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第11話 どこか怖い澪華ちゃん
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わたしの所属しているのは、オカルト研究部。
怖がりのくせに、お友達のひまりちゃんに誘われて入っちゃったんだ。
で、でもね。
学校のクラブのオカルト研究部って言ってもそんなに怖いこととか起きたこともないし。
危険な場所に調査に行くなんてこともなかった。
最初こそ、ビクビクしていたわたしだけど。
不思議なことはだ~いすき。
おまじないとか恋占いとか、小学生の女子たちは興味しんしんだもん。
純粋に不思議なできごとや、不思議な生き物に興味がある子たちがあつまっているんだよ。
図書室や町の資料館に行ったり、図書館で宿題の勉強会を兼ねて、怪異や妖怪やUMAの記事を見つけては定期新聞にオカルト研究部のみんなで書いて、楽しんでいたんだ。
顧問の先生はついて来てくれることもあったけど、基本的に学校のクラブの時間内での活動なので、たまにある自習時間に近いの。
でもでもでも!
もう、今までのそんな時間とは比べ物にならないぐらい、ワックワクなんだ!
だって、だってね!
わたし、本物の妖怪や神獣のみんなとお友達になったんだもの。
しかも、神獣の化身や末裔の子が、オカルト研究部に入ったんだよ?
これは、わたし以外にはわからない、とっておきの秘密なんだけど。
わたしはオカルト研究部の部室に向かっていた。
手にはたくさんの妖怪の本や不思議な生き物が描かれたイラストとかの資料を持っているんだ。
階段を一人で昇っていると、上の方から高飛車で意地悪そうな声がした。
この声は、澪華ちゃんだ!
「ねえ、佐藤さん、ずいぶん浮かれてるのね? ちょっと可愛いからって転校生たちを独り占めするだなんて生意気なのよ」
わたしは資料を積み上げて両手で持っていたせいで、顔は確認できないけど、間違いない。
「あのね、わたしは独り占めだなんてしてないよ。澪華ちゃんも気軽に緋勇くんや龍太くんやスズネちゃんとおしゃべりすれば良いんじゃないかな?」
階段でこんな風に話すのは危ない気がした。
わたしは踊り場でいったん止まって、両手いっぱいのオカルト研究部用の荷物を床に下ろした。
一番上、階段を登りきったところで微動だにしない澪華ちゃんの顔は怖い顔をしていた。あと、なんか、いつも意地悪だけど、比べものにならないぐらいに殺気立っていて。
瞳がどんよりしてる?
ホラー映画でなにかに操られてる人を見たことがあったけど、こんな風だった。
……澪華ちゃんが、……こ、こわい。
わたしは急にぞぞっとして、ひんやりとした汗みたいなものが背中を伝わるような感覚に襲われる。
ぞくぞく、ゾワゾワ、鳥肌が立つ。
「れ、澪華……ちゃん?」
今、彼女から感じるのは、妖しさ。
お兄ちゃんが教えてくれたことがあったんだけど、怪異に出会って霊気とか妖気とか邪気を感じ取ると、わたしはこんな反応になるんだって。
「いつものお友達は……、どうしたの?」
わたしはあせりながらも、話と澪華ちゃんの気をそらしたくなって。
(この場から逃げなくっちゃ!)
本能が告げてる。
そう、逃げるために。
わたしは怖いのに、スラスラとおしゃべりな言葉が出てくれる。
「澪華ちゃんが一人でいるってめずらしいよね」
「そりゃあね。あたしだって、一人でいたい時もあるのよ、佐藤さん。特にあなたにいたずらするような時にはね」
「い、いたずら?」
周りに助けを求めようとしても、誰もいない。
急に、あたりがしーんとなった。
さっきまで蝉《せみ》しぐれや、児童たちの声がにぎやかにひびいていたのに。
耳がシーンとしすぎる静寂で痛い。
学校中、だれもいなくなってしまったみたいに。
もしかして、……わたしと澪華ちゃんしかいないの?
どこかいつもとは違う、目の前のクラスメイト。
この学校のこの校舎には、わたしとおかしな雰囲気をさせてる澪華ちゃんの二人だけ?
突然、あたりはまっくらやみになる。
「きゃあっ!」
ぼんやり光っているのは、澪華ちゃんの肩に乗っかってる『黒い影の手』とその手が握る『真っ黒な鏡』だ。
「れ、澪華ちゃん!」
「なあにぃ? 佐藤さん」
「帰りたいの! 元の世界に」
「だめよ。あなたは私の主のいけにえだから」
「いけにえ……?」
がたがたと震えが止まらなくなる。
「帰して! こんなところにいたくないっ!」
「どうして? とっても素敵なところじゃない。ここにいればなーんでも望みがかなうのよ。佐藤さんが大好きな風城3兄妹の朱雀の子と結婚だってできるわ」
「な、なんで、澪華ちゃんが緋勇くんが朱雀の子だって……」
澪華ちゃんがゆっくりと歩いてわたしに近づいてくるの。
にへらと不気味に笑ってる。
こんな顔で笑う澪華ちゃんは、わたし知らない!
「私ね、佐藤さん。呪いの鏡の怪異と契約したの」
「呪いの鏡の怪異と……契約って、いったい……」
だっ、誰か!
お願いします。
誰か、助けてーっ!
怖がりのくせに、お友達のひまりちゃんに誘われて入っちゃったんだ。
で、でもね。
学校のクラブのオカルト研究部って言ってもそんなに怖いこととか起きたこともないし。
危険な場所に調査に行くなんてこともなかった。
最初こそ、ビクビクしていたわたしだけど。
不思議なことはだ~いすき。
おまじないとか恋占いとか、小学生の女子たちは興味しんしんだもん。
純粋に不思議なできごとや、不思議な生き物に興味がある子たちがあつまっているんだよ。
図書室や町の資料館に行ったり、図書館で宿題の勉強会を兼ねて、怪異や妖怪やUMAの記事を見つけては定期新聞にオカルト研究部のみんなで書いて、楽しんでいたんだ。
顧問の先生はついて来てくれることもあったけど、基本的に学校のクラブの時間内での活動なので、たまにある自習時間に近いの。
でもでもでも!
もう、今までのそんな時間とは比べ物にならないぐらい、ワックワクなんだ!
だって、だってね!
わたし、本物の妖怪や神獣のみんなとお友達になったんだもの。
しかも、神獣の化身や末裔の子が、オカルト研究部に入ったんだよ?
これは、わたし以外にはわからない、とっておきの秘密なんだけど。
わたしはオカルト研究部の部室に向かっていた。
手にはたくさんの妖怪の本や不思議な生き物が描かれたイラストとかの資料を持っているんだ。
階段を一人で昇っていると、上の方から高飛車で意地悪そうな声がした。
この声は、澪華ちゃんだ!
「ねえ、佐藤さん、ずいぶん浮かれてるのね? ちょっと可愛いからって転校生たちを独り占めするだなんて生意気なのよ」
わたしは資料を積み上げて両手で持っていたせいで、顔は確認できないけど、間違いない。
「あのね、わたしは独り占めだなんてしてないよ。澪華ちゃんも気軽に緋勇くんや龍太くんやスズネちゃんとおしゃべりすれば良いんじゃないかな?」
階段でこんな風に話すのは危ない気がした。
わたしは踊り場でいったん止まって、両手いっぱいのオカルト研究部用の荷物を床に下ろした。
一番上、階段を登りきったところで微動だにしない澪華ちゃんの顔は怖い顔をしていた。あと、なんか、いつも意地悪だけど、比べものにならないぐらいに殺気立っていて。
瞳がどんよりしてる?
ホラー映画でなにかに操られてる人を見たことがあったけど、こんな風だった。
……澪華ちゃんが、……こ、こわい。
わたしは急にぞぞっとして、ひんやりとした汗みたいなものが背中を伝わるような感覚に襲われる。
ぞくぞく、ゾワゾワ、鳥肌が立つ。
「れ、澪華……ちゃん?」
今、彼女から感じるのは、妖しさ。
お兄ちゃんが教えてくれたことがあったんだけど、怪異に出会って霊気とか妖気とか邪気を感じ取ると、わたしはこんな反応になるんだって。
「いつものお友達は……、どうしたの?」
わたしはあせりながらも、話と澪華ちゃんの気をそらしたくなって。
(この場から逃げなくっちゃ!)
本能が告げてる。
そう、逃げるために。
わたしは怖いのに、スラスラとおしゃべりな言葉が出てくれる。
「澪華ちゃんが一人でいるってめずらしいよね」
「そりゃあね。あたしだって、一人でいたい時もあるのよ、佐藤さん。特にあなたにいたずらするような時にはね」
「い、いたずら?」
周りに助けを求めようとしても、誰もいない。
急に、あたりがしーんとなった。
さっきまで蝉《せみ》しぐれや、児童たちの声がにぎやかにひびいていたのに。
耳がシーンとしすぎる静寂で痛い。
学校中、だれもいなくなってしまったみたいに。
もしかして、……わたしと澪華ちゃんしかいないの?
どこかいつもとは違う、目の前のクラスメイト。
この学校のこの校舎には、わたしとおかしな雰囲気をさせてる澪華ちゃんの二人だけ?
突然、あたりはまっくらやみになる。
「きゃあっ!」
ぼんやり光っているのは、澪華ちゃんの肩に乗っかってる『黒い影の手』とその手が握る『真っ黒な鏡』だ。
「れ、澪華ちゃん!」
「なあにぃ? 佐藤さん」
「帰りたいの! 元の世界に」
「だめよ。あなたは私の主のいけにえだから」
「いけにえ……?」
がたがたと震えが止まらなくなる。
「帰して! こんなところにいたくないっ!」
「どうして? とっても素敵なところじゃない。ここにいればなーんでも望みがかなうのよ。佐藤さんが大好きな風城3兄妹の朱雀の子と結婚だってできるわ」
「な、なんで、澪華ちゃんが緋勇くんが朱雀の子だって……」
澪華ちゃんがゆっくりと歩いてわたしに近づいてくるの。
にへらと不気味に笑ってる。
こんな顔で笑う澪華ちゃんは、わたし知らない!
「私ね、佐藤さん。呪いの鏡の怪異と契約したの」
「呪いの鏡の怪異と……契約って、いったい……」
だっ、誰か!
お願いします。
誰か、助けてーっ!
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