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「それでは、新入生の皆さんには、これからレベルの測定を行いますので、案内に従ってください」
「レベル測定だって」
「レベル15くらいあったらいいな」
「最初は、5あったら優秀だろ」
「3とか」
やはりレベル測定は、他の生徒たちも浮足立っている。
自分の能力が数値化されるのは、気になるものだからだ。
「あの人、いくつだと思う?」
「ドラゴン倒したくらいなんだから、相当だよな」
「どこでレベリングしたんだろ」
「いいなぁ」
「でも、ちょっと怖くない?」
私について話している囁き声もちらほら聞こえる。
「調子に乗るなよ平民」
「こっちは入学前に兵士たちとレベリングを頑張っていたんだ。お前なんかには負けないからな」
などなど、あちこちから声が聞こえるが無視無視。
新入生たちの名前が呼ばれ始める。毎回思うんだけど、レベル測定なんて身体検査みたいに個室とか別室でやればいいのに。どうしてこう全生徒がいる前でやらないといけないのか。公開処刑でしょう。
次々に新入生たちが壇上に上がり、レベルを計る宝石を握る。そうすると宝石が握った新入生のレベルを計り、結果を叫ぶ。この声が、まぁデカい。
宝石は「レベル5!」「レベル3!」「レベル2!」「レベル15!」と新入生のレベルを叫んでいる。
やはり平均のレベルは、3~5だ。たまに15や20が叫ばれると、「おおっ!」という生徒の驚嘆の声が上がる。王子は15。王国騎士団長の息子は20だった。確かにレベリングを頑張ってると思う。私は、最初から知っているので、驚きはないが。
「エウレカ・レインハルト」
私の名前が呼ばれると、とたんに室内がしぃんと静まり返った。
レベルを引き継いだと言っていたが、本当に引き継いであるなら、上限のレベル100にいくはず。ただ、この宝石がそれを感知できるか分からない。今までは、レベルの引継ぎなんてなかったから、レベル5だった。今回は、どうだろう。
「……」
あれ?
いつもであれば、握ればすぐさま「レベル5!」と叫ぶ声が聞こえるのに、今回はそれがなかった。握る力が弱いのかな?と、思って、思い切り握りしめれば、手の中の宝石が光り始めた。
「レベル100!!!!!」
そう叫んだかと思ったら、宝石が砕け散った。
……やば。学校の備品壊しちゃった。
「れ、レベル100……?」
「レベル100って聞こえたよね!?」
「そんなレベルあんの?」
「魔法具壊れちゃった!」
「いくらなんでも嘘だろう?」
「不正では?」
もう入学式どころではない騒ぎが後ろから聞こえる。
先生たちも「騒がないで」「落ち着いて」「席に座って」と一生懸命声をかけている。
「……」
私は、粉々になった宝石を見つめ、それからそばに立っていた校長の顔を見つめた。
「ひぃっ!」
別に次はお前の番だ、とでも言われたように怯えた表情で私の顔を見つめる校長に、私は言った。
「これ、弁償になりますか?」
「な、ならない!ならない!」
「そうですか。よかったです」
私は、安心して壇上から降りた。
攻略対象が、ドン引きした顔で私を見ているが、無視して、自分の席に座る。
私の近くの席に座る人間が、私から距離を離そうとして、体を遠ざけているのが、少しだけ面白くて、笑ってしまった。
「レベル測定だって」
「レベル15くらいあったらいいな」
「最初は、5あったら優秀だろ」
「3とか」
やはりレベル測定は、他の生徒たちも浮足立っている。
自分の能力が数値化されるのは、気になるものだからだ。
「あの人、いくつだと思う?」
「ドラゴン倒したくらいなんだから、相当だよな」
「どこでレベリングしたんだろ」
「いいなぁ」
「でも、ちょっと怖くない?」
私について話している囁き声もちらほら聞こえる。
「調子に乗るなよ平民」
「こっちは入学前に兵士たちとレベリングを頑張っていたんだ。お前なんかには負けないからな」
などなど、あちこちから声が聞こえるが無視無視。
新入生たちの名前が呼ばれ始める。毎回思うんだけど、レベル測定なんて身体検査みたいに個室とか別室でやればいいのに。どうしてこう全生徒がいる前でやらないといけないのか。公開処刑でしょう。
次々に新入生たちが壇上に上がり、レベルを計る宝石を握る。そうすると宝石が握った新入生のレベルを計り、結果を叫ぶ。この声が、まぁデカい。
宝石は「レベル5!」「レベル3!」「レベル2!」「レベル15!」と新入生のレベルを叫んでいる。
やはり平均のレベルは、3~5だ。たまに15や20が叫ばれると、「おおっ!」という生徒の驚嘆の声が上がる。王子は15。王国騎士団長の息子は20だった。確かにレベリングを頑張ってると思う。私は、最初から知っているので、驚きはないが。
「エウレカ・レインハルト」
私の名前が呼ばれると、とたんに室内がしぃんと静まり返った。
レベルを引き継いだと言っていたが、本当に引き継いであるなら、上限のレベル100にいくはず。ただ、この宝石がそれを感知できるか分からない。今までは、レベルの引継ぎなんてなかったから、レベル5だった。今回は、どうだろう。
「……」
あれ?
いつもであれば、握ればすぐさま「レベル5!」と叫ぶ声が聞こえるのに、今回はそれがなかった。握る力が弱いのかな?と、思って、思い切り握りしめれば、手の中の宝石が光り始めた。
「レベル100!!!!!」
そう叫んだかと思ったら、宝石が砕け散った。
……やば。学校の備品壊しちゃった。
「れ、レベル100……?」
「レベル100って聞こえたよね!?」
「そんなレベルあんの?」
「魔法具壊れちゃった!」
「いくらなんでも嘘だろう?」
「不正では?」
もう入学式どころではない騒ぎが後ろから聞こえる。
先生たちも「騒がないで」「落ち着いて」「席に座って」と一生懸命声をかけている。
「……」
私は、粉々になった宝石を見つめ、それからそばに立っていた校長の顔を見つめた。
「ひぃっ!」
別に次はお前の番だ、とでも言われたように怯えた表情で私の顔を見つめる校長に、私は言った。
「これ、弁償になりますか?」
「な、ならない!ならない!」
「そうですか。よかったです」
私は、安心して壇上から降りた。
攻略対象が、ドン引きした顔で私を見ているが、無視して、自分の席に座る。
私の近くの席に座る人間が、私から距離を離そうとして、体を遠ざけているのが、少しだけ面白くて、笑ってしまった。
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