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第1部

後日談

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昔、聖女が作った国がありました。
聖女は、その国とそこに住む人間、そして妖精たちを愛しており、そんな聖女を神は愛しておりました。神に愛された聖女だけが受けられる恩恵は、強い力でした。
いつしか聖女はこの国の皆が幸せになれるようにと願い、その力の恩恵を民にも分け与えました。しかし、聖女は人間でした。
寿命を迎えた聖女は葬られ、あれだけ民のために尽くした聖女の行動も願いも、いつしか人々の記憶から消えていきました。
自分たちがなぜ、力を使えるのかも、忘れた国民たちだけが残りました。

時は過ぎ、そこは、神を信じない王と国民がいました。
聖女がいなくなった今、神の関心はその国にはありませんでした。
自分たちの力が少しずつ弱くなっていることも知らずに、その国の人間たちは幸せに暮らしていました。
ある一人の娘が生まれるまでは…。

その娘は、あの聖女の生まれ変わりでした。
そのため、絶大な力をその身に持っていましたが、それを妬んだ家族の手によって、封じ込められてしまったのです。そんなことも知らずに、娘は一人家族の仕打ちに耐えながら生きていました。
そんなある日、娘は妖精と友人になりました。
娘と妖精は、すぐに心を通わせ、妖精は娘の幸せを願うようになりました。
そして、ついに妖精が、娘にひどい仕打ちをするこの国を滅ぼしてほしいと頼むと、神はようやくその国のことを思い出しました。
何度聖女を傷つければ気が済むのだと、心底怒りと軽蔑をすると、その国から、自身の恩恵を奪い取りました。
恩恵を授けたことを神すら忘れていたのです。なにせ、些事なことでしたから。
そして、あっという間にその国は、崩壊していきました。
神の加護を失い、自身の力の恩恵すらも奪われた国民たちに出来ることは何もありませんでした。
ただ、日々続く災害に身を震わせておりました。
そして、ついに国は滅びました。
娘は隣国にいましたが、友人の妖精の助けを借り、その土地に娘は妖精と共に生きることを決めました。
その国は、今私たちが住んでいる国です。

「先生。もう終わり?」
「ええ。終わり」
「それから、その「娘」は幸せになったの?」
「ええ。妖精と一緒に暮らしているわ」
「この国もいつか滅ぶことがあるのかな?」
「どうだろうね」

私はジェイフにそっくりの子どもの頭を撫でた。
名前もジェイフと名付けた。
元の国が滅んだあと、この国で死んだ妖精は、人間の子どもとして、生まれ変わった。
妖精に人間の両親はいない。
だから、私は先生として子どもたちを育てていた。

この国には、元妖精の子どもと妖精しか住んでいない。
人間は私一人だ。
いつしか、私もまた死ぬだろう。
その時は、妖精として生まれ変われたらいいのにな、と思った。
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