もう一度君と…

海津渚

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1-2 遠崎佳奈

球技大会

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 次の週の水曜日。球技大会が開かれた。
 私の種目はバスケ。楓がバスケをすると聞いて、選んだ。
 かと言って私がバスケできる…ことはない。まず第一にボールを直視することができない。
 土曜日に、中学の時にバスケをしていた楓と朝陽にこつを教えてもらった。
 だが、そんなすぐに技術が伸びるわけなく、私はまともにボールをパスすることもできなかった。
 
 ドキドキするな。たぶんすごく足を引っ張るんだろうな…。
 種目でバスケを選んでいる人はほぼ今バスケをしているか、小中の頃にバスケをしたことがある人だ。
 唯一私と同じくバスケできないメンバーでひなたがいた。ありがたい、ありがたい。
 
 第1試合はさっそく楓のクラスと対戦だった。
 走るだけで息切れする私とは対照的に楓は動きが速く、ボールを取り、味方にパスする。動きが速くてついていけない。
「先輩頑張れ~~!」
 コートの外を見るとヒロと聖来ちゃんが応援に来ていた。それにほかの1年生女子も…。醜態をさらしているようで恥ずかしい。
 しかも端には井原がいた。なんで見に来ているの!?たぶんおもしろいんだ、こんな姿見るのが。最悪…。
 
 結局ボールに触れたのも1回だけで、何も活躍できず、そして3組には完敗した。
「先輩お疲れ様。」
 ヒロが水のペットボトルを手渡してくれる。
「ありがとう。」
 1試合するだけで疲れる。私はごくごくと飲んだ。
「先輩ほんとにかっこよかったです!!」
 聖来ちゃんとその友人たちに囲まれる。
「全然何もできなかったけどね…」
「先輩は声かけをいっぱいしてたじゃないですか!先輩なりに頑張ってますよ!」
 そう言ってもらい、少し気が楽になった。


「…あの。」
 誰に声かけられたのかと思い、振り返ると井原だった。
 なんで彼が。
「1回話がしたい。」
 突然のことに戸惑う。
「話って何。何も話すことなんてないんだけど。」
「えっと、そのまずさっきの試合おつかれさま。」
 頭にきた。こいつに何も言われたくない。
「馬鹿にしているの?」
「え。」
「また私の日常を踏みにじりたいわけ?」
「そうじゃなくて…」
「勝手に同じ学校入学してさ、意味わからない。せっかくの努力が全部消えちゃった。馴れ馴れしくしないで。それに、私一応先輩なんだよ。敬語使え。」
 意志とは反対の言葉が次々と出てくる。自分を止めることはできなかった。
「ご、ごめ…」
「関わってこないで!!」
 
 私は急いでその場から逃げた。
 あのあと井原がどうなったかは知らない。
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