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「エウレカ・レインハルト。クラスS」
ファントム王国の王族、貴族の子どもたちが通う王立学園。
大広間にて、入学式が執り行われていた。
教師や在校生たちが、緊張した様子の新入生を見守っている中、私の名前とクラスが呼ばれると、緊張感がありつつも和やか空気が一変した。
ひそひそと「あれが噂のドラゴンキラー」だの「一般人出身の特待生は学園始まって以来100年はいなかったらしい」だの、生徒たちの囁き声が聞こえた。
逆ハーレムエンドに必要なイベントを、私がやってしまったからだ。
入学前、この国にはドラゴンが襲ってきた。
海を越えたはるか向こう、ドラゴンの怒りを買ってしまった国が滅ぼされてから、3日経ったある日、怒りが収まらないドラゴンが、この国にもやってきたのだった。
兵士、騎士、魔法士が集められたものの、前例のない大物の襲撃に国は、大混乱。
そして、それを私が解決した。
簡単に言えば、そういうイベントだった。
そして、私は見事英雄として、表彰。
学園の特待生として、入学費用、学費は免除。その他もろもろ、学園で必要な費用は、すべて国が持つという異例の待遇で、私は入学した。
そして、クラス分け。
この学園では、魔力によってクラス分けをされていた。
Sクラスが、王族、それからそれに並ぶ上流貴族。
Aクラスは、上流、それから一部の中流貴族。
Bクラスは、中流から下流貴族。
Cクラスが下流貴族。
そして、Dクラスが平民といった感じだ。
この平民といっても、やはり王立学園なだけあって、学費を払う余裕のある家からの子どもしかいない。完全な平民は、私一人。それも実力で、入学という異例もあって、生徒たちが騒ぐのも無理はなかった。
―まぁ。こんなの慣れましたけどね。
いつも通り、特待生による新入生代表の式辞を述べ、席に座る。
隣に座るのは、王太子殿下。それからもうすっかり見慣れた攻略対象の顔だった。
「ずいぶんと慣れてるんだな。平民の出だから、もう少し無様な姿を見せると思ったが」
「……」
私が無視をすると、王子の顔が歪んだ。
いつもであれば、社交辞令なり愛想よくなりしていたのだけど、もうそんな気持ちにはなれなかったので、愛想悪かろうがなんだろうが、私は開き直っていた。
「平民は礼儀もなっていないらしい」
「仕方ありませんわ。本来なら、この場にいるにはふさわしくない方ですもの。どうかお気になさらないで」
王子を慰めるように、王子の婚約者のミリアリアが王子に話しかけていた。
私は、そんな声をまるっと無視して、前だけを見ていた。
大体、この場にふさわしくないとか言ってるが、この場に引っ張り出したのは、お前らの親だからな。と言い返したい気持ちを抑え込みながら。
ファントム王国の王族、貴族の子どもたちが通う王立学園。
大広間にて、入学式が執り行われていた。
教師や在校生たちが、緊張した様子の新入生を見守っている中、私の名前とクラスが呼ばれると、緊張感がありつつも和やか空気が一変した。
ひそひそと「あれが噂のドラゴンキラー」だの「一般人出身の特待生は学園始まって以来100年はいなかったらしい」だの、生徒たちの囁き声が聞こえた。
逆ハーレムエンドに必要なイベントを、私がやってしまったからだ。
入学前、この国にはドラゴンが襲ってきた。
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兵士、騎士、魔法士が集められたものの、前例のない大物の襲撃に国は、大混乱。
そして、それを私が解決した。
簡単に言えば、そういうイベントだった。
そして、私は見事英雄として、表彰。
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そして、クラス分け。
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Bクラスは、中流から下流貴族。
Cクラスが下流貴族。
そして、Dクラスが平民といった感じだ。
この平民といっても、やはり王立学園なだけあって、学費を払う余裕のある家からの子どもしかいない。完全な平民は、私一人。それも実力で、入学という異例もあって、生徒たちが騒ぐのも無理はなかった。
―まぁ。こんなの慣れましたけどね。
いつも通り、特待生による新入生代表の式辞を述べ、席に座る。
隣に座るのは、王太子殿下。それからもうすっかり見慣れた攻略対象の顔だった。
「ずいぶんと慣れてるんだな。平民の出だから、もう少し無様な姿を見せると思ったが」
「……」
私が無視をすると、王子の顔が歪んだ。
いつもであれば、社交辞令なり愛想よくなりしていたのだけど、もうそんな気持ちにはなれなかったので、愛想悪かろうがなんだろうが、私は開き直っていた。
「平民は礼儀もなっていないらしい」
「仕方ありませんわ。本来なら、この場にいるにはふさわしくない方ですもの。どうかお気になさらないで」
王子を慰めるように、王子の婚約者のミリアリアが王子に話しかけていた。
私は、そんな声をまるっと無視して、前だけを見ていた。
大体、この場にふさわしくないとか言ってるが、この場に引っ張り出したのは、お前らの親だからな。と言い返したい気持ちを抑え込みながら。
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