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第1部
終
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「あ…あ…」
そして、ゆっくりとまた剣が下りてくる。
まるで意思を持っているように、剣の切っ先がまっすぐと陛下の胸めがけて下りてきて、そのまま簡単に陛下の胸を刺した。
「きゃあああああ」
悲鳴、怒声、人がバタバタと走り回る音。
「おい。アリシア逃げるぞ」
ジェイフがユニコーンに乗って、私を連れていく。
―私が、陛下を殺してしまった。違う、あれはわざとじゃない。陛下が剣を持っていたのが悪いのに。
「逃がさぬ…逃がさぬぞっ!」
陛下が、血しぶきを上げて自身の胸から剣を引き抜いた。
そして、そのままこちらめがけて剣を槍のように投げた。
「うっ!」
「エミリアッ!」
私は、そのまま剣が体に突き刺さるのを感じた。
どれだけの力があれば、ここまで剣を投げることが出来るのだ。
さすがは魔物殺しの王。
戦い好きとは聞いていたけど、こんなところで、私がその力を知ることになるとは思わなかった。「逃げろ、早く逃げるんだ!」
ジェイフの声がする。
でも、もう体が動かない。
それに、私のことを心配している余裕なんてないはずなのに……。
そう思って振り返ると、そこにはジェイフの姿はなかった。
「え?」
ユニコーンの真っ白な毛並みに点々と落ちている小さな赤いしみ。
それをたどるようにしてみると、次に見えたのは落ちていくジェイフと陛下が投げた剣だった。
「ジェイフ!!」
何で?どうしてジェイフが?
「ぐふっ……げほっ」
口からも血を流して、苦しそうな表情を浮かべている。
「あぁ……そんな……」
「心配するな」
ユニコーンの速度は落ちない。そのまま遠くに飛んでいく。
ジェイフの距離もどんどんと離れていく。
「そんな…ジェイフを救わないと…このままじゃ地面にたたきつけられてしまうわ。お願い。下におりて。ジェイフを助けて」
ユニコーンは、私のそんな言葉なんて聞こえていないようだった。
どこまでも遠く空へ、空へと駆けていく。
「どうして。こんなことになってしまったの」
私眼前では、地面が割れ、次々と建物が崩れ、人が底のない暗い穴の中に落ちていく姿があった。
地獄があるとすれば、ここだった。
「裁きの時が来たんだ。妖精の一人を犠牲にして、この国はついに滅びることになる」
呆然と滅んでいく国を見つめていると、急に声がした。
その声に私は、はっとして声の主のもとに顔を向けた。
そこには、やはり懐かしい顔があった。
「ポッド…」
「ジェイフは、お前の代わりに剣を受けたんだ」
「そんな…どうして…」
どうして、ジェイフが犠牲になったのか。
どうして、ジェイフが死ななければならないのか。
そんな疑問が次々と湧いて出てくる。
「結局。私が悪いの?」
「…エミリア」
「私のせいで、この国は滅びることになった。じ、ジェイフだって、私の代わりに剣を受けることになった…みんな、わたしのせいで…」
ポッドに会ったら言いたかったこと、聞きたかったことがたくさんあったのに、すべて吹き飛んでしまった。
「結局、私はなんのために今まで生きてきたの」
こんな結末を迎えるために、私は生まれて来たわけじゃないのに……。
涙が流れて止まらない。
そんな私の頬を、そっと誰かが触れた。
「エミリア、泣くな」
エミリアを泣かすためにあいつが剣を受けたわけじゃないんだ。そんな絶望しきった顔をしていたら、ジェイフが報われないだろう?」 いつも通りの口調。ポッドが、私を優しく慰めるときの声。
ー私に、出来ることはなんだろう。これから出来ることは。
こんなところで泣いている暇はない! 私は、自分のほっぺを思いっきり叩いた。
バチンッといい音がする。
痛かったけど、おかげで目が覚めた。
そうだ。私が諦めたら、すべてが終わってしまう。
ジェイフの命まで無駄になってしまう。
だから、しっかりしろ!エミリア!! 自分で自分を叱咤する。
すると、不思議と心が落ち着くような感じがした。
ポッドが、赤くなった私の頬を優しくなでた。
あたたかな小さな熱を久しぶりに感じて、また涙があふれてきそうになったが、必死にこらえた。
大丈夫だ。
今なら何でもできる気がする。
ジェイフはきっと大丈夫だと言ってくれるはずだから。
私は、まっすぐと前を見る。
ジェイフの死を無駄にするわけにはいかない。
私は、ユニコーンの背に乗ったまま、思い切り息を吸った。
「私、この国の聖女になるわ」
私の宣言に、ポッドが目を丸くした。
「まだこの国は間に合うはずでしょう?」
私は、力強く言った。
この国を救う方法はあるはずなんだから。
それに、もし仮になくても、私が救ってみせる。
私の決意に、ポッドは驚いた様子だったがすぐに微笑んだ。
そして、手を伸ばしてユニコーンの背中に乗る私の手をしっかりと握ってくれた。
その手が、すごく温かく感じる。
―ありがとう、ジェイフ。あなたの命は絶対に無駄にしない。
そう誓いながら、私は強くポッドの手を握った。
私たちは、ユニコーンに乗って空を飛んでいた。
空から見ると、国が滅ぶさまがよく分かった。
建物が崩れ落ちていく。
そのたびに、人々の悲鳴が聞こえてくる。
それでも、ユニコーンは止まることなく駆け続けた。
もうすでに、国は半分以上が崩れている。
あともう少しで、完全に滅びるのかもしれない。
そう思うと、恐怖と不安でどうにかなりそうだった。
でも、今はそんなことを考えている場合ではない。
まずは、この国を立て直すことが先決だった。
そのために、私が出来ることをしなくてはならない。
私一人では、どうにもならないけれど、この国にはまだ希望がある。
それを、この手でつかみ取らなくてはならなかった。
そうしなければ、ジェイフの命が無駄にされてしまうのだから。
私は、隣にいるポッドを見た。
ポッドも私を見ていた。
「ポッド。私の願いを一つ、なんでもかなえてくれるって言ったよね」
「…ああ」
「だったら、神様に私の言葉を届けてほしい」
私の言葉にポッドは、驚いたようだった。もっと直接的なことを頼んでくると思ったからだろう。
「この国に、もう少しだけ希望をください。私、きっと良くしていきますからって」
「もし、出来なかったら?」
「この国と今度こそ一緒に滅びますって」
「そうか…」
ーそんなにこの国が好きだったのか?
ポッドは、少しだけ寂しそうに言った。
「お前をずっと助けてくれなかった国だぞ。お前を見ようともしなかった国だ」
「それでも、ポッドに会えたから」
「……」
「ポッドに会えた、そんなに奇跡が起きた国、ほかにある?」
私は笑った。
ポッドは、そんな私をじっと、見つめて笑った。
「その通りだな」
◇
「…こうして。この国は一人の聖女と一人の妖精の手で救われましたとさ。めでたしめでたし」
「おしまい?」
「うん。おしまい」
「それで、聖女様と妖精はどうなったの?」
子どもたちが不思議そうに言う。
「結婚したの?」
「妖精と人間は結婚しないだろ」
「幸せに暮らしたんじゃない?」
あいまいな私の答えに子どもたちは、不満だったのか声を上げた。
「えー!」
「じゃあ、今日はこの辺にしておきましょう」
「はーい。先生またね」
「はい。またね」
「…それで?物語の続きは、どうなったんだ?」
いつのまにか肩に乗っていたポッドが、試すような顔で笑っている。
「続きは、一緒に見てくれるんでしょう?」
家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました
同時に救いました
そして、ゆっくりとまた剣が下りてくる。
まるで意思を持っているように、剣の切っ先がまっすぐと陛下の胸めがけて下りてきて、そのまま簡単に陛下の胸を刺した。
「きゃあああああ」
悲鳴、怒声、人がバタバタと走り回る音。
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「逃がさぬ…逃がさぬぞっ!」
陛下が、血しぶきを上げて自身の胸から剣を引き抜いた。
そして、そのままこちらめがけて剣を槍のように投げた。
「うっ!」
「エミリアッ!」
私は、そのまま剣が体に突き刺さるのを感じた。
どれだけの力があれば、ここまで剣を投げることが出来るのだ。
さすがは魔物殺しの王。
戦い好きとは聞いていたけど、こんなところで、私がその力を知ることになるとは思わなかった。「逃げろ、早く逃げるんだ!」
ジェイフの声がする。
でも、もう体が動かない。
それに、私のことを心配している余裕なんてないはずなのに……。
そう思って振り返ると、そこにはジェイフの姿はなかった。
「え?」
ユニコーンの真っ白な毛並みに点々と落ちている小さな赤いしみ。
それをたどるようにしてみると、次に見えたのは落ちていくジェイフと陛下が投げた剣だった。
「ジェイフ!!」
何で?どうしてジェイフが?
「ぐふっ……げほっ」
口からも血を流して、苦しそうな表情を浮かべている。
「あぁ……そんな……」
「心配するな」
ユニコーンの速度は落ちない。そのまま遠くに飛んでいく。
ジェイフの距離もどんどんと離れていく。
「そんな…ジェイフを救わないと…このままじゃ地面にたたきつけられてしまうわ。お願い。下におりて。ジェイフを助けて」
ユニコーンは、私のそんな言葉なんて聞こえていないようだった。
どこまでも遠く空へ、空へと駆けていく。
「どうして。こんなことになってしまったの」
私眼前では、地面が割れ、次々と建物が崩れ、人が底のない暗い穴の中に落ちていく姿があった。
地獄があるとすれば、ここだった。
「裁きの時が来たんだ。妖精の一人を犠牲にして、この国はついに滅びることになる」
呆然と滅んでいく国を見つめていると、急に声がした。
その声に私は、はっとして声の主のもとに顔を向けた。
そこには、やはり懐かしい顔があった。
「ポッド…」
「ジェイフは、お前の代わりに剣を受けたんだ」
「そんな…どうして…」
どうして、ジェイフが犠牲になったのか。
どうして、ジェイフが死ななければならないのか。
そんな疑問が次々と湧いて出てくる。
「結局。私が悪いの?」
「…エミリア」
「私のせいで、この国は滅びることになった。じ、ジェイフだって、私の代わりに剣を受けることになった…みんな、わたしのせいで…」
ポッドに会ったら言いたかったこと、聞きたかったことがたくさんあったのに、すべて吹き飛んでしまった。
「結局、私はなんのために今まで生きてきたの」
こんな結末を迎えるために、私は生まれて来たわけじゃないのに……。
涙が流れて止まらない。
そんな私の頬を、そっと誰かが触れた。
「エミリア、泣くな」
エミリアを泣かすためにあいつが剣を受けたわけじゃないんだ。そんな絶望しきった顔をしていたら、ジェイフが報われないだろう?」 いつも通りの口調。ポッドが、私を優しく慰めるときの声。
ー私に、出来ることはなんだろう。これから出来ることは。
こんなところで泣いている暇はない! 私は、自分のほっぺを思いっきり叩いた。
バチンッといい音がする。
痛かったけど、おかげで目が覚めた。
そうだ。私が諦めたら、すべてが終わってしまう。
ジェイフの命まで無駄になってしまう。
だから、しっかりしろ!エミリア!! 自分で自分を叱咤する。
すると、不思議と心が落ち着くような感じがした。
ポッドが、赤くなった私の頬を優しくなでた。
あたたかな小さな熱を久しぶりに感じて、また涙があふれてきそうになったが、必死にこらえた。
大丈夫だ。
今なら何でもできる気がする。
ジェイフはきっと大丈夫だと言ってくれるはずだから。
私は、まっすぐと前を見る。
ジェイフの死を無駄にするわけにはいかない。
私は、ユニコーンの背に乗ったまま、思い切り息を吸った。
「私、この国の聖女になるわ」
私の宣言に、ポッドが目を丸くした。
「まだこの国は間に合うはずでしょう?」
私は、力強く言った。
この国を救う方法はあるはずなんだから。
それに、もし仮になくても、私が救ってみせる。
私の決意に、ポッドは驚いた様子だったがすぐに微笑んだ。
そして、手を伸ばしてユニコーンの背中に乗る私の手をしっかりと握ってくれた。
その手が、すごく温かく感じる。
―ありがとう、ジェイフ。あなたの命は絶対に無駄にしない。
そう誓いながら、私は強くポッドの手を握った。
私たちは、ユニコーンに乗って空を飛んでいた。
空から見ると、国が滅ぶさまがよく分かった。
建物が崩れ落ちていく。
そのたびに、人々の悲鳴が聞こえてくる。
それでも、ユニコーンは止まることなく駆け続けた。
もうすでに、国は半分以上が崩れている。
あともう少しで、完全に滅びるのかもしれない。
そう思うと、恐怖と不安でどうにかなりそうだった。
でも、今はそんなことを考えている場合ではない。
まずは、この国を立て直すことが先決だった。
そのために、私が出来ることをしなくてはならない。
私一人では、どうにもならないけれど、この国にはまだ希望がある。
それを、この手でつかみ取らなくてはならなかった。
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「…ああ」
「だったら、神様に私の言葉を届けてほしい」
私の言葉にポッドは、驚いたようだった。もっと直接的なことを頼んでくると思ったからだろう。
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「もし、出来なかったら?」
「この国と今度こそ一緒に滅びますって」
「そうか…」
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ポッドは、少しだけ寂しそうに言った。
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「それでも、ポッドに会えたから」
「……」
「ポッドに会えた、そんなに奇跡が起きた国、ほかにある?」
私は笑った。
ポッドは、そんな私をじっと、見つめて笑った。
「その通りだな」
◇
「…こうして。この国は一人の聖女と一人の妖精の手で救われましたとさ。めでたしめでたし」
「おしまい?」
「うん。おしまい」
「それで、聖女様と妖精はどうなったの?」
子どもたちが不思議そうに言う。
「結婚したの?」
「妖精と人間は結婚しないだろ」
「幸せに暮らしたんじゃない?」
あいまいな私の答えに子どもたちは、不満だったのか声を上げた。
「えー!」
「じゃあ、今日はこの辺にしておきましょう」
「はーい。先生またね」
「はい。またね」
「…それで?物語の続きは、どうなったんだ?」
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