【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

文字の大きさ
上 下
16 / 187
1章 異世界に召喚されました

16話 スキルの取得

しおりを挟む

 あれから2時間後。

 どうやら私はスキル振りに熱中してたらしい。
 気が付けば夜になってしまっている。

 私はスキルを振り終わると、そのままごろんと横になった。

 ゲームの世界に来てから7日。

 あまりにもいろいろな事がいっぺんにおこりすぎて、考える暇もなかったけれど。
 
 私は元の世界に帰る事ができるのだろうか?
 わりと難易度は高いと思われる。
 だってゲームの世界から300年経過してしまっているということは、ゲームと日本時間は全く一緒だったので日本でもそれだけ経過してしまっているというわけで。
 日本に帰ると同時に過去にも戻らなければならないのだ。
 難易度高すぎないか?ひょっとして帰る方法がないというパターンも覚悟しておかなければいけないかもしれない。
 日本に帰るだけなら方法はあるかもしれないが、流石に300年後の日本は無理だ。
 死亡扱いになっているだろうから、戸籍もお金も何もない状態からスタートだし。
 日本でそれは流石に辛い。職にすらつけないし、家だって借りられるかわからない。
 そんな状態の日本に帰るくらいならこっちの世界に残ったほうがましだろう。
 
 センテール王国に捕まっていた3人の話によると、あの3人もはじめは帰る方法を探してはいたらしい。
 けれど、誰に何を聞いてもさっぱりで、そのうちにあの国の国王に騙されて捕まってしまったのだとか。

 そういった意味では私が最初に出会えたのがコロネで運がよかったとも言える。
 ゲーム化された時の記憶があり、こちらの世界に精通しているのだ。
 時々変態になるという事を除けば、本当に頼りになる仲間だろう。

 そしてもう一つ――あのピンク色髪魔女っ子ラファ。
 女神がどうのこうの言っていたが、いろいろ何かを知っていそうな言い方だった。
 私が生きていると知れば、また襲ってくるのだろうか?
 その時は油断せずに今度こそ、とっ捕まえてやろうと思う。
 てか忙しすぎて忘れていたが、あいつ人殺してるんだよな。マジで。
 一応死体は石化してきたが、後で生き返らせてあげないといけないかもしれない。

 てか、あのモロッコの国の領主は大丈夫なのだろうか?
 殺されたりしてしまっているのだろうか?
 私が慌ててベットから起き上がれば

 トントンと扉が叩かれる。

「誰だっ!?」

 つい、私が身構えて問えば

「コロネです。……何かありましたか?」

 と、私の警戒した声を不思議に思ったのかコロネが扉をそのまま開くのだった。

 △▲△

「はい、あの領主でしたら無事です。
 私も念のため、彼らには監視をつけていますので」

 私が慌ててあの三人について質問すれば……
 リリ用にもってきた食事を机の上に置くと、コロネがにっこり微笑みながらそう言った。

「よかった。てっきりラファに殺されたかと」

「私の個人的推測でしかないのですが、しばらくは大丈夫かと。
 恐らくですが……善政を行う領主が素行の悪いプレイヤーに殺されるということに意味があるのだと思います」

「女神の狙いはプレイヤーの評判を下げまくりたいってことか?」

「はい。猫様もこちらの世界に来てからの、プレイヤーの評価はご存知でしょう?」

「ああ、うん。ろくでもなかった」

 と、私がぽりぽり頭をかく。
 確かに女神が意図的にプレイヤーの評価を下げにきてるというのなら、あの評価も納得できる。

「それにしても、あの少女ですが……名はラファで間違いありませんか?」

 コロネに問われ、私は頷いた。
 鑑定したので間違いない。

「前から噂には聞いていましたが本当に存在していたのですね」

「噂?」

「はい。まずプレイヤーがこの世界に来るようになったのは、20年前。
 ある小国が大国より優位にたとうと異世界より勇者を呼び出したことからはじまります。
 その呼び出した勇者というのがプレイヤーでした」

「へぇ、じゃあプレイヤーがこの世界にきたのはわりと最近なんだ」

「はい。
 この世界にプレイヤーが来る方法は私の知る限り、二種類あります。
 ひとつは女神と呼ばれる存在に召喚されたプレイヤー。
 もう一つはこちらの世界の住人の手によって間違ってゲームから召喚されたプレイヤーの二種類です。
 そして問題なのは「女神に召喚されたプレイヤー」がこの世界を牛耳ろうとしていることです」

「えええ。そんな事をしているのか?」

「ええ。既にこの世界最大の人間領であるアケドラル帝国は女神に召喚されたプレイヤーの手に落ちています。
 そしてラファもまた女神に召喚されたプレイヤーの一人と言われていました。
 この世界に間違って召喚されたプレイヤーの中で自分たちの脅威……女神に逆らい、邪魔になりそうな存在を消しているという噂があります。
 あくまでも噂でしかなかったので、私も目にした時は驚きましたが」

「んー。じゃあ自分は驚異になりそう認定されて殺されそうになったって事か?」

「ええ、恐らくは。
 センテール王国に残ったプレイヤーはいまだ何もされていないところを見ると、どうやらそれほど危険視はされていないようですね」

「ああ、そっか。それならいいんだ」

 言って私は胸をなでおろす。
 にしても、世界征服を企むとか酷いことしてるなプレイヤー。
 圧倒的な力をもって現地人を制圧しようとするなんて、プレイヤーが毛嫌いされてるのも仕方ないのかもしれない。
 全く関係ないのに一緒に毛嫌いされる自分にはいい迷惑だけれど。

「それにしても流石猫様!他のプレイヤー達の心配までなさるとは!
 なんと心の広い!このコロネ!感服いたしました!」

 何故か大仰に称え出すコロネに私はため息をついて

「そのモード面倒くさいからなしで」

 と真顔で言えば

「はい。気を付けます」
 
 と、真顔で返される。
 うん。調整できるなら助かる。


 △▲△


「それで、結界が破れた理由はわかったのか?」

 コロネの館の食堂で、食事をつつきながら、私が聞いた。
 今はコロネと二人で食事をとっているのだ。リリちゃんはいまだ寝たままである。
 ちなみに食事はゲーム時のレシピがそのまま普及しているらしく、普通に日本食だった。

「いえ、それが……まったくわからないのが現状でして」

 コロネの話によれば、この世界は5ヶ所に神々の結界が張られた場所がある。
 そこにはもれなく凶悪な魔物が住み着き、今回結界が破れてしまったカルネル山脈もその一つだった。
 結界のある地域には聖樹と言われる神々の力を宿した木が存在し、その聖樹を取り囲むように神殿が建てられ、その神殿からエルフ達が祷りで魔力を注ぐことによって神々の結界は維持し続けているらしい。
 今回の魔物の襲撃では砦よりも後ろにあったため、聖樹も神殿も無事とのこと。
 本来、聖樹になにか異常があれば、神殿の神官達が何か気づくはずなのだが……。

「誰一人、異常に気づかないばかりか、結界が破れた今でさえ、何が起こったのか把握してないのが現状です。

 そこで、大変申し上げにくいのですが……猫様のお力を貸していただいても宜しいでしょうか?」

 と、コロネ。
 うん。手伝うのは別に構わない。
 いや、こっちだってもしかしたらそもそも元の世界に戻る方法が存在しないという可能性だってあるのだ。
 なるべく世界が平和な状態であってくれたほうがありがたいし。

「でも手伝うって何を手伝うんだ?
 結界なんちゃらは自分まったく知識はないんだが」

 そう。レベル200がカンストの時点ではエルフの領土へは行けなかった。
 その為、結界関連に関しては、なんとなく強そうな魔物をエルフが封じてるくらいの知識しかない。

「スキルの【鑑定】で一度聖樹がどのような状態なのか見ていただきたいのです。
 こちらの世界ではスキルを行使できる者がプレイヤーしかおりませんので。
 プレイヤーの中でも私の知る限り【鑑定】をお持ちなのは猫様だけです」

 と、コロネ。

「へ?マジで?こっちの人スキル使えないのか?」

「はい。こちらの世界の住人はそもそもステータス画面が開けませんから……。
 もし仮にプレイヤーの方のようにスキルポイントを取得しているとしても、スキルを得る事ができません」

「あー。なるほど。やっぱりだめなのか。
 でもそうなると魔法とかはどうやって取得するんだ?」

「主に呪文書です。
 ダンジョンでドロップする宝箱から手に入ります」

「へー。ダンジョンだと宝箱がドロップするんだ?
 今まで敵を倒しても宝箱なんて落とさないからないのかと思ってた」

「はい。宝箱がドロップするのはダンジョンのみです。
 ダンジョンでは魔物の死体が消えて宝箱がドロップする仕組みです。
 ダンジョンだけはゲーム時の仕様がそのまま残されているようですね。
 そもそもゲーム化前はダンジョンなど存在しませんでしたから」

「え?そうなのか?」

「はい。
 ゲーム化前は、魔物がアイテムを落とすこともありませんでした」

「へぇ、そうなんだ」

 この世界を元に戻した神様が、ダンジョンなんてゲーム化前はなかったんだからそのままゲーム化の仕様残しちゃえばいいよね✩
 なんて考えなのだとしたら、この世界を元に戻した神様って物凄くいい加減なのかもしれない。

 に、してもスキル覚えられないのかー。
 スキルあるなしは戦闘で全然違うんだけどなぁ。
 コロネもリリちゃんも強くする計画だったのに。
 それにリリちゃんになんて言おう……。
 スキル取得楽しみにしてたのになぁ。


 私は憂鬱な気持ちでため息をつくのだった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

処理中です...