家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました

猿喰 森繁

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第1部

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「でも、仲間意識はあるのよね?友達はいるもの」
「どうだろうな」
「え?」

ジェイフは、私の言葉にそっぽを向いている。
ポッドは、ジェイフのことを友達として紹介していたけど、ジェイフのほうは違うのだろうか。

「俺は、そう思っているけど、あいつにとっては俺の存在なんてどうでもいいのかもな」
「どうして?」
「俺の言葉なんて何にも聞いてくれなかった。俺は、止めたのにあいつはなーんにも。それなのに友達だっていうか?」
「拗ねてるの?」
「さぁな」

友情というのもなかなか難しいらしい。
ジェイフは、ポッドのことをどう思っているのだろう。
止めようとしたというのは、私と一緒にいることだろうか。
それともあの国に行くことだったのだろうか。

「どれくらいポッドと一緒にいたの?」

驚くくらい真っ暗な夜だった。
いつもは、夜空を照らしている星たちが、あの一際輝く星以外見つからなかった。
これも異常事態なのだろうか。
私が生きていて、初めてのことだからわからない。ただ、ずっと怖かった。
何かが起きているのは、間違いない。ただ、それは私の力なんて何の役にも立たないくらいに巨大な力の前にいるようだった。
あの星に、あの国に近づくたびに私の体が引き返せっと叫んでいるようだった。
それから逃げたくて、意識をそらしたくてずっとジェイフに話しかけてしまっている。ジェイフが、私の話を無視してくれないことが幸いだった。そうでなければ、もしかしたら明日行こうと引き返していたかもしれない。
あれだけ、あの国に行ってやると豪語していたのに、実際はこれだから嫌になる。
私はただの人間だった。
それだけが分からされた。

「お前が期待しているよりは、短いよ。もともと、あいつは旅人だったからな」
「そうなの?」
「妖精は、基本的には一つの国にいるが、まぁ中には変わり者だったいるさ。それがあいつだったってわけ」
「そうなのね。私の家のネズミ捕りに引っ掛かっていたのよ」
「ネズミ捕り?」

私は、ポッドとの出会いを話した。
ポッドがネズミ捕りに引っ掛かっていたのを助けたこと。
それが、きっかけで仲良くなったこと。

「ありえないな」
「そうでしょう。ネズミ捕りにひっかかる妖精なんているのねって思ったわ」
「そうじゃない」
「え?」
「ネズミ捕りなんて、簡単に抜け出すことが出来たはずなのに、どうしてあいつはお前が来るまで捕まっていたんだろうな」
「どういうこと?」
「俺たちは、魔法が使える。お前たちから見えないように姿を消すことだって出来る。それなのに、なんであいつはお前の前に姿を現したのか、不思議に思ってな」
「そういえばそうね…」

確かに魔法が使えるのだからネズミ捕りなんて簡単に抜け出せそうなものだ。
それなのにどうして、そんなのに引っ掛かっていたのかしら。
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