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第六話 信長と濃姫の結婚

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 二月二十四日。
 晴れ晴れとしたこの日に
 恋い焦がれた濃姫を正室に
 迎えられて織田信長は
 一日中
 濃姫と祝言《しゅうげん》の宴《うたげ》を楽しんだ。

 ただし。
 祝言は内々の者のみで行われた。

 マムシと呼ばれる義父斎藤道三は
 娘の濃姫を嫁がせる為に
 いくつかの約束を信長と交わした。

 まず美濃の濃姫を人前に
 出してはならない。

 まず護衛に弟の明智光秀を
 つけること。
 但し光秀は濃姫の実弟と
 言う事実は隠すこと。

 まず忍者として信長のそばに
 二人をおくこと。

 まず濃姫を忍者として
 悟られないために
 側室として忍者の里から
 幾人か
 一緒に嫁がせること。

 朱に交われば紅くなる。
 つまりは忍びを隠すなら
 大勢の忍びで隠せば紛《まぎ》れて、忍びであることが目立たなくなるといったところか。

 マムシこと、斎藤道三の胸の内だ――。
 父である斎藤道三なりの、愛娘や息子への思いは深かった。

 我が子を守ってやりたいという愛情と配慮からの作戦だったのだ。
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