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・小畑つむぎ
「俺な、今週の土曜日に大会あるねん。」
ある日の朝、彼は恥ずかしそうに言ってきた。
「そうなんだ!」
「実はそれが最後の大会で……見に来てほしい。」
真剣な目をした彼に見つめられ、反応に困る。見に来て欲しいってどういう意味…?
でも、彼の泳いでいる姿を見たい!!
「もちろん!!」
「安藤にも伝えてくれない?」
その次の言葉にがっくり肩を落とす。やっぱり彼は杏華のことが好きなんだな…。
大会当日。
いつもより早起きし、いつもは乗らない電車を乗り継いで、大会が開かれる会場へやってきた。大きいな…。
会場前で杏華と合流する。白のブラウスに涼しげな水色のジーンズ。メイクをほんのりして、髪もいつもと違ってポニーテール。かわいい!
「杏華すごいおしゃれじゃん!!津田くんのために気合入れたとか?」
「そんなんじゃないし!」
彼女は津田くんのことどう思っているんだろう…2人お似合いだと私は思うけどな~
会場に入る。
足を踏み入れると、そこには多くの学生が集まっていた。赤、白、黄色、紫、青など色とりどりのユニフォームが会場を華やかに彩っている。すごい、すごいな…。美術部の私は場違いなのではないかと思うほどの熱気に鳥肌が立つ。
高崎くんは個人種目とリレー種目の両方に出る。
まずは個人種目。彼は200メートルバタフライに出ると言っていた。
「同じく、7組の競技を行います。」
アナウンスが流れ、各校の出場選手が準備する。その中でもすぐに彼の姿は見つけられた。思った通り、かっこよすぎる…
「Take Your Mark…」
ピッ!
ぴかっと光が放たれるとともに、一斉に選手たちが飛び込んだ。
高崎くんも長いけのびを行い、すいすいと進む。まるで水と一体化しているよう。私ならあんなに息を保つことはできないからほんとに感心する。
100メートル。
不調なのか、少し出遅れている。8人いる中で6位。
『スランプって経験したことある?』
彼の声を思い出す。私にアドバイスを訊いてきてすごくうれしかった。役に立てたかはわからないけれど、それでも彼はずっと頑張ってきたはず。
あと50メートル。
心の奥底から熱い何かがこみあげてくる。拍手が響く中、私は息を吸って叫んだ。
「…っ、高崎くん、がんばれー!!!」
声が届いたのか、彼はどんどん前へ…!
結果、彼は2位でフィニッシュした。
「俺な、今週の土曜日に大会あるねん。」
ある日の朝、彼は恥ずかしそうに言ってきた。
「そうなんだ!」
「実はそれが最後の大会で……見に来てほしい。」
真剣な目をした彼に見つめられ、反応に困る。見に来て欲しいってどういう意味…?
でも、彼の泳いでいる姿を見たい!!
「もちろん!!」
「安藤にも伝えてくれない?」
その次の言葉にがっくり肩を落とす。やっぱり彼は杏華のことが好きなんだな…。
大会当日。
いつもより早起きし、いつもは乗らない電車を乗り継いで、大会が開かれる会場へやってきた。大きいな…。
会場前で杏華と合流する。白のブラウスに涼しげな水色のジーンズ。メイクをほんのりして、髪もいつもと違ってポニーテール。かわいい!
「杏華すごいおしゃれじゃん!!津田くんのために気合入れたとか?」
「そんなんじゃないし!」
彼女は津田くんのことどう思っているんだろう…2人お似合いだと私は思うけどな~
会場に入る。
足を踏み入れると、そこには多くの学生が集まっていた。赤、白、黄色、紫、青など色とりどりのユニフォームが会場を華やかに彩っている。すごい、すごいな…。美術部の私は場違いなのではないかと思うほどの熱気に鳥肌が立つ。
高崎くんは個人種目とリレー種目の両方に出る。
まずは個人種目。彼は200メートルバタフライに出ると言っていた。
「同じく、7組の競技を行います。」
アナウンスが流れ、各校の出場選手が準備する。その中でもすぐに彼の姿は見つけられた。思った通り、かっこよすぎる…
「Take Your Mark…」
ピッ!
ぴかっと光が放たれるとともに、一斉に選手たちが飛び込んだ。
高崎くんも長いけのびを行い、すいすいと進む。まるで水と一体化しているよう。私ならあんなに息を保つことはできないからほんとに感心する。
100メートル。
不調なのか、少し出遅れている。8人いる中で6位。
『スランプって経験したことある?』
彼の声を思い出す。私にアドバイスを訊いてきてすごくうれしかった。役に立てたかはわからないけれど、それでも彼はずっと頑張ってきたはず。
あと50メートル。
心の奥底から熱い何かがこみあげてくる。拍手が響く中、私は息を吸って叫んだ。
「…っ、高崎くん、がんばれー!!!」
声が届いたのか、彼はどんどん前へ…!
結果、彼は2位でフィニッシュした。
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