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1-6 遠崎佳奈
放課後の一室で
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「佳奈、今日放課後開いてる?」
金曜日、朝陽が私に聞いてきた。
「部活だよー」
「そうなんだけど、それ以外何かある?」
「ないよ。」
「文化祭の衣装試着しない?」
朝陽っていつも急だな…。
「いいよ。」
「じゃあ今日いつもの会議室に授業終わったら行って!もう教室の予約はしてて、俺は衣装取りに行くから。」
「おけ。」
伝統の衣装とはどんなものなんだろうか。気になる。
放課後、朝陽に言われた通りの場所へ向かう。第2会議室に入るが誰もいない。
薄暗く、不気味な空気が漂う。
ふと机の上を見ると、
[資料室の中で過去の衣装の写真あるかもしれないから探してほしい。]
と殴り書きされたものが書いてあった。
資料室って確か会議室の隣にあったはず。私は廊下を出てその横にあった部屋を見る。
資料室って入ったことないな。入ってもいいのだろうか。鍵は…かかってない。私は重い扉を開けて、中に入った。
「…か、佳奈…。」
「井原…!?」
なぜ彼が。
「えっと、俺拓斗に頼まれて…、あの俺と一緒に実行委員やっている人なんだけど。衣装着て文化祭でモテたいから過去にどんな感じでみんな衣装着てたか調べてほしいって…言われまして…。」
「そ、そうなんだ。」
同じ空間に2人きり。この前少しは話したけれど、まともな会話なんて久しぶりすぎて、心臓がバクバクでおかしくなりそうだった。
「……先輩は?」
「私も朝陽に衣装のこと調べて欲しいって言われて…。」
ガチャガチャガチャ
後ろの扉の鍵が閉まる音がした。
「え、待って。」
ドアノブを回しても開かない、しかも内側から鍵を開けるところはなく…。
「閉じ込められたかも……。」
なんで、そんなことが!!
「まじすか…。」
「とりあえず、朝陽に連絡するね。」
私はスマホをつけると朝陽からメッセージが届いていることに気が付いた。
「1時間後に開けるからそれまでにちゃんと井原と話したいこと話してね~過去の写真は探して欲しい。井原には『鍵を持っている人が1時間後に戻ってくる』って伝えたらわかってくれると思うから。じゃあよろしく!!」
まじかよ…。
確か前…
『1回2人で話すべきだと思う。まかせて、俺がなんとかするから。』
って言ってたけれど…。閉じ込めなんて聞いてないよ!!
「鍵を持っている人が1時間後に戻ってくるらしい…。それまでは写真を探してほしいって言われた。」
「同じくです。」
話す心の準備なんてできてないのに…!
「とりあえず写真を見つけるか。」
「はい。」
写真はすぐに見つかった。[文化祭過去写真]と書かれた太いアルバムがおいてあったのだ。
2人でアルバムをめくる。
衣装の面を開いた瞬間、私たちは思わず笑ってしまった。
そこに書かれた衣装は頭の大きいかえるの着ぐるみだったのだ。
[天沢国際文化祭名物~アマガエルツインズ~]
「拓斗がこれを着てモテようと…ふふっ。」
あの時と変わらない井原に、言わなきゃ、ちゃんと…。
金曜日、朝陽が私に聞いてきた。
「部活だよー」
「そうなんだけど、それ以外何かある?」
「ないよ。」
「文化祭の衣装試着しない?」
朝陽っていつも急だな…。
「いいよ。」
「じゃあ今日いつもの会議室に授業終わったら行って!もう教室の予約はしてて、俺は衣装取りに行くから。」
「おけ。」
伝統の衣装とはどんなものなんだろうか。気になる。
放課後、朝陽に言われた通りの場所へ向かう。第2会議室に入るが誰もいない。
薄暗く、不気味な空気が漂う。
ふと机の上を見ると、
[資料室の中で過去の衣装の写真あるかもしれないから探してほしい。]
と殴り書きされたものが書いてあった。
資料室って確か会議室の隣にあったはず。私は廊下を出てその横にあった部屋を見る。
資料室って入ったことないな。入ってもいいのだろうか。鍵は…かかってない。私は重い扉を開けて、中に入った。
「…か、佳奈…。」
「井原…!?」
なぜ彼が。
「えっと、俺拓斗に頼まれて…、あの俺と一緒に実行委員やっている人なんだけど。衣装着て文化祭でモテたいから過去にどんな感じでみんな衣装着てたか調べてほしいって…言われまして…。」
「そ、そうなんだ。」
同じ空間に2人きり。この前少しは話したけれど、まともな会話なんて久しぶりすぎて、心臓がバクバクでおかしくなりそうだった。
「……先輩は?」
「私も朝陽に衣装のこと調べて欲しいって言われて…。」
ガチャガチャガチャ
後ろの扉の鍵が閉まる音がした。
「え、待って。」
ドアノブを回しても開かない、しかも内側から鍵を開けるところはなく…。
「閉じ込められたかも……。」
なんで、そんなことが!!
「まじすか…。」
「とりあえず、朝陽に連絡するね。」
私はスマホをつけると朝陽からメッセージが届いていることに気が付いた。
「1時間後に開けるからそれまでにちゃんと井原と話したいこと話してね~過去の写真は探して欲しい。井原には『鍵を持っている人が1時間後に戻ってくる』って伝えたらわかってくれると思うから。じゃあよろしく!!」
まじかよ…。
確か前…
『1回2人で話すべきだと思う。まかせて、俺がなんとかするから。』
って言ってたけれど…。閉じ込めなんて聞いてないよ!!
「鍵を持っている人が1時間後に戻ってくるらしい…。それまでは写真を探してほしいって言われた。」
「同じくです。」
話す心の準備なんてできてないのに…!
「とりあえず写真を見つけるか。」
「はい。」
写真はすぐに見つかった。[文化祭過去写真]と書かれた太いアルバムがおいてあったのだ。
2人でアルバムをめくる。
衣装の面を開いた瞬間、私たちは思わず笑ってしまった。
そこに書かれた衣装は頭の大きいかえるの着ぐるみだったのだ。
[天沢国際文化祭名物~アマガエルツインズ~]
「拓斗がこれを着てモテようと…ふふっ。」
あの時と変わらない井原に、言わなきゃ、ちゃんと…。
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