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1-1 井原悠太
楽しかった青春時代
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教室に帰った後、俺は拓斗にヒロが佳奈に片想いしていることを伝えた。
「そっか~ヒロ青春してるな~」
青春。俺は微かな嫉妬を感じた。
「なんでヒロは彼女と仲良くできるんだよ。俺だって佳奈と仲良くしたい。あの頃のように。」
「え、もともとは仲良かったの?」
「うん。」
そう。もともとは仲良かったんだ。
『あはは。あんたおもしろいね。』
『悪口?』
『そうじゃなくて。一般の人とは違ってて。個性的でいいなと思う。』
『そうか?』
『うん!』
中1。
クラスでなじめない俺にとって佳奈は俺を受け入れてくれる、女神のような人だった。
彼女とは同じ放送委員会で知り合った。彼女は独特なオーラ出していた。1学期も2学期も一緒で、とある偶然から彼女と関わるようになった。
体育祭の予行練習の日。予行は動きだけを確認するので、午前で終わった。そして午前までということで午後はきっちり2時間、授業が詰まっていたのだ。しかも苦手な理科2時間。帰らせてくれ。同じクラスの月見良太とずっと愚痴を言い合っていた。
『えーでは授業終わりますー』
理科の担当でありクラスの担任でもある藍森先生も退屈そうに言う。ほら先生もやる気ないしさ、なんで授業なんてしたんだろ。
『行こうぜ。』
良太は日番で、教室の鍵当番だった。早く帰りたくてすぐに教室を出た。
『おう。』
2人で外に出ると、ちょうど隣の理科室で授業をしていた2年生も終わったようだ。終わるなり1人の生徒が教室から飛び出してきた。
あの先輩だった。髪型がショートで変なオーラを出しているあの先輩。
『あ!帰国子女じゃん』
隣の良太が興奮した様子で言う。
『ん?帰国子女?』
『そうそう!こいつ帰国子女なんだ~小学校の時の友達!』
彼女と目が合う。きれいな二重…。
『帰国子女かぁーすごいじゃん!』
俺は英語が好きだ。将来は海外に住みたいと思っている。
俺の声に気づいたのか、彼女は恥ずかしそうに笑う。
『あ、ありがとう。』
なぜかもっと話したくて。
『英語しゃべってみて。』
と言った。すると。
『じゃあ次の委員会でね。』
えっ。
『確か同じ委員会だよね?違ってた?』
『そうだけど…。』
まさか認識されていたなんて。クラスではモブみたいな俺が認識されていたと知ってうれしかった。
そこから彼女とは委員会を通して仲良くなった。廊下ですれ違ったら話し、放課後はお互い部活をさぼって話すこともあった。
明るくてかわいくていつも楽しそうに笑う彼女に恋をした。
「そっか~ヒロ青春してるな~」
青春。俺は微かな嫉妬を感じた。
「なんでヒロは彼女と仲良くできるんだよ。俺だって佳奈と仲良くしたい。あの頃のように。」
「え、もともとは仲良かったの?」
「うん。」
そう。もともとは仲良かったんだ。
『あはは。あんたおもしろいね。』
『悪口?』
『そうじゃなくて。一般の人とは違ってて。個性的でいいなと思う。』
『そうか?』
『うん!』
中1。
クラスでなじめない俺にとって佳奈は俺を受け入れてくれる、女神のような人だった。
彼女とは同じ放送委員会で知り合った。彼女は独特なオーラ出していた。1学期も2学期も一緒で、とある偶然から彼女と関わるようになった。
体育祭の予行練習の日。予行は動きだけを確認するので、午前で終わった。そして午前までということで午後はきっちり2時間、授業が詰まっていたのだ。しかも苦手な理科2時間。帰らせてくれ。同じクラスの月見良太とずっと愚痴を言い合っていた。
『えーでは授業終わりますー』
理科の担当でありクラスの担任でもある藍森先生も退屈そうに言う。ほら先生もやる気ないしさ、なんで授業なんてしたんだろ。
『行こうぜ。』
良太は日番で、教室の鍵当番だった。早く帰りたくてすぐに教室を出た。
『おう。』
2人で外に出ると、ちょうど隣の理科室で授業をしていた2年生も終わったようだ。終わるなり1人の生徒が教室から飛び出してきた。
あの先輩だった。髪型がショートで変なオーラを出しているあの先輩。
『あ!帰国子女じゃん』
隣の良太が興奮した様子で言う。
『ん?帰国子女?』
『そうそう!こいつ帰国子女なんだ~小学校の時の友達!』
彼女と目が合う。きれいな二重…。
『帰国子女かぁーすごいじゃん!』
俺は英語が好きだ。将来は海外に住みたいと思っている。
俺の声に気づいたのか、彼女は恥ずかしそうに笑う。
『あ、ありがとう。』
なぜかもっと話したくて。
『英語しゃべってみて。』
と言った。すると。
『じゃあ次の委員会でね。』
えっ。
『確か同じ委員会だよね?違ってた?』
『そうだけど…。』
まさか認識されていたなんて。クラスではモブみたいな俺が認識されていたと知ってうれしかった。
そこから彼女とは委員会を通して仲良くなった。廊下ですれ違ったら話し、放課後はお互い部活をさぼって話すこともあった。
明るくてかわいくていつも楽しそうに笑う彼女に恋をした。
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