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1-1 井原悠太
高校初日
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不安な気持ちの中、学校へ向かった。知らない街、知らない人…やっていけるかな。自分の住んでいる虹岡に比べてだいぶ人が多い。なんだか酔いそう。
やっと着いた。坂がきついが、毎日続けたらいつか慣れるだろう。虹岡とは違って落ち着いた空気が漂う。やっぱり町と都会は違う。
校門をくぐり、俺は名簿を見に行った。まだ人がいない。早く来すぎたのかな。
見ると俺は5組だった。国際科は5組と6組らしい。
俺は普通科の方を見た。俺の親友である岩倉ヒロトはこの学校を普通科で受験した。合格は厳しいのではないかと言われていたが、見事合格した。
彼は2組だった。4組が良かったな。2組だと遠くてなかなか会いに行けない。
教室には1人だけ生徒がいた。
「おはようございます…。」
小さな声で挨拶して入ると、
「ハイ!」
と元気な声で話かけてきた。茶髪で前髪を左に寄せていて、目がくっきりとした男子。都会っ子って感じの雰囲気で女慣れしてそう。(すごく偏見だが。)
「俺上杉拓斗。」
「俺は井原悠太です…。」
明らかに彼は「一軍」とか「トップ」とかにいそうな感じの人で、緊張する。そういう人未だになれない。
「敬語じゃなくていいよ。3年間国際科の仲間として過ごすんだしさ~。」
「うん…。」
「どこから来たの?」
「虹岡ってとこ。」
「おー!俺の友人がそこの高校行ったわ。虹岡北高校。知ってる?」
「うん。ほとんどの人はそこに行くからなー。近いし。」
「そっかあー。じゃあなんでここに来ようと思ったの?」
急に面接官みたいな口調で話しだした。緊張が走る。英語好きだからとか将来の仕事に生かしたいからとかという感じで答えるべきなのだろうか。ほんとのことを言うのはなんとなく恥ずかしい。
「姉に勧められて。」
悩んだ結果そう答えた。間違ってはいない。この高校を知ったのは姉からだし。
「お姉さんもこの学校出身?」
「違う。」
「じゃあなんでこの学校の魅力わかるんだろうね~」
笑いながら言う上杉に正直腹が立った。なんだこいつは。ただ単にうざい。
「じゃあ上杉がこの学校選んだ理由なんだよ。英語好きだから?」
「ううん。近かったから受けた。英語できないのに受けたら運よく受かった。」
「そっか。」
思いのほか単純な理由だった。なんだよそれ。
「うん。どっちも英語目当てで受けたんじゃないってことでさ、仲良くしようぜ。」
「なんだよそれ。もうすでに印象悪いんだけど。」
「まあまあ、仲良くなると思うよ~。俺の勘で3年後には親友になってると思う。」
「なんだよ、お前の勘って。」
「ほら、上杉じゃなくてお前って言ってくれたじゃん。もう仲良い。」
「あっそ。」
上杉との出会いは最悪に近いものだった。でも、いらだったおかげで不安はいつの間にか消えていた。
やっと着いた。坂がきついが、毎日続けたらいつか慣れるだろう。虹岡とは違って落ち着いた空気が漂う。やっぱり町と都会は違う。
校門をくぐり、俺は名簿を見に行った。まだ人がいない。早く来すぎたのかな。
見ると俺は5組だった。国際科は5組と6組らしい。
俺は普通科の方を見た。俺の親友である岩倉ヒロトはこの学校を普通科で受験した。合格は厳しいのではないかと言われていたが、見事合格した。
彼は2組だった。4組が良かったな。2組だと遠くてなかなか会いに行けない。
教室には1人だけ生徒がいた。
「おはようございます…。」
小さな声で挨拶して入ると、
「ハイ!」
と元気な声で話かけてきた。茶髪で前髪を左に寄せていて、目がくっきりとした男子。都会っ子って感じの雰囲気で女慣れしてそう。(すごく偏見だが。)
「俺上杉拓斗。」
「俺は井原悠太です…。」
明らかに彼は「一軍」とか「トップ」とかにいそうな感じの人で、緊張する。そういう人未だになれない。
「敬語じゃなくていいよ。3年間国際科の仲間として過ごすんだしさ~。」
「うん…。」
「どこから来たの?」
「虹岡ってとこ。」
「おー!俺の友人がそこの高校行ったわ。虹岡北高校。知ってる?」
「うん。ほとんどの人はそこに行くからなー。近いし。」
「そっかあー。じゃあなんでここに来ようと思ったの?」
急に面接官みたいな口調で話しだした。緊張が走る。英語好きだからとか将来の仕事に生かしたいからとかという感じで答えるべきなのだろうか。ほんとのことを言うのはなんとなく恥ずかしい。
「姉に勧められて。」
悩んだ結果そう答えた。間違ってはいない。この高校を知ったのは姉からだし。
「お姉さんもこの学校出身?」
「違う。」
「じゃあなんでこの学校の魅力わかるんだろうね~」
笑いながら言う上杉に正直腹が立った。なんだこいつは。ただ単にうざい。
「じゃあ上杉がこの学校選んだ理由なんだよ。英語好きだから?」
「ううん。近かったから受けた。英語できないのに受けたら運よく受かった。」
「そっか。」
思いのほか単純な理由だった。なんだよそれ。
「うん。どっちも英語目当てで受けたんじゃないってことでさ、仲良くしようぜ。」
「なんだよそれ。もうすでに印象悪いんだけど。」
「まあまあ、仲良くなると思うよ~。俺の勘で3年後には親友になってると思う。」
「なんだよ、お前の勘って。」
「ほら、上杉じゃなくてお前って言ってくれたじゃん。もう仲良い。」
「あっそ。」
上杉との出会いは最悪に近いものだった。でも、いらだったおかげで不安はいつの間にか消えていた。
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