒! お水浴びする!」

 と、嬉しそうに私に抱きつくリリちゃん。
 いや、マジ天使、などと頭を撫で撫でしてやり――私はそこでハタっと気づく。

 そう、この世界、ゲームと同じでトイレは必要ないし、身体を洗うのもコロネが作成した魔道具ですぐきれいになってしまったため必要なかった。
 つまるところ、裸になる必要がまったくなかったのである。

 でもゲームでは風呂にはいろうとすれば勝手にタオル巻いてくれるけど、リアルだからそうもいかなくね!?
 そうだよ、トイレも風呂も必要なかったから忘れてたけど!!
 
 いーやーーー男キャラで幼女と風呂とか犯罪じゃないか!?

 ああああ、私なんで男キャラにしたし!?
 素直に女キャラでやっときゃよかったぁぁぁぁ!!!

「どうかなさいましたか?」

 私が悶絶していると不思議におもったのかコロネが聞いてくる。
 
「や、リリと風呂に入るとしてもよく考えたら風呂入るにしても自分男キャラなんだけど!?」

 私が慌てて言えば

「……?
 魂と別の性別だと水に浸かれないなどの制約でもあるのですか?」

 と、意味不明な疑問をぶつけてくる。
 ちょ、なんでそういう発想なのかな!?

「じゃーなーくてー
 裸にならないとだろうっ!!」

「はい?それが何か問題でも?」

 うおーこいつ鈍い!!別の事ならキレッキレッのくせに!
 女の子がモロアピールしてくるのに気づかない鈍感系主人公か何かかお前は!!

「逆に聞くが、コロネは女の身体になったとして裸になれるのか!?」

 問われ、一瞬考えるポーズをとったあと、耳たぶまで赤くして

「そ、そうですね。すみません。失念しておりました。
 しかし、嫌でもなってしまったからには慣れる必要もあるかと」

 わかってる。頭でわかっていても嫌なものは嫌なんだから仕方ない。
 つい、ぶすっとした顔になってしまう。

「困りましたね。
 いくら身体が男性とはいえ、魂が女性の猫様の着替えを私が手伝うわけにもいきませんし。
 メイド達に頼みましょうか?」

「それも嫌だ」

 私は即答する。だって女の人に男の身体見られるのも恥ずかしいじゃん。

「そうですね……では、猫様は性別転換の腕輪は持っていらっしゃらないのですか?
 以前お借りした攻略本にのっていましたが」

 コロネの言葉に私は立ち上がった。

 そうだ!それがあった!
 半日だけ、性別を男女逆転できるネタアイテム!!
 毎年エイプリールフールになると貰える、イベント配布アイテムだ。
 使うことなんてなかったからすっかり忘れてた!

「ある!それだ!流石コロネ!」

 私は早速アイテムボックスから性別転換の腕輪をとりだすのだった。

 △▲△

「おーネコ 魂と同じ感じになった」

 女の姿の私を見て、リリがぽつりと感想を漏らす。
 ふふふ、まぁ元々男キャラのキャラメイクが自分をスキャンしたあと、男女逆転させて美形化しただけだしね。
 まぁ現実より大分美形化されてはいると思うけど、感じは似てるだろう。
 
「ふふふ。やっぱり女の姿の方がいいね。お風呂に入れるって素晴らしい!」

「お風呂 入っていい?」

 リリが湯船を覗きながら聞いてくる。

「その前に身体あらわないとダメだよ。
 リリ、ボディソープとか使ったことある?」

「ない!」

 何故か元気いっぱい、嬉しそうに手を上げて答える。
 うん、素直でよろしい。

「じゃあ、私が洗ってあげるから。そこに座って」

「はぁい」

 リリを座らせると、スポンジにボディソープを泡立たせ、リリを洗ってあげる。

「ネコー なんだかくすぐったい」

「我慢我慢。次は髪の毛洗うから目つぶっててね」

 ごしごしと髪の毛を洗ってあげるとリリが「うううう」と意味不明な悲鳴をあげる。

「うーまだ?髪の毛濡れる やだー」
 
 と、駄々っ子な事をいう。

「すぐ終わるから」

 そう言って頭からシャワーをかけると、両手で顔を抑えて顔が濡れるのを必死に防ぐ。

 なんだか仕草が可愛らしい。

「はい。出来上がり」

 シャンプーを髪から落とし、私が言うと、リリはぎゅっと目をつぶったまま

「顔濡れてるーいやだー拭いてー」

 と、目をつぶったままアワアワしていた。
 私がタオルで髪の毛と顔をワシワシと拭いてあげると、リリはがぷはぁっと息をして

「お風呂楽しくない」

 と、涙目でつぶやいた。どうやらはじめてのシャンプーは少々きつかったようだ。
 顔を濡らす練習からしたほうがよかったのだろうか?
 子供の相手をしたことがないので、今ひとつ勝手がわからない。
 いきなりシャンプーはハードルが高すぎたかなとちょっと反省する。

「ごめんごめん。もう終わりだから。
 私も身体洗ったら湯船にはいるから、リリ先に入ってる?」

 リリはブルブルと頭をふって、私の横にちょこんと座る。

 おぅ、リリちゃんのファーストお風呂失敗してしまったかもしれない。
 お風呂嫌いになちゃったかなー。せっかく女になれたのに一緒に入れないとかちょっと寂しい。

 などと、考えながら身体を洗っている間、リリはボディソープを嬉しそうに泡立てて遊んでいた。
 私がシャンプーを終えるころにはすっかり、泡でつくったうさぎなどの泡アートがそこらじゅうにできあがっていた。

「いっぱい作ったねリリ。上手上手」
 と、私が褒めると

 えへへーと頬を赤らめ

「お風呂楽しい」

 と、にっこり微笑んだ。

 ……うん。子供って切り替えがはやいのかもしれない。
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