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第2部

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レミーさんの姿が見えなくなって、ようやく私はため息をこぼせた。

「ようやく静かになったな」
「最初から妖精の力が目当てだったんだね。私に話しかけるなんて、そんなことだろうとは思ったけどさ。回りくどいこと言わないで、さっさと言えばよかったのに」
「そしたら断られると思ったんだろ。一応、警戒を解こうと頑張ってたじゃないか」
「どっちにしろ断られるって思わなかったのかしら。一日、二日、少し会っただけの他人の力を借りようなんて、よく思える。レミーさん自身は、手を貸してくれないくせに」

なんだか愚痴っぽくなってしまった。
知らない男性と話したからか、少し疲れた。作業の再開をするやる気も出てこない。

「なんだか話しただけなのに疲れたわ」
「同じく。少し休憩しようか」
「そうだね。おやつ食べよう」

私たちは、いそいそとお茶やお菓子を用意していると、また人の足音が聞こえて、そちらを見てみると大人の男性が近づいてくるのが見えた。

「君がエミリアだね」
「……」

私とポッドは、顔を見合わせた。
たぶん同じ気持ちだった。

―めんどくさいなぁ。

いや、この国の人たちと仲良くしたい。交流したい。とは思っていたけど、どうにもタイミングが悪いなぁ。
内心、私はそう思ったけど、もちろん顔には出さず無理やり、にっこり笑顔を浮かべて「どうしましたか」と声をかけてきた男性に問いかけた。
もしかしたら、建物の修繕で何かあったのかもしれないし、不測の事態が起きた可能性もあるからだ。

結論から言うと、もちろん違った。
この時、話しかけてきた男性も去っていき、それからも、ちょこちょこと人がやって来ては、その対応をしていた。そんなことをしていれば、あっという間に時間は過ぎて、周りがすっかり暗くなってきたころ、痺れを切らしたのか、疲れたのか、めんどくさくなったのか、ポッドは、私がまだ男性と話しているにも関わらず、「一体いつまで話しているつもりだ!子どもをこんな暗くなるまで拘束するな!」と怒ったため、私と話していた男性は、逃げるように、去っていった。

「こんな遅くに来るなんて、まったく常識がない大人もいるもんだ!」
「妖精に常識を疑われる人もなかなかいないよね」

やってきた人たちは、大体レミーさんと同じようなことを言った。

「自分の力になってほしい」
「この国のリーダーにしてほしい」

中には、「他の人を追い出してほしい」なんてことを言ってくる人もいた。
私は、もちろんだけど、妖精たちにそんな力はありませんよ、と言っても聞く耳持たずといった様子で、私の言葉もポッドの言葉も聞いてくれる人はいなかった。
私はこの国の人たちと仲良くなりたいとは思っていたけど、こうやって一方的にまくしたてられるとは思っていなかった。
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