もう一度君と…

海津渚

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1-1 井原悠太

部活決め

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 学校が始まり、入学式やレクリエーションなどが次々に行われた。
 俺はずっと拓斗と一緒にいる。話が盛り上がるし、ほかのクラスメイトに比べて気が楽だからだ。まだ教室内はピリピリした空気がある。でもすべてこれから。

「悠太は部活何する~?」
「俺は入らないかな。」
「入らないの⁉」
「実は足怪我してて。中学もそれで退部して、そこからずっと部活やってない。」
「怪我大丈夫?」
「うん。けど今はあんまり部活とかする気がなくて。また怪我するのが怖いっていうか。」
「運動部にこだわらなくても吹奏楽とかどう?この前、ピアノできるとか言ってたじゃん。」
「うーん。あんまり文化部には興味湧かないんだよね。拓斗は?」
「俺はサッカー部に入るって決めてる。中学からやっていてさ。」
「見てみたい。」
「今度試合見に来て~。」
「行く!」
 部活か……


『そっか、怪我でマラソン大会出れないんだ…。わかった、私悠太の代わりに頑張って走る!』



「悠太大丈夫?ぼーっとしてるよ。」
「あ、うん。眠たかっただけ。」
「そう?それならいいけど。」
 なんとかごまかす。高校からは考えないって決めたのに。
「なんの話だったっけ。」

 考えたらだめだ。

「ではみなさん席に座ってください。」
 担任が大きな声で言う。
「みなさん。なるべく部活に入りましょう。でも部活だけではありません。ほかにも委員会やスピーチなどの校内活動があります。ぜひ挑戦してください!そこで、みなさんに大事な連絡があります。今年の6月に文化祭があります。そこで文化祭実行委員を2人募集しています。活動自体は5月に入ってからですが、やってみたいって思った人は私の方に連絡して下さい。多い場合は抽選します。」
「たぶん放課後残されるよね…。」
「めんどくさそう。」
 周りは不満そうだ。

「先生!俺やります。」
 すると拓斗がまっすぐ手を挙げて言った。
「あ、はい!わかりました。」
 先生は少し圧倒された表情をしている。
「あーあの目立ちたがりのあいつか。」
「そいつとはやりたくないな。」
 数人がくすくす笑う。
 聞こえているんだよ。勇気持って言っているのにひどいな。

「俺もやります。」
 俺は手を挙げる。拓斗がやるのならば、俺もやりたい。どうせ放課後暇だし。
「すごく積極的で良いですね!ほかにいませんか?もしほかにやりたい人がいれば4月28日金曜日までに教えて下さい。ではホームルーム終了!」
 なれるかはわからないけれど実行委員やれたら頑張りたい。拓斗も一緒になれたらいいな。
 部活は入らないけれどほかにできることはたくさんある。

 拓斗は俺の方を見て前を向いて、また俺の方を見てほほ笑んだ。
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