一妻多夫制

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堕天使編

一妻多夫制(堕天使 最終話)

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 無事に治療室から戻った私は、新しいトレーナーとは認めてないけど、、、
 過去から現在に至るまでの空白領域を埋める為に、涼気(りょうき)の言う通りに動きながら情報を得ていた。

 元トレーナーの涼地が開発したブースト。
それを制御する為に人工知能に亡き父、母の記憶・行動パターンを学習させたAIを開発したのが涼気。

 偶然ではあったが、そのブースト剤を使用して一命を取り留めた私。

 涼気の見解はこうだった。
 「ブースト剤は確かに人間の潜在領域に潜り込み、普段使わない力を使用出来る。でも、そんなに便利なら何故に涼地は力を封印してきた?」

 バカな私は、返答出来ない、、、、

 「肉体が耐えられないから!だからオレは兄の暴走を少しでも止める為、ブーストをAIの管理下で使用する様に進めた」

 あっ、、なんとなくだけど。分かってきたかも。

 「でも、、、諦めるっっ!アイツが死んで、下手すりゃ紬!お前も死ぬとこだったんだぞっ!」

 返す言葉がなかった、、、
 実際、私の力は微々たるもの。前回、ブーストを使用したところで仲間の命も救えなかった。
 私1人が生き延びる為の薬剤だとしたら、何の価値もない、、、だからこそ諦めきれない。
 両親、涼地。死んでった仲間の為にも、命にかえて、敵をせん滅したかった。

 「どうしても許せないの、、、私を利用していいから助けて?次に敵が尻尾を出したら単独突入するから、、、ありったけのブースト剤を口中に頬張って1人で突入する。私が決めたの!そうしたいの!」

 それがどう言う事なのか?私自身よく分かっていた。
 そんな事をすれば、敵地に行く前に死んでしまうかもしれない、、でも。両親を殺され、兄も死に、、この施設にいても私には自由が無い。
 最後の自由は、家族の為に死ぬ事、

 (タダでは死んであげないっ!ヤツらの上層幹部を道連れにしてやるんだから!)

 怒りのまま、私は最後の計画を涼気にぶちまけてやったわ!!

 涼気は失笑しながら
 「力では勝てない、、、だから堕天使が生まれたんだろ??計画と準備が必要だ、、、半年我慢しろ。その間に上層部とかけ合ってくる」

 そこからは、基本的な体力アップが主な課題となる。
 最初から ブーストを使用する前提で準備していかないといけないから。
 1番は心肺機能の向上。後は模擬戦でダミーを相手にした格闘技術に、バーチャルシュミレーターを使い様々なトラブル対応を学習し精神の安定化に努める。

 しかし、現実は思う様にならなかった、、、半年後に本部から作戦の中止を言い渡される。
 そもそも、潜入捜査が基本業務である堕天使。
 上級レベルの女の子たちを集めて潜入すれば、それなりの成果は期待できるだろう。

 それよりも、研究中の未承認薬を使用するリスクの方が高いという判断だった。
 A級堕天使を育てるまでに、約10年かかる。もし、今回の作戦が失敗して主力部隊を失うことがあれば立て直しがきかない。

 本部の言う事も理解出来た。
 私1人の復讐の為にリスクは犯せない。
 
 「すまない、本部連中も最初は乗り気だったクセに、急に方針を変えやがって、、、」
 涼気は何度も謝ってきたけど、彼が悪い訳じゃない。
 結果を待つ間の、半年間のトレーニングは決して無駄じゃ無かったから。

 「涼気のせいじゃないから。前にも言ったけど私は自由になりたいの!行き先が死であったとしても、、、せめて、私が単独行動出来る時間を作れない?」

 涼気はしばらく考えた後、
 「年末年始5日間程は監視が機械任せになるはず。この部屋だってフェイク動画との差し替えを行なってきたのに今だにバレていない。なら、少しでも監視の目が少ない時に動く方が良いだろう」
 
 私たちは本部の命令を無視して、個別で敵を叩く。
  行動を起こせば敵地で死ぬか?
  生還しても、規約違反により本部からの処罰で死ぬか?
 そんな答えの無い選択に付き合ってくれる涼気。彼だけでも生き残ってもらいたい.....


   そう。1月1日。私は死んだ、、、



 ~~~~~~~~~~~~


 
 新年早々の、敵幹部らによる乱行パーティー。
 私は、1人の風俗嬢と入れ替わり敵地に侵入。
 大広間で多数の男女が入り乱れた。
 
 数人の男と交わり射精へと導く。残念ながらボスの姿が無い、、、
 しかし、私から1メートル程の場所でNo.2の幹部が女に覆い被さり、必死に腰を振っていた。

 私の相手をしていた男は、膣圧を少し上げて締め付けてあげると一瞬で放精した。
 四肢の自由を得た私はNo.2の男の背後に廻る。
 私はピアスに仕込んであったワイヤーを男の陰嚢に絡める。

 射精が近いのだろう。女に深く陰茎を挿入しながらも男の陰嚢が縮んでいく。
 
 (天国から地獄への片道切符をあげる)
 
 両手に持った去勢ワイヤーを引けば何が始まるかは分かっていた。

 No.2幹部の男の陰茎から放精されることは無かった。
 仰向けに男を受け入れていた女の尻の割れ目を転げ落ちるように陰嚢は切り離され布団の上に落ちる、、、、

 凄まじい鮮血と叫び声。

 周りの男達が一気に振り向き事の重大さを知る。
 手に武器を持ち迫りくる敵を前に、私は両方の奥歯内にあるブースト剤を2個いっぺんに噛み締めた。
 ブーストを管理してくれていたAIの警告は聞こえない。予めシャットダウンしていたから。
 声だけの両親なんて私の悲しみを増幅するだけ、、、聞く必要もない。
 だって、もう直ぐ逢えるから....


 【あとがき】

 
 今回、彼女は敵の幹部6名を道連れにこの世から去った。
 残念ながら敵のトップを仕留める事はできなかったが、仮にトップを仕留めていたとしても組織は無くならないだろう。
 それを理解していた堕天使グループは、玉砕覚悟の作戦は行わなかったし、これからも方針は変わらないだろう。
 何故ならS級堕天使の実力を兼ね備えた紬(つむぎ)がいるから。厳密に言えば紬の細胞が保存されているから。
 彼女の細胞を培養し何度でも生き返らせ戦わせる。技術面では難しいが、堕天使を養成する月日と費用を考えればコスト面では安くつく。
 しかし、堕天使グループの計画は失敗に終わる。
 既に涼気が、ブースト剤に関するデータと共に。紬の培養中細胞を持ち出し失踪してしまっていたからだ。

 その頃、、、、
 涼気は紬の両親の墓の前に居た。
 分骨された墓なので、涼気以外誰も知らない。
 小高い丘の上にある小さな墓。
 その夜は月明かりが降りそそぎ、辺りはいつもより明るかった。

 涼気は墓の前で手を合わせ、紬に語りかける。
 (2度とあんな辛い、痛い思いには合わせない。つむぎ、、、紬、お疲れ様だったね。クリスマスの夜に戻ろっか。悪い大人はお兄ちゃんがやっつけてあげるから、、、、)

 笑顔の少なかった妹、つむぎ。
 彼女の死に顔は忘れない、、、
 否。忘れる事が出来ない。
 彼女の口角は上がり、微笑んでいる様にも見えた......
 
 (皆んなと天国で再会出来たんだね?そうだよね?)

 【完】
 

 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 
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