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-日常から非日常へ-
しおりを挟む「じゃあな」
「おう!」
彼は学ランの内ポケットからタバコを取り出し、イキッて咥える。
風でライターの火が消えないように両手でタバコの先を覆うようにして火を点けようと、うつむき加減になった。
何気なく足元が目に入った瞬間。
「うおっ!!」
いつもの帰り道、いつもの角を曲がったそこは崖になっていた。
「嘘だろう…」
崖の底が見えないくらいの断崖絶壁…。
慌てて彼は後ろを振り返ったが、そこは見慣れたいつもの風景だ。
気のせいかと思って、もう一度前を見る。
まあ、なんと見晴らしのいい断崖絶壁があるではないか。
旅行でこんな絶景に出逢えたら、必ず撮影してしまうでしょう。
目の錯覚か?
彼は足元にたまたまあったレンガを投げてみた。
レンガは当たり前のように落ちていった。
しかも落下音は全く聞こえない。
1分ほどが経過してトッと小さな音が反響した。
どれだけ深いのか見当もつかない。
わかっているのは…
-落ちたら確実に死ぬ-
…ということだ。
その時、彼の後ろから人が来て横を通り過ぎようとした…。普通ならばそこに崖があれば、崖がありますよ…。などと言ってと止めたりするのだが彼は悪者だ。
暴力、恐喝、いじめ、窃盗、暴走…腕力にものを言わせてまさにやりたい放題。
クズ中のクズという言葉が、とってもとっても似合う馬鹿だ。
ネットスラングで言うところの典型的なDQNという科に属する生き物である。
なので、止めない。
「こいつ、落ちるかな」
などと黙して様子見だ。実にクズである。
横を通り過ぎた人は落ちるどころか崖のところからフッと消えた。
意味がわからなかった。
東大出のエリートが、このシチュエーションになったとしても解らないのに、彼にわかる筈もない…。
しかし、ここを通らなければ自宅まではとても遠回りだ。
なんだか、彼はジャンプしたら行けそうな気がしてきた。
「ジャンプしてみようかな」
まさに馬鹿である。
馬と鹿のほうがよほど賢いのではと思うくらいだ。
五秒ほど考えて彼は思いとどまった。
ここまで読んでくれた人の何人かはきっと
「飛べばいいのに」
と、思った気がする。
馬鹿なりに考えたが、答えは見つからなかった。
当然だ…。だって、だって彼は馬鹿なんですもの。
面倒くせぇな。なんだこれは畜生などと愚痴っていると、声が聴こえてきた。
「運が良いな」
「誰だ!?誰だコラァ!!」
この生物達はなぜか脈絡もなくコラァと言いたがる。
「運が良いな」
「なんだぁ?オウ!返事せいや!オウ!」
オウオウとも良く言う。
もしかしたら興奮したオットセイよりもオウオウ言うかも知れない。
「上だ上」
「ああ?!」
イキッがって見上げたところに、分かりやすい!実に分かりやすいルックスの奴が浮いていた。
黒っぽい服。
ギラリとした眼。
極めつけは巨大な鎌。
わかりますね。
もうお約束です。
死神ですね。
どうみても死神なのに、彼は馬鹿なのでこう言ってしまいました。
「なな…何者だ!テメー」
はいお手本のようなコメントでございます。拍手喝采です。
しかもビビってます。
「お前、運が良いよ。普通ならこの崖から奈落行きなのにさー」
「奈落ってなんだぁ!」
奈落がわからないほどの馬鹿である。
そして小さい「ぁ」を付けて無駄に叫ぶ。
「奈落はな、地獄だ」
「地獄?!」
「お前は悪い奴だから、奈落行きが決定したんだ」
「なんだと?なんでだよ!!ああ?」
全くもって理解力に乏しい生物である。
流石の死神もため息をつくほどだ。
「お前はさー、今日まで悪行三昧で生きてきただろう?」
「お…おう!?」
悪行三昧の意味がわからないようだ。
もうある意味天才なのではと錯覚してしまいそうだ。
「悪行三昧とは悪いことばかりしてきたということだ」
「そうか、だから何だよ」
開き直りはこの生物の十八番である。
自分が悪くても、ごめんなさいが言えないのだ。
分別のつかない幼子と同等か、それ以下である。
ポジティブな褒め方をするなら、三つ子の魂百までを貫き通す素晴らしい生き物だ。
「悪行三昧の奴はさー、こうして崖からピューと落ちるんだよ。神隠しって言葉は知ってるか?」
「千と千○、観たからな」
意外な物が好きだったりするのもこの生物の特徴だ。
「神隠しの本当の言葉はさー、死神隠しって言うんだよ」
「俺は落ちてねぇよ」
うん。そうだね。おめでとう。と言ってあげよう。
「だから運が良いと言っている」
「おう!」
死神の顔つきが少し変わり、ソッと大鎌を首筋にあてがう。
「死にたい?」
普通ならば「死にたくない」が出るのだが、やはりこの生き物は一味違う。
「舐めんじゃねぇぞ!俺は○○組の竜崎さんを知ってるんだ」
お決まりの台詞である。
怖いというか凄いのは○○組の竜崎さんであって、決して自分ではないのに何故こんなにも自信満々で言えるのだろう。
胸を張って「ボクは1人では何もできないクソヘタレ野郎です」と言い切ってしまうハートの強さは並大抵ではない。
「それはね…どうでもいいよー」
「なんだぁコラァ!!やんのかコラァ!!」
馬鹿って素敵♥️
死神は痩せている。かなり華奢に見える。
彼は勝てる!そう思っているのだ!!
コイツには勝てる!と思ったときのこの生き物の勢いは…
好きなお菓子を見つけたときの幼児のように。
お母さんがお迎えに来たときの園児のように。
カブトムシを見つけたときの男児のように。
夢の中で好きなアイドルに「ハグして」と言われたときの人のように。
運命的な出逢いをした相手との初めてのデートのときのように。
…純粋なモノだろう。
死神はスーッと、彼の前に降り立って、ゆっくりと大鎌を壁に立て掛けてた。
「えいっ」
無造作に繰り出した右拳が水月にめり込み、鈍い音と共に5メートルほど彼はフッ飛んだ。
吐瀉物を撒き散らして、悶絶する彼の頭を踏みつけて死神は呟く。
「まだ、やってみるー?」
「…かっ…勘弁してください」
不利と見るや否や、態度が180度変わるのもこの生物の特徴ですね。
「け…警察…誰か警察を呼んでくれ」
喧嘩上等、国家権力上等とか宣う奴に限って直ぐ様、国家権力に頼るという図々しさには頭が下がりますね。素晴らしいです。
「無駄だよ。俺はオマエにしか見えてない。警察が来たところで、吐いてる奴が喚いてるとしか思われないよ」
踏みつけた頭を踵で揺らしながら、死神はタバコに火を点ける。
「お話し、できるかな?」
「…で…でき…ます」
「うん。いい返事だねー。運が良いって言うのは聞いたよね」
先の一撃が強烈過ぎて、うまく言葉が出ない。
「…ハァ…ハァ」
「もう、ハァハァじゃないよ。全く」
言うと死神は、彼の襟首を掴んで引きずり、先ほどの崖まで連れて行って楽しそうに声を上げる。
「バイバ~イ♪」
片手で80キロオーバーの彼を空高く放り投げた。
そのまま落ちれば崖下へ直行だ。
10メートルほど高く投げられた彼は酷く狼狽して、思い切り叫んだ。
「聞く!話しを聞きます!!」
崖に落ちる刹那、片手で彼の後襟を掴み足元へ転がした。
「運が良いって言うのは聞いたよね?」
「聞きました」
「死にたい?」
「死にたくたないです!」
通りかかった何人かが、彼を凝視して笑っていく。
当然でしょう。
DQNが路上で正座して
「死にたくないです!」
って1人で叫んでいるのだもの。
通行人の対応を見て、崖も死神も自分にしか見えてないことが、馬鹿な彼にもさすがに分かったようだ。
彼と書くのも面倒なので、馬鹿の頭文字を取って、しばらく「馬鹿」と表そう。
頭文字じゃないけど。
「運が良かったお前にチャンスをやろう」
「チャンス?」
「お前は耳が無いのか?きこえない耳なら要らないかー」
耳を掴まれた馬鹿は狼狽して声をあげる。
「まま…待ってください」
「今のやり取りに覚えはあるか?」
「え?」
ミリミリ…
指先に力を込めて掴まれた耳に亀裂が入っていく。
「待って!待って!ある!ある!あります!!同じクラスの!同じクラスの!」
「そうだ。そのとき、お前はどうした?」
「カカ…カッターナイフで」
「カッターナイフで?」
「耳の一部を…きき…切り落としました」
「正解!!」
言うと、死神は馬鹿の耳の半分を躊躇なく引きちぎった。
「ぎゃあああああ!!!」
血まみれになった耳を押さえて馬鹿は悶絶する。
「これが、お前に与えるチャンス」
「すす…すいません!わかりません」
「お前は馬鹿なのか?」
そう…彼は馬鹿なんです。
死神が髪の毛を掴みあげて、馬鹿の顔を覗き込む。
その時、死神の後から声がする。
「どうか、しましたか?」
叫び続ける馬鹿の様子に、近所の人が不振に思い警察を呼んだようだ。
先にも触れたが、死神は馬鹿にしか見えていない。
「…ぼぼ…暴漢に襲われています」
「暴漢?どこに?」
「おまわりさん!そこです!そこに!おまわりさんの隣に」
「誰も居ないけど…。君、耳から血が出ているが大丈夫か?病院に行くか?」
警察官の腹から、すり抜けて顔を出した死神は微笑みながら口を開く。
「だからさ~ぁ、見えてないって言ってるのに。やっぱり崖、行っとく?」
警察官と死神の問い掛けがリンクする。
「行かない!行かないです!行きたくないです!!」
突如、土下座して叫ぶ馬鹿に訝しげな表情を浮かべて警察官は去って行った。
死神は再度、馬鹿の髪の毛を掴みあげた。
「学習能力のない奴だなぁ」
「すす…すいません」
「このやり取りに覚えは?」
「は?」
「このやり取りに覚えはないのか訊いてるんだっ」
言いながら、髪の毛を毟りあげていく。
極度の緊迫感と痛みに呂律が回っていない。
「ああ…ある!あるりっ、!ありっ!アリッ!ありぃいいいいっ…」
「アリの話しなどしていない」
「ちちっ…違います!ありますっ!ありますっ!同じチームの!同じチームの」
「そうだ。それで、どうした?」
「かっ…髪の毛を…毟って」
「毟って?」
「ぎゃ…逆モヒカンの刑と言って…みんなで…笑いました」
「正解!!」
ブチブチブチ…死神は更に髪の毛を引き上げ、逆モヒカンどころか、江戸の町民くらいに髪の毛を毟り取った。
「ああああああ!!!」
「これが、お前に与えるチャンス」
毟しとった大量の髪の毛を馬鹿の眼前にパラパラと落として、死神は口を開く。
「…因果応報という言葉は知ってるな?」
「…わ、わかりません」
…馬鹿である。頭を撫でたいくらいである。
「お前はいくつだ」
「こ…高2です」
「スマホは持ってるか?」
「持ってます」
「調べろ」
「…なにをですか?」
死神はイライラして口に咥えていた、タバコを投げつける。
「因果応報を調べろと言ってるんだっ!」
世にも珍しい、イライラする死神です。
中々、見られないでしょう。
数多の物語や文献などに登場する彼等はどちらかと言うと、冷淡かつ冷静なイメージがあります。
その死神をイラつかせてしまう…。この馬鹿はもはや仙人の域に達してしていると言っても過言ではないでしょう。
馬鹿はスマホを取り出して、因果応報をググってみた。
「…い…因果?応報?とは、良い…ぎょうい?」
「おこないだ!」
死神はイラついている。
「行いか、悪い行い?か…に、よって、それに、ふさわしい…ふさわしい…ほ…ほうい?」
「むくいだっ!」
死神はイライラしている。
「報いが、…げ…げん…われ…る?」
「あらわれるだ!前後の文章の流れを考えろよ!!」
死神はとてもイライラしている。
「現われる…こと。因果…応報は…仏教の…言葉が…ご…ご」
「ごげんだぁあああ!!!」
死神はとっても怒って声を上げた。
その様子に震えながら読み進める。
「ごご語源に、なった、四字熟語である」
さすがに四字熟語は読めたようだ。
「わかったか?」
「え…と、わ、わかりません」
死神は1度、大きく深呼吸をした。
「因果応報は、良いことをしたら良いことが、悪いことしたら悪いことが廻り廻って自分に還ってくるっていうことだ…わかったか?」
「わかりました」
「それでだ。運が良かったお前に与えるチャンスは因果応報というやつだ」
言いながら死神は1冊の手帳を渡す。
手帳を受け取った馬鹿がボンヤリしているのを見て死神は再度タバコを投げつけた。
「見るんだよ!中を!」
手帳を開くと、だった1ページだけの見開きで、何も書かれてはいない。
「何も、書いてないですけど」
「そうだ。何も書かれていない。死神の俺から受け取った666分後に文字が浮き出てくる」
「600…」
「11時間と6分後だ」
「あ…はい」
「666というはな、ヨハネの黙示録で…まあ良いか、どうせお前には理解できまい。縁起の悪い数字とされるのだが、死神にとっては縁起の良い数字なんだ。お前等で言うところの777みたいなものだ。つまり、お前は運が良いということだ」
「わかりました…」
「11時間と6分後に浮き出る文字の事柄は、お前がこれまでに行ってきた悪行だ。それを受け入れて行動にうつせ」
「え??」
「わかりやすく言うとだな…そうだな…。お前は人を殴ったことはあるだろう?」
「は…はい」
答えた瞬間、死神は腹部に拳をめり込ました。
膝をついて悶絶する男の頭を踏みつけて、タバコに火を点けた。
「こういう事だ。例えばその手帳に“いきなり殴った”と文字が浮き出たら、殴られろ」
「?!」
「それが因果応報の受け入れだ。お前の取った行動が因果応報に当てはまれば、次の因果応報が記される。それを最後までやり遂げれば、因果応報の相殺によってお前の悪行は帳消しとなり、死神隠しは中止にしてやろう。どうだ、やってみるか?まあ断れば今すぐ崖から紐なしバンジー。あの世へダイヴだ」
彼に選択の余地はなかった。
戦おうにも圧倒的な戦闘力の差は歴然。
誰にも見えないということは、誰にも助けられないということだとさすがに理解出来た。
震えながら彼はやりますと答えた。
「お前が因果応報の受け入れを熟して、ラスト手前になったら、次で最後と記される。ちなみに猶予は1年だ」
「1年…1年以内に出来なかったら…」
「当然、紐なしバンジーだ。さっきの崖は消したから今日はもう帰れ」
生気のない返事をして、ヨロけながら彼は歩き出した。
「ああ…そうだ。足元には気をつけておけ。時折、崖は現れる」
「えっ?!」
「気づかない時は、それで終わりだ。それとな崖の回避方法は誰かに手を繋いでもらうことだ」
絶望的な表情で彼は家路に着いた。
玄関に入ろうとした時、例の断崖絶壁が現れた。
彼は眼を剥いて立ち尽くした。
「そ…そんな」
”誰かに手を繋いでもらうことだ“
死神の言葉を思い出した。
真横にある門柱のインターホンに手を伸ばす。
ピンポーン
「はい」
彼はプライドだけはエッフェル塔よりも高いので、現状を悟られないようにいつもの調子で口を開く。
「俺だよババア!早く開けに来い!」
いつもの調子で言った彼の隣に死神が現れ、肩に手を回して顔を覗き込む。
「おいー。なーに粋がってるんだよ。散々家庭内暴力を振るっただろ?因果応報わかってるのか?それとな、今日からはお母さんと呼べよ。それともここからダイヴするかー?」
「わわ…わかりました」
狼狽して答えたところに母親が少し動揺しながら玄関を開けた。
頻繁に殴られている為、コイツが帰ってくることが恐怖になっている。
「あ…お帰りなさい…。どうしたの?その頭は」
「あ…いや…お…」
中々、言葉が出ない彼に死神が煽り立てる。
「余計なことは言うなよ?お前、状況わかってるかー?下を見てみろよ?お母さんに手を繋いでもらわないとダイヴなんだぞ?」
「お母さん!!」
「は?」
「げげ…玄関に入るまで、て…手を繋いでいてください」
突然、なにを言い出すんだろう…。
昨日まで気に入らないことが少しでもあると、暴れて殴ってきた息子がお母さん手を繋いでと、謎のワードを発している。
死神に脅されているなどとは露ほども知らない母親は、何故?と訊きたかったがまた殴られても困るので、黙って手を差し出した。
彼はその手をギュッと掴み、恐る恐る1歩を踏み出す。
踏み出した右足が崖に入る瞬間…。
崖は消えた。いつもの見慣れた庭が、そこには在る。
家に入ってからも死神が自分の回りをフワフワ浮いていて時折、脅しをかけてきた。
そのせいで彼はとてもおとなしく、いただきます。ごちそうさま。ありがとう。をきちんと言えるようになっていた。
その夜…彼は風呂場で毟り取られた髪のままでは辛いので、カミソリでスキンヘッドにした。
…そしてフル○ンのまま泣いた。
続く。
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