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第2部

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城の周りや城下町は、修復が進んできている。
これも連日、妖精たちが昼夜働いてくれているからである。
あいかわらず、この国の人たちはお城に引きこもってばかりで、ろくに会話もしていない日が続いている。唯一、接点があるところといえば、炊き出しの時くらいであろうか。
この国は、先日の戦のせいで周りは他の土地と切り離されているため、空を飛ぶ以外に移れなくなっている。私も知らなかったのだけど、この国は完全に輸入品に頼っていたせいで、自国で食料を作っていないらしい。
だから、こちらが食料を持ってこないと、この国の人たちは飢えてしまうので、妖精たちに頼んで食料を運んでもらっていた。
そして、それを朝、昼、夕の三回、渡していた。
その時もお互いに会話はない。

「どうぞ」
「……」

こんな感じで、ムッツリと黙り込んだまま、こちらに何か言いたげな目で見た後、料理を持っていくだけだった。
こちらがやりたくてやっていることではあるにしても、こうも何も言わずに毎日接さられると、こちらも気がめいってしまう。お礼の言葉一つ言ってもらえば、もう少し気持ちも楽になるのだけど。

「あの連中をどうにかしないと、いずれ問題を起こすぞ」
「問題って?」
「毎日毎日、不満だらけの顔を見ていれば分かるだろ?連中、俺たちを今にも追い出そうとしている顔だ」
「追い出すって……、でも自分たちで暮らしていけるのかな」

今は、修理も食料の調達も全部こちらが担っている。
それなのに、これから全部自分たちでやるということだろうか。
この国の設備は、すべて魔法が使えること前提で作られているから、魔法なしでは日常生活も満足に送れないだろう。
さすがに、私の知識では魔法なしで、どうやって調理場やそのほかの設備が、どういう風に作られているのか、分からないし、知らないので、なにも直していない。
妖精たちも、元の形に直しているだけだから、私たちを追い出したところで、どうなるというのだろう。

「そう思うと、この国って、色々と問題は山積み、やることが多いのね」
「追い出してもらった方が、よほどいいのかもな」
「そんなこと言わないでよ。せっかくこんなに頑張ったのに」

こんなに頑張って、妖精たちにも力を貸してもらっているのに。
あの国の人たちは、この国が抱えていた問題を体現しているようなものだ。
彼らも変わらなくては、結局この国の建物を直して元の形にしたところで、何も変わらないのだ。
そんなこと分かっていたはずなのに。

「結局、頑張っていれば報われると思っていたのが間違いだったのかな」
「そんなことはないと思うが」

私の弱音にポッドが困り果てた声を出した。
そんなこと言われても困るよね。
分かってるだけど。
この国に住んでいたい、っていうのは、私のわがままなんだろう。
この国の人たちは、私のことをよく思っていない。受け入れていない。それなのに、無理やり私を認めてもらおうとしているのが、悪い方向に進んでいるような気がする。

「私たち、この国に住んでいたいって願いは一緒なのに、どうしてこんなに上手くいかないんだろう。同じこの国に生まれたのに。生きてきたのにね」
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