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窓の外が暗くなるにつれ、アデラの絶望も深まっていく。
テレンスは、自分の帰りが遅くなれば、アデラが心配するとわかっているはずだ。
それなのに、まったく連絡がない。
誰かに相談しようにも、皇太子のローレンも地方に視察に行っていて、帰りは明日の朝になると聞いている。
どう動いたらいいのか、慎重に考える必要がある。
それに、アデラはテレンスが向かった採掘場の場所も知らなかった。
きちんと聞いておけばよかったと後悔するが、今さらどうしようもない。
これが祖国のイントリア王国であれば、まだ手の打ちようがあったかもしれない。
でも、ここはティガ帝国である。
誰が信用できるのかわからないので、迂闊に相談することもできない。
アデラは、いつの間にか両手を祈るように組み合わせていた。
(戻れない理由……。採掘場で何かあったのかしら。それとも、帰りの馬車に何かトラブルがあったとか。それに……)
アデラは招待されていないパーティ会場に、他国の元王太子を連れて乗り込んできた令嬢のことを思い出す。
ピーラ侯爵令嬢のメリーサ。
彼女はアデラを目の敵にしていて、嫌がらせのために他国の元王太子までこの国に引き入れていた。
テレンスが帰れない事情に、メリーサが関わっているのだろうか。
そう思うと、不安がさらに広がっていく。
彼女の狙いは自分だと思っていた。
だから、メリーサの悪意がテレンスに向けられる可能性など、まったく考えていなかったのだ。
きっとテレンスもそうだろう。
彼も、アデラを守ることばかりを優先させていた。
落ち着いて座っていることができなくなって、アデラはソファーから立ち上がった。
明日の朝になれば、ローレンが帰還する。
彼に相談すれば、すぐにテレンスを探してくれるだろう。
出かける前にテレンスに言われたように、この部屋から出ないのが一番良いとわかっている。
けれど、もし一刻を争うような状態だったとしたら。
足が震えていることに気が付いて、アデラは壁に手を付いた。
何があっても冷静に対応できると思っていた自分が、こんなにも動揺していることに驚く。
たしかに、テレンスは理想的な婚約者だった。
アデラを尊重してくれ、自由にやりたいことをさせてくれる。
最初は冷たい人だと思っていたけれど、心を許した相手には、穏やかな顔をしていることが多い。
何よりも、アデラも彼に対して好意を持っている。
でも、彼に何かあったのかもしれないと思うだけで、こんなに動揺することは思わなかった。
(私はいつの間にか、こんなにもテレンスを愛していたのね)
たしかに自由も新しい事業も、彼がいなければ成り立たないものではある。
でもそれ以上に、テレンスがいない人生なんて、もう考えられない。
アデラは、視線を部屋の中に巡らせた。
何かできることはないだろうか。
部屋のテーブルには、リンダが持ってきてくれた試作品が置いてあった。それを見て、彼女のことを思い出す。
「そうだわ。リンダ様に……」
どうして今まで気づかなかったのだろう。
自分の余裕のなさに、思わず呆れたような笑いが出た。
イリッタ公爵令嬢であるリンダなら、テレンスが向かった採掘場の場所もわかる。もしかしたら、テレンスの足取りも調べることができるかもしれない。
今のアデラが頼れるのは、彼女しかいなかった。
急いで手紙を書き、それを侍女に託す。
イリッタ公爵の邸宅は、帝城のすぐ近くである。
けれどテレンスの無事を祈り続けているうちに日が沈んでしまい、周囲も暗くなっている。
これでは、手紙が彼女の手に届くのは、明日になってしまうかもしれない。
もう少し早く、リンダのことを思い出せばよかった。そう後悔するが、今さらどうしようもなかった。
侍女が夕食の時間を知らせに来てくれたが、食欲がまったくない。
「……せっかく準備をしてくれたのに、ごめんなさい」
そう謝罪して、夕食を断った。
もう外は暗くなってしまって、どんなに目を凝らしても、外の様子を伺うことはできない。
それでも、窓の傍を離れようとしなかった。
「アデラ様」
ふと声を掛けられて、アデラは振り返る。
侍女が来客を知らせてくれた。
「もう遅い時間ですが、どうなさいますか?」
「もしかして、リンダ様が?」
手紙を読んだリンダが来てくれたのかと期待したが、侍女は首を横に振る。
「いいえ。クリス殿下のようです」
「え?」
予想外の名前を聞いて、アデラも驚く。
どうやらメリーサの婚約者であるクリスが、アデラを訪ねてきたようだ。
そういえばクリスがいたと、ようやく彼のことを思い出した。
メリーサの婚約者ではあるが、彼は我儘な婚約者を咎めることもできずに振り回され、婚約を解消したがっていた。
そしてティガ帝国の皇族であり、皇太子であるローレンの従弟だ。
その彼が、こんな時間に尋ねてきたのだ。
メリーサが、また何かしたのかもしれない。それが、テレンスの不在と結びついているような気がした。
「わかりました」
アデラは頷き、急いで彼が待っている客間に向かう。
すると、落ち着かない様子で部屋の中を歩き回っていたクリスが、アデラを見るなり駆け寄ってきた。
その剣幕に驚いて少し後退するも、クリスは叫ぶように行った。
「大変なんだ。宝石の採掘場で崩落事故があって……」
「……っ」
あまりにも衝撃的な言葉に、くらりと眩暈がした。
倒れそうになったアデラを、付き添っていた侍女が支えてくれる。
「テレンスが……。そこに……」
そう言うのが精一杯だったが、クリスもそれは知っていたらしく、青ざめた顔をして頷いた。
「採掘場は混乱していて、現状も把握できていない様子だった。もしかしたら、テレンスも巻き込まれたのかもしれない」
事故があったのは昼過ぎで、すぐに帝城には連絡があったようだ。
けれどローレンが不在だったために、その話はアデラまで伝わらなかった。
クリスが気付いてこうして教えてくれなかったら、ローレンが帰還するまで知らないままだっただろう。
「もう遅い時間だけれど、今から現場に行こうと思っている。その前にあなたにこのことを伝えたくて」
採掘場は厳重に管理されているらしく、許可のない者は入れない。
だが大規模な崩落事故が起こってしまい、現場はかなり混乱しているようだ。
そこで働いていた者たちの家族が、安否を確認するために押し寄せ、さらに事故に紛れて貴重な宝石を盗掘しようとする者までいるらしい。
皇族であるクリスが向かえば、少しは混乱も落ち着くはずだと、彼はこんな時間に現場に行こうとしている。
「わ、私も連れて行っていただけませんか」
アデラはクリスにそう懇願していた。
「テレンスが、巻き込まれているかもしれないのです。それなのに、ここで黙って待っていることなんて……」
クリスは、悲しそうな顔で首を横に振る。
「それは、できない。危険かもしれないから」
まだ崩落する可能性があるのだろうか。
そう思ったが、彼の答えは予想外のものだった。
「崩落事故は、人工的に引き起こされた可能性がある。爆発音を聞いた者がいたんだ」
「そんな……」
爆薬を仕掛けて、崩落事故を引き起こした者がいる。
それを聞いて、アデラはすぐにメリーサのことを思い浮かべる。
けれど、彼女がここまで大それたことをするだろうか。
「まだ犯人が近くにいるかもしれない。これだけの事故になってしまったから、ローレンも急いで戻ってくるはずだ。だからそれまで……」
ここで待機していてほしい。
クリスはそう言いたかったようだ。
けれど両手を握りしめて震えるアデラの姿に、困ったように笑う。
「心配なのは当然だよ。テレンスの無事を確認するまでは、落ち着かないよね」
「はい」
涙を堪えて、アデラはこくりと頷く。
その様子を痛ましそうに見つめて、クリスは決意したように言った。
「わかった。一緒に行こう。君のことは、必ず守るから」
侍女を引き連れていくと、目立ってしまって危険かもしれない。
こちらに護衛はいるからと言われて、アデラはひとりで彼と一緒に帝城を出ることにした。
目立たない服装をして、ローブを羽織り、さらにフードを被る。
そしてクリスと一緒に馬車に乗って、帝都から宝石の発掘場に向かう。
場所は予想よりも近場で、帝都からそう離れてはいないらしい。
(テレンス。どうか、無事でいて……)
アデラは必死にそう祈る。
そんなアデラを、クリスは静かに見つめていた。
テレンスは、自分の帰りが遅くなれば、アデラが心配するとわかっているはずだ。
それなのに、まったく連絡がない。
誰かに相談しようにも、皇太子のローレンも地方に視察に行っていて、帰りは明日の朝になると聞いている。
どう動いたらいいのか、慎重に考える必要がある。
それに、アデラはテレンスが向かった採掘場の場所も知らなかった。
きちんと聞いておけばよかったと後悔するが、今さらどうしようもない。
これが祖国のイントリア王国であれば、まだ手の打ちようがあったかもしれない。
でも、ここはティガ帝国である。
誰が信用できるのかわからないので、迂闊に相談することもできない。
アデラは、いつの間にか両手を祈るように組み合わせていた。
(戻れない理由……。採掘場で何かあったのかしら。それとも、帰りの馬車に何かトラブルがあったとか。それに……)
アデラは招待されていないパーティ会場に、他国の元王太子を連れて乗り込んできた令嬢のことを思い出す。
ピーラ侯爵令嬢のメリーサ。
彼女はアデラを目の敵にしていて、嫌がらせのために他国の元王太子までこの国に引き入れていた。
テレンスが帰れない事情に、メリーサが関わっているのだろうか。
そう思うと、不安がさらに広がっていく。
彼女の狙いは自分だと思っていた。
だから、メリーサの悪意がテレンスに向けられる可能性など、まったく考えていなかったのだ。
きっとテレンスもそうだろう。
彼も、アデラを守ることばかりを優先させていた。
落ち着いて座っていることができなくなって、アデラはソファーから立ち上がった。
明日の朝になれば、ローレンが帰還する。
彼に相談すれば、すぐにテレンスを探してくれるだろう。
出かける前にテレンスに言われたように、この部屋から出ないのが一番良いとわかっている。
けれど、もし一刻を争うような状態だったとしたら。
足が震えていることに気が付いて、アデラは壁に手を付いた。
何があっても冷静に対応できると思っていた自分が、こんなにも動揺していることに驚く。
たしかに、テレンスは理想的な婚約者だった。
アデラを尊重してくれ、自由にやりたいことをさせてくれる。
最初は冷たい人だと思っていたけれど、心を許した相手には、穏やかな顔をしていることが多い。
何よりも、アデラも彼に対して好意を持っている。
でも、彼に何かあったのかもしれないと思うだけで、こんなに動揺することは思わなかった。
(私はいつの間にか、こんなにもテレンスを愛していたのね)
たしかに自由も新しい事業も、彼がいなければ成り立たないものではある。
でもそれ以上に、テレンスがいない人生なんて、もう考えられない。
アデラは、視線を部屋の中に巡らせた。
何かできることはないだろうか。
部屋のテーブルには、リンダが持ってきてくれた試作品が置いてあった。それを見て、彼女のことを思い出す。
「そうだわ。リンダ様に……」
どうして今まで気づかなかったのだろう。
自分の余裕のなさに、思わず呆れたような笑いが出た。
イリッタ公爵令嬢であるリンダなら、テレンスが向かった採掘場の場所もわかる。もしかしたら、テレンスの足取りも調べることができるかもしれない。
今のアデラが頼れるのは、彼女しかいなかった。
急いで手紙を書き、それを侍女に託す。
イリッタ公爵の邸宅は、帝城のすぐ近くである。
けれどテレンスの無事を祈り続けているうちに日が沈んでしまい、周囲も暗くなっている。
これでは、手紙が彼女の手に届くのは、明日になってしまうかもしれない。
もう少し早く、リンダのことを思い出せばよかった。そう後悔するが、今さらどうしようもなかった。
侍女が夕食の時間を知らせに来てくれたが、食欲がまったくない。
「……せっかく準備をしてくれたのに、ごめんなさい」
そう謝罪して、夕食を断った。
もう外は暗くなってしまって、どんなに目を凝らしても、外の様子を伺うことはできない。
それでも、窓の傍を離れようとしなかった。
「アデラ様」
ふと声を掛けられて、アデラは振り返る。
侍女が来客を知らせてくれた。
「もう遅い時間ですが、どうなさいますか?」
「もしかして、リンダ様が?」
手紙を読んだリンダが来てくれたのかと期待したが、侍女は首を横に振る。
「いいえ。クリス殿下のようです」
「え?」
予想外の名前を聞いて、アデラも驚く。
どうやらメリーサの婚約者であるクリスが、アデラを訪ねてきたようだ。
そういえばクリスがいたと、ようやく彼のことを思い出した。
メリーサの婚約者ではあるが、彼は我儘な婚約者を咎めることもできずに振り回され、婚約を解消したがっていた。
そしてティガ帝国の皇族であり、皇太子であるローレンの従弟だ。
その彼が、こんな時間に尋ねてきたのだ。
メリーサが、また何かしたのかもしれない。それが、テレンスの不在と結びついているような気がした。
「わかりました」
アデラは頷き、急いで彼が待っている客間に向かう。
すると、落ち着かない様子で部屋の中を歩き回っていたクリスが、アデラを見るなり駆け寄ってきた。
その剣幕に驚いて少し後退するも、クリスは叫ぶように行った。
「大変なんだ。宝石の採掘場で崩落事故があって……」
「……っ」
あまりにも衝撃的な言葉に、くらりと眩暈がした。
倒れそうになったアデラを、付き添っていた侍女が支えてくれる。
「テレンスが……。そこに……」
そう言うのが精一杯だったが、クリスもそれは知っていたらしく、青ざめた顔をして頷いた。
「採掘場は混乱していて、現状も把握できていない様子だった。もしかしたら、テレンスも巻き込まれたのかもしれない」
事故があったのは昼過ぎで、すぐに帝城には連絡があったようだ。
けれどローレンが不在だったために、その話はアデラまで伝わらなかった。
クリスが気付いてこうして教えてくれなかったら、ローレンが帰還するまで知らないままだっただろう。
「もう遅い時間だけれど、今から現場に行こうと思っている。その前にあなたにこのことを伝えたくて」
採掘場は厳重に管理されているらしく、許可のない者は入れない。
だが大規模な崩落事故が起こってしまい、現場はかなり混乱しているようだ。
そこで働いていた者たちの家族が、安否を確認するために押し寄せ、さらに事故に紛れて貴重な宝石を盗掘しようとする者までいるらしい。
皇族であるクリスが向かえば、少しは混乱も落ち着くはずだと、彼はこんな時間に現場に行こうとしている。
「わ、私も連れて行っていただけませんか」
アデラはクリスにそう懇願していた。
「テレンスが、巻き込まれているかもしれないのです。それなのに、ここで黙って待っていることなんて……」
クリスは、悲しそうな顔で首を横に振る。
「それは、できない。危険かもしれないから」
まだ崩落する可能性があるのだろうか。
そう思ったが、彼の答えは予想外のものだった。
「崩落事故は、人工的に引き起こされた可能性がある。爆発音を聞いた者がいたんだ」
「そんな……」
爆薬を仕掛けて、崩落事故を引き起こした者がいる。
それを聞いて、アデラはすぐにメリーサのことを思い浮かべる。
けれど、彼女がここまで大それたことをするだろうか。
「まだ犯人が近くにいるかもしれない。これだけの事故になってしまったから、ローレンも急いで戻ってくるはずだ。だからそれまで……」
ここで待機していてほしい。
クリスはそう言いたかったようだ。
けれど両手を握りしめて震えるアデラの姿に、困ったように笑う。
「心配なのは当然だよ。テレンスの無事を確認するまでは、落ち着かないよね」
「はい」
涙を堪えて、アデラはこくりと頷く。
その様子を痛ましそうに見つめて、クリスは決意したように言った。
「わかった。一緒に行こう。君のことは、必ず守るから」
侍女を引き連れていくと、目立ってしまって危険かもしれない。
こちらに護衛はいるからと言われて、アデラはひとりで彼と一緒に帝城を出ることにした。
目立たない服装をして、ローブを羽織り、さらにフードを被る。
そしてクリスと一緒に馬車に乗って、帝都から宝石の発掘場に向かう。
場所は予想よりも近場で、帝都からそう離れてはいないらしい。
(テレンス。どうか、無事でいて……)
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そんなアデラを、クリスは静かに見つめていた。
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