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1-2 遠崎佳奈
最悪な再会
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4月は早かった。勉強に部活、ばたばただった。新しい環境に慣れるのはやっぱり時間がかかる。
無事文化祭実行委員になれた。私のクラスは自分と朝陽。楓も3組の実行委員になれたそうだ。
放課後にはすべての実行委員で集まり、今後の日程などを決めるらしい。
「良かったなほかにしたい人いなくて。」
「そうだね。まあ仕事大変だからやりたくないっていう人が多かったと思う。」
「まあな。」
楓とも合流し、集合場所である第2会議室へ行く。
まだ私たち以外に人はいなかった。
「イケメンいるかな!!クールビューティーとか入っていないかな~」
「クールビューティー…?」
「うん!1年のイケメンのこと!この前、クラスの子に教えてもらったんだ~藍色の瞳で髪がさらさらで、背も高くてかっこよかった。クールな雰囲気出している美男子だったから個人的にクールビューティーって呼んでる!」
このまえ聖来ちゃんが言ってたイケメンのことかな。楓も知ってるってことはたぶん相当なイケメンだろう。
様々な人が入ってくる。いろんな人を見るのはわくわくする。小説のキャラ作りに役立つのだ。
その時だった。
「失礼しまーす。」
「失礼します。」
2人の男子が入ってくる。
私はその顔を見た途端、頬の筋肉が固まるのを感じた。
一番会いたくなかった大っ嫌いな人、1つ年下の井原悠太だった。なんで、なんでこいつが…!?
心の奥底に閉じ込めていた数々の映像がフラッシュバックする。
『睨まないで。嫌いなら嫌いって言ってよ。』
どれだけ不快な態度をとられただろう。すれ違うたびに避けるようにして逃げる。私のすぐそばで友達に私の陰口を言う。うんざりだった。
絶対遠い高校に合格して、もう二度と会わないんだ。そうやって決めていたのに…。
「クールビューティーじゃん!!!!!」
私の気持ちとは反対に楓はきゃあきゃあ騒ぐ。
…彼だったのか。クールビューティー。楓は何もしらないくせに。誰も彼の本性知らないくせに。何がモテ男。意味がわかんない。ほんとに意味がわかんない。
「……佳奈?どうし…」
…私は何か悪いことをしたんだろうか。
視界が真っ黒になった。
目覚めると保健室にいた。
「貧血でもないし、何も異常は確認されなかったのにねえ。ストレスかな…。」
「そうですか。」
その落ち着いた声は朝陽だ。
「ここまで運んでくれてありがとねえ。今後もまた同じことが起こるかもしれないから様子見てくれる?」
「はい。」
足音が近づいてくる。私は慌てて目をつぶる。
ベットを囲む薄緑のカーテンが開くのを感じ、私は今起きたかのようにゆっくり目を開ける。
「佳奈!!」
「朝陽…ごめん、心配かけて。」
「大丈夫?」
「うん…」
嘘。全然大丈夫じゃない。また中学の巻き戻りだ。
朝陽に気が付かれないように小さくため息をついた。
無事文化祭実行委員になれた。私のクラスは自分と朝陽。楓も3組の実行委員になれたそうだ。
放課後にはすべての実行委員で集まり、今後の日程などを決めるらしい。
「良かったなほかにしたい人いなくて。」
「そうだね。まあ仕事大変だからやりたくないっていう人が多かったと思う。」
「まあな。」
楓とも合流し、集合場所である第2会議室へ行く。
まだ私たち以外に人はいなかった。
「イケメンいるかな!!クールビューティーとか入っていないかな~」
「クールビューティー…?」
「うん!1年のイケメンのこと!この前、クラスの子に教えてもらったんだ~藍色の瞳で髪がさらさらで、背も高くてかっこよかった。クールな雰囲気出している美男子だったから個人的にクールビューティーって呼んでる!」
このまえ聖来ちゃんが言ってたイケメンのことかな。楓も知ってるってことはたぶん相当なイケメンだろう。
様々な人が入ってくる。いろんな人を見るのはわくわくする。小説のキャラ作りに役立つのだ。
その時だった。
「失礼しまーす。」
「失礼します。」
2人の男子が入ってくる。
私はその顔を見た途端、頬の筋肉が固まるのを感じた。
一番会いたくなかった大っ嫌いな人、1つ年下の井原悠太だった。なんで、なんでこいつが…!?
心の奥底に閉じ込めていた数々の映像がフラッシュバックする。
『睨まないで。嫌いなら嫌いって言ってよ。』
どれだけ不快な態度をとられただろう。すれ違うたびに避けるようにして逃げる。私のすぐそばで友達に私の陰口を言う。うんざりだった。
絶対遠い高校に合格して、もう二度と会わないんだ。そうやって決めていたのに…。
「クールビューティーじゃん!!!!!」
私の気持ちとは反対に楓はきゃあきゃあ騒ぐ。
…彼だったのか。クールビューティー。楓は何もしらないくせに。誰も彼の本性知らないくせに。何がモテ男。意味がわかんない。ほんとに意味がわかんない。
「……佳奈?どうし…」
…私は何か悪いことをしたんだろうか。
視界が真っ黒になった。
目覚めると保健室にいた。
「貧血でもないし、何も異常は確認されなかったのにねえ。ストレスかな…。」
「そうですか。」
その落ち着いた声は朝陽だ。
「ここまで運んでくれてありがとねえ。今後もまた同じことが起こるかもしれないから様子見てくれる?」
「はい。」
足音が近づいてくる。私は慌てて目をつぶる。
ベットを囲む薄緑のカーテンが開くのを感じ、私は今起きたかのようにゆっくり目を開ける。
「佳奈!!」
「朝陽…ごめん、心配かけて。」
「大丈夫?」
「うん…」
嘘。全然大丈夫じゃない。また中学の巻き戻りだ。
朝陽に気が付かれないように小さくため息をついた。
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