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別れ(最終話)
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先輩との別れは突然だった。
先輩の両親は、日本の大手自動車メーカーのエンジニア。
フランス、パリにて水素エンジンを搭載したタクシー普及のプロジェクトでパリに転勤になった。
もともと、先輩の両親は転勤族で、先輩も中学に入るまでに3回引っ越しをしたみたい。
中学以降は先輩を両親の都合で振り回さない様に、中高一貫校の寮にいれたようだ。
「アユム、ごめん、、、離れたくない。オレ、初めて人を好きになった。上手くいえないけど、、、ずっと一緒だと思っていたから」、、、、
ピアノ練習室で、先輩はボクの頭を抱きしめ話しかけてくれた。
先輩はいつもボクを守ってくれた。学校や寮でイジワルな先輩に絡まれた事もあった。
先輩が仲介に入ってくれると、それ以降はイジワルされなくなった。柏原先輩はそれくらい学校では有名だったから、、、
「アユム、学校のピアノ担当として今後は任せる。アユムは出来る子。んっっん、ん、、、ゴメン、、、」
いつも笑顔だった柏原先輩の涙を初めてみた。
ボクの目も潤み、、目の前にあるピアノ楽譜がぼやけて見える。
先輩と抱き合い長い、長いキスをした。オチンチンは大っきくならなかった、、、
エッチなんかどうでもいいっ!嫌だ!先輩と離れたくないっ!!
先輩は最後にボクの為だけに弾くと言うと、ピアノピースを慣れしたんだアップライトピアノの譜面台に置いた。
【ショパン 英雄ポロネーズ】
ボクが先輩に弾いてもらいたくて、何度もお願いしたのに、弾いてくれなかった。
先輩は、教えるからいつかアユムが弾いてごらんと、、、、いつも優しく諭してくれた。
あまりにも弾いてくれないから、ボクは内心、先輩は本当は弾けないんじゃないかと思っていた。
それくらい、ボクの中ではハードルが高い難曲だったから、、、
柏原先輩は鍵盤に指を置こうとしたが、急にボクを抱きしめ
「嫌だっ、アユムと、んっ、、、くっ、、離れたくないよ~」
いつも、冷静で、、、ボクのことを温かい目で見守ってくれた先輩。
先輩の目から流れ出る涙、、ボクは再度キスをし涙を舐めた、、、涙は凄くしょっぱい。
先輩は大きく息を吸い込むと、ピアノに向かい合う。
(いやだ、先輩は弾けないよね?この曲が終わるとサヨナラになってしまう。弾かないで)
演奏は始まってしまった。
おどろおどろしいオバケが出そうな音階から始まり和音で落ち着く。
一気に戦場の出陣の合図の様に曲は飛躍する。
先輩は譜面なんかみていなかったが、ボクは必死に大量の音符を追いかけ譜めくりをする。
先輩には必要ないかもしれないけど、、、
いつも助けて貰ってばかりで、何一つ恩返しできていない。
全身全霊で弾く先輩の最後の一曲の一部に、ボクはなりたかった、、、、
最後は曲の主旋律から、騎馬隊の蹄が土を踏み鳴らす勝利の音の様に聞こえた。
先輩と2人きり、狭いピアノ練習室で抱き合い、、、
ボクと柏原先輩との愛は一年半で消えた。
その後10年。先輩と会うことはなかった。
今は嫁さんの前で走り回る2人の子供。
誰にも言えない。言ったこともない。
でも、、、柏原先輩。大好きです。
《 完 》
先輩の両親は、日本の大手自動車メーカーのエンジニア。
フランス、パリにて水素エンジンを搭載したタクシー普及のプロジェクトでパリに転勤になった。
もともと、先輩の両親は転勤族で、先輩も中学に入るまでに3回引っ越しをしたみたい。
中学以降は先輩を両親の都合で振り回さない様に、中高一貫校の寮にいれたようだ。
「アユム、ごめん、、、離れたくない。オレ、初めて人を好きになった。上手くいえないけど、、、ずっと一緒だと思っていたから」、、、、
ピアノ練習室で、先輩はボクの頭を抱きしめ話しかけてくれた。
先輩はいつもボクを守ってくれた。学校や寮でイジワルな先輩に絡まれた事もあった。
先輩が仲介に入ってくれると、それ以降はイジワルされなくなった。柏原先輩はそれくらい学校では有名だったから、、、
「アユム、学校のピアノ担当として今後は任せる。アユムは出来る子。んっっん、ん、、、ゴメン、、、」
いつも笑顔だった柏原先輩の涙を初めてみた。
ボクの目も潤み、、目の前にあるピアノ楽譜がぼやけて見える。
先輩と抱き合い長い、長いキスをした。オチンチンは大っきくならなかった、、、
エッチなんかどうでもいいっ!嫌だ!先輩と離れたくないっ!!
先輩は最後にボクの為だけに弾くと言うと、ピアノピースを慣れしたんだアップライトピアノの譜面台に置いた。
【ショパン 英雄ポロネーズ】
ボクが先輩に弾いてもらいたくて、何度もお願いしたのに、弾いてくれなかった。
先輩は、教えるからいつかアユムが弾いてごらんと、、、、いつも優しく諭してくれた。
あまりにも弾いてくれないから、ボクは内心、先輩は本当は弾けないんじゃないかと思っていた。
それくらい、ボクの中ではハードルが高い難曲だったから、、、
柏原先輩は鍵盤に指を置こうとしたが、急にボクを抱きしめ
「嫌だっ、アユムと、んっ、、、くっ、、離れたくないよ~」
いつも、冷静で、、、ボクのことを温かい目で見守ってくれた先輩。
先輩の目から流れ出る涙、、ボクは再度キスをし涙を舐めた、、、涙は凄くしょっぱい。
先輩は大きく息を吸い込むと、ピアノに向かい合う。
(いやだ、先輩は弾けないよね?この曲が終わるとサヨナラになってしまう。弾かないで)
演奏は始まってしまった。
おどろおどろしいオバケが出そうな音階から始まり和音で落ち着く。
一気に戦場の出陣の合図の様に曲は飛躍する。
先輩は譜面なんかみていなかったが、ボクは必死に大量の音符を追いかけ譜めくりをする。
先輩には必要ないかもしれないけど、、、
いつも助けて貰ってばかりで、何一つ恩返しできていない。
全身全霊で弾く先輩の最後の一曲の一部に、ボクはなりたかった、、、、
最後は曲の主旋律から、騎馬隊の蹄が土を踏み鳴らす勝利の音の様に聞こえた。
先輩と2人きり、狭いピアノ練習室で抱き合い、、、
ボクと柏原先輩との愛は一年半で消えた。
その後10年。先輩と会うことはなかった。
今は嫁さんの前で走り回る2人の子供。
誰にも言えない。言ったこともない。
でも、、、柏原先輩。大好きです。
《 完 》
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