もう一度君と…

海津渚

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1-4 遠崎佳奈

視線の先に

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「佳奈おはよ~」 
「あ、おはよう楓。」 
 今日も楓は私のクラスにやってくる。元気でいいなー。 
「佳奈最近大丈夫?なんかいつもの佳奈じゃないみたい。」 
「え?そんなことないよーいつも通りいつも通り。」 
 楓にはなぜか言いづらかった。恋愛のこと大好きだから色々深堀りされる気がして怖かった。あまり知られたくない。 
「楓は最近クラスどんな感じ?」 
「うーん、まあまあかな。莉音ちゃんがいつも横にいてくれる。彼女ほんとにかわいすぎる。」
「そうなんだー」
 同じ部活で3組の津永莉音は最近転入してきた。楓と同じようにイケメンが大好きで、小説を書くことが好きだそうだ。
「今日さ、小説部2年女子3人で食堂行かない?」
 特に今日は何も予定がない。
「いいよ!行こ~」
 莉音ちゃんのこと色々知る良い機会だ。

 昼休み。私は3組へ走った。周りの普通科の人たちにじろじろ見られる。同じ2年生なのに、普通科と国際科は雰囲気が違う。国際科はすごい人たちと思われているのはうれしいが、壁があるような感じがしてたまに居心地悪くなる。さっさと楓と莉音ちゃんを呼んで食堂行こう…。

「あ!佳奈!!」
 楓はスキップしながらやってきた。
「行こう!」
「うん!」
 莉音ちゃんは私たちの様子を見て微笑む。楓はずっと莉音ちゃんのことかわいいと言っているがほんとにその通りだ。つやつやの黒髪。小さい顔。歩いていると廊下にいる男子がちらっ、ちらっと彼女のことを見る。それに加えて自分は…考えちゃだめだ。
 
 食堂に着くと、既に行列ができていた。この行列はいつ見ても緊張する。後ろの待っている人のために急いで注文しないといけないと思ってしまうのだ。
「何にする?」
「私はからあげ定食かなー」
 からあげ定食は食堂の人気料理の一つだ。安いだけでなく、大きなからあげが5つも入っていておなかいっぱいになる。
「私もしよっと!」
 楓がそう言ってからあげ定食の食券を買うと、突然莉音ちゃんが「きゃあ!」と声をあげる。悲鳴の音ではなく、好きな人が現れたときに出すあの音。

 彼女の視線の先を見ると、そこにいたのは……井原だった。
「莉音ちゃん…もしかして!!!あのクールビューティーが…!!!!!」
 楓は恋愛モードに入ってしまっている。目がキラキラしすぎて眩しい。
「あはは…ばれちゃったか。」
 彼女のバラ色に染まった頬を見て心がずきっとした。
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