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あれから3ヶ月…
私は今すっごい充実した生活を送っている。
当時やり残したもの、新たな理論、仮想訓練などなど
やりたい事は無限大!
しかも、
「あー。この資料取りに行かないとなー。」
「んー。甘いものほしいなー。」
って思ってると、エルが
「先生、資料ここに置いておきますね。」
「先生、ロチアのケーキ買って来たんですけど、一緒に食べませんか?」
って、エル有能すぎ!
という感じで、私は研究室から一歩も出る事なく、過ごしていますとさ。

「そういえばエルー。私、定期試験受けた覚えないんだけど大丈夫?」
今更ながら思い出した…私、中間試験受けてる?
「いえ、受けてますよ。しっかり満点取られてましたし。」
「…?一歩もこの部屋出てないけど?」
「先生が先日の魔法理論で行き詰まってる際、気分転換として解いて頂いたじゃないですか。」
そんなことも、あったような?なかったような?…って
「えっ?それってありなの?」
「研究などで忙しく試験を受けられない際、教師が監督につくことで、別室受験が許可されているのですよ。」
なるほどー。
って、気分転換に試験問題解かされるって…
一言ぐらい言ってほしかった。
「ですが、1年生は学期末に課外学習がありまして、それは絶対参加なんです。」
あー。まじかー。
この天国なような生活ともおさらばかー。
えっ?課外学習が終わったらまた引き篭ればいいじゃんって?
いやー。恐ろしいことを思い出したんだよね。
ウィルとかハンナとかウィルとか…
まあ、考えてもしょうがない!今はこの生活を楽しむぞー。
「エルー。この魔法式って今の主流なのー?」
「そうですね…80年ほど前から使われ始めましたね…なんでも…」






そして期末試験もこれまた研究室で受け、
いよいよ迎えた課外学習当日
「シア、久しぶりだね?元気にしてたかい?」
訳:覚悟は出来てるんだろうな?(圧)
「ええ、ウィルも元気そうで何よりだわ。」
訳:やめてー。ごめんなさーい!(泣)
ビクビクしながらグラウンド場まで行ったら、速攻ウィルに捕獲された。
なんで、こんなに人がいる中ですぐわかるんだ?
あー。やっぱり仮病でも使って休めば…
でも、入学式の二の舞になるのだけは…
そんなことを思っていると
「リーアー!」
ぐふっ。
リーゼに突撃された。
以前より勢いが増したようで…
「リーゼ。リアが苦しんでる。」
ルトがリーゼを引き剥がす。
「ちょっ!何しますのお兄様!」
リーゼが暴れ出そうとするが
「暴れるなみっともない。」
マシューの一言で動きを止めた。
そんな言い方したらまた…と思っていたら
「おっ!久しぶりに勢揃いだねー?みんな元気にしてたー?」
うるさいやつが来た
もう本当に、これ以上注目集めないでくれ…





周囲の会話

「きゃー!!Sクラスの皆様が勢揃いよ!あー!神々しい…」
「すごいよな。なんでも、学園が提供する通常授業は完璧だってことで、その道のプロの方々が教師について特別授業を受けてるらしいぞ。」
「あっ、俺それ見た。アルフォード殿下とファーナジナ殿下が、あの有名な学園ダンジョン地獄巡りを生み出した…」
「私も!ファーナジナ様があの気難しいことで有名なデザイナーと話され…」
「僕は図書館でキジュン殿下を見かけたよ。ものすごい量の本を、ありえない速さで読まれていて…そういえば、全身汚れたおじさんと熱く語り合っていたけど、もしかしてあの方って…」
「そうそう!オリアント殿下もすごいよな!なんでも新型ウイルスワクチンの開発に一役買ったって…」
「皆様素晴らしい方々ですが、誰がなんと言おうと1番はエトワール様です!あの幻の存在と言われたセルファ先生に気に入られ、ここ数ヶ月で書かれた魔法論文は全て、今までの概念を崩す斬新なもの!…でありながら、魔法協会が今すぐにでもうちにと呼ぶ人材で…!」
「マジで、俺らと同年代とは思えないわー。」
「きっと今も私たちには理解できない、崇光な会話をしていらっしゃるのでしょうね。」






「ちょ!まっ!なんでリーゼちゃん、また涙目なのー?マシュー何かしたー?」
「僕は事実を言っただけだ」
「おまえはいつも言い方がきついんだよ。リーゼもこんなことでいちいち泣くな。」
「泣いていませんわ!」
いつも通りも私たちであった。
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