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1章 異世界に召喚されました
1話 間違い召喚
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「うおぉぉぉぉ失敗だぁぁぁぁぁぁ!??」
光輝く魔法陣の上で立ち尽くす私の前で、三人のローブを着た魔導士らしい人物達が頭を抱えて絶叫をあげている。
「神龍召喚で何故プレイヤーが召喚されたんだ!?」
「もう助からない!!この砦はおしまいだっ!!」
「ああ、光の神セシウス様!?何故このような残酷な事を!貴方は我々をお見捨てになったのですか!?」
と、やたらオーバーな口調で好き勝手言う魔導士連中。
ある者は頭をかかえ、ある者は壁にごんごん頭をうちつけ、あるものは祈りのポーズをささげている。
キョロキョロ見渡せば、よくファンタジーの世界であるレンガ作りの建物に、私の足元には光り輝く魔方陣。
いかにも異世界に召喚しました!という感じなのだが……。
私を呼び出したであろう魔導士連中は絶望にのたうちまわっていた。
人を召喚しておいて、失敗だの残酷だの何を好きかっているのかな、こいつらは。
私が青筋を立てながら突っ立っているにもかかわらず、三人は素知らぬ顔だ。
とりあえず、自分の中で現状を確認する。
私の名前は橘楓。日本人で今年26歳になるゲーヲタ女だ。
今日もいつものようにVRMMO『グラニクルオンライン』をプレイしていたはずだった。
友達やゲーム仲間と楽しく多人数参加バトル『レイド戦』にてボスを倒し、レアアイテムをゲット✩と喜んでいたところ――何故か地面に魔方陣が浮かび上がり、気が付けばここにいたわけである。
身体を見てみれば、私がいつもプレイしているゲーム内の男キャラ『猫まっしぐら』そのままだ。
これはあれか。よくある異世界召喚されました✩というパターンだろうか。
それともVRMMOゲーム『グラニクルオンライン』のイベントの一つなのだろうか。
ただ、ゲームイベントだとすると、おかしいところがひとつある。
ゲーム中ではNPCは、確かにイベント時は普通にしゃべるが、ほぼ棒読みでこのような激しいアクションはなく、寸劇で、NPCは全員目も虚ろでその瞳には光がない。
なのにこの魔導士連中は瞳に輝きがちゃんとある。
そしてプレイヤーの事は必ず「冒険者」というのに、先ほど魔導士はプレイヤーと言っていた。
ゲームでは有り得ないことだ。
かと言って、異世界というものおかしい。
何がおかしいって、日本語が普通にばりばり通じていること。
そして魔導士がこちらのことをプレイヤーときちんと認識していること。
これはあれだろうか?ゲームの世界に転生しちゃいました✩パターンなのだろうか?
「あのーもしもし?」
とりあえず話を聞こうと声をかけてみる。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
と、絶叫する三人。こいつら全く聞きやしねぇ。
てか人呼び出しておいて、ガン無視って酷くない?
「えーーっと」
再び話しかけてみるが
「あああ、こんなことなら一度くらい酒を飲んでおくべきだった!?」
「そんなのどうでもいいだろう!?私なんかロロンちゃんに気持ちを伝えてないんだからな!」
「チョコレート食べてみたかったぁぁぁぁぁ」
何故か喧嘩がはじまる。
……っておおぃ。あくまでも無視かよ。ちょっと待て。
「こうなったら死ぬ前にロロンちゃんに告白を!!」
「ってまてよロロンちゃんは俺が!!」
「せりあちゃーーんすきだぁぁぁぁ」
好き勝手わめく三人。
……こ、こいつらっ。マジ人の話聞かない。人をスルーとはいい度胸だ。
「っておまえらぁぁぁぁ人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
私が大声で叫べば、やっと魔導士三人はびくりとこちらを向くのだった。
△▲△
「あああああ!?そうだ凶悪プレイヤーを召喚していたのを忘れていた!?」
「プレイヤーってあれでしょ!?生けとし生けるものの天敵でしょ!?
食われるの!?僕たち食われるの!?」
「え、拷問されるんだろ!?赤ちゃんの格好をさせられて槍でつつかれるんだ!いやだぁぁぁぁぁぁ」
魔導士達は口々に好き勝手な事をいいだす。
こ、こいつら人の事をなんだと思ってるだよ。
勝手に人の事呼び出しておいて評価ひどいな。おい。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
なんだか一度聞いたようなセリフを吐きつつ、扉を開け逃げ出そうとする3人。
「いい加減に人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
私が怒りで放った、トラップのタライが三人の頭に直撃するのだった。
光輝く魔法陣の上で立ち尽くす私の前で、三人のローブを着た魔導士らしい人物達が頭を抱えて絶叫をあげている。
「神龍召喚で何故プレイヤーが召喚されたんだ!?」
「もう助からない!!この砦はおしまいだっ!!」
「ああ、光の神セシウス様!?何故このような残酷な事を!貴方は我々をお見捨てになったのですか!?」
と、やたらオーバーな口調で好き勝手言う魔導士連中。
ある者は頭をかかえ、ある者は壁にごんごん頭をうちつけ、あるものは祈りのポーズをささげている。
キョロキョロ見渡せば、よくファンタジーの世界であるレンガ作りの建物に、私の足元には光り輝く魔方陣。
いかにも異世界に召喚しました!という感じなのだが……。
私を呼び出したであろう魔導士連中は絶望にのたうちまわっていた。
人を召喚しておいて、失敗だの残酷だの何を好きかっているのかな、こいつらは。
私が青筋を立てながら突っ立っているにもかかわらず、三人は素知らぬ顔だ。
とりあえず、自分の中で現状を確認する。
私の名前は橘楓。日本人で今年26歳になるゲーヲタ女だ。
今日もいつものようにVRMMO『グラニクルオンライン』をプレイしていたはずだった。
友達やゲーム仲間と楽しく多人数参加バトル『レイド戦』にてボスを倒し、レアアイテムをゲット✩と喜んでいたところ――何故か地面に魔方陣が浮かび上がり、気が付けばここにいたわけである。
身体を見てみれば、私がいつもプレイしているゲーム内の男キャラ『猫まっしぐら』そのままだ。
これはあれか。よくある異世界召喚されました✩というパターンだろうか。
それともVRMMOゲーム『グラニクルオンライン』のイベントの一つなのだろうか。
ただ、ゲームイベントだとすると、おかしいところがひとつある。
ゲーム中ではNPCは、確かにイベント時は普通にしゃべるが、ほぼ棒読みでこのような激しいアクションはなく、寸劇で、NPCは全員目も虚ろでその瞳には光がない。
なのにこの魔導士連中は瞳に輝きがちゃんとある。
そしてプレイヤーの事は必ず「冒険者」というのに、先ほど魔導士はプレイヤーと言っていた。
ゲームでは有り得ないことだ。
かと言って、異世界というものおかしい。
何がおかしいって、日本語が普通にばりばり通じていること。
そして魔導士がこちらのことをプレイヤーときちんと認識していること。
これはあれだろうか?ゲームの世界に転生しちゃいました✩パターンなのだろうか?
「あのーもしもし?」
とりあえず話を聞こうと声をかけてみる。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
と、絶叫する三人。こいつら全く聞きやしねぇ。
てか人呼び出しておいて、ガン無視って酷くない?
「えーーっと」
再び話しかけてみるが
「あああ、こんなことなら一度くらい酒を飲んでおくべきだった!?」
「そんなのどうでもいいだろう!?私なんかロロンちゃんに気持ちを伝えてないんだからな!」
「チョコレート食べてみたかったぁぁぁぁぁ」
何故か喧嘩がはじまる。
……っておおぃ。あくまでも無視かよ。ちょっと待て。
「こうなったら死ぬ前にロロンちゃんに告白を!!」
「ってまてよロロンちゃんは俺が!!」
「せりあちゃーーんすきだぁぁぁぁ」
好き勝手わめく三人。
……こ、こいつらっ。マジ人の話聞かない。人をスルーとはいい度胸だ。
「っておまえらぁぁぁぁ人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
私が大声で叫べば、やっと魔導士三人はびくりとこちらを向くのだった。
△▲△
「あああああ!?そうだ凶悪プレイヤーを召喚していたのを忘れていた!?」
「プレイヤーってあれでしょ!?生けとし生けるものの天敵でしょ!?
食われるの!?僕たち食われるの!?」
「え、拷問されるんだろ!?赤ちゃんの格好をさせられて槍でつつかれるんだ!いやだぁぁぁぁぁぁ」
魔導士達は口々に好き勝手な事をいいだす。
こ、こいつら人の事をなんだと思ってるだよ。
勝手に人の事呼び出しておいて評価ひどいな。おい。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
なんだか一度聞いたようなセリフを吐きつつ、扉を開け逃げ出そうとする3人。
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