43 / 74
第1部
82
しおりを挟む
「でも、仲間意識はあるのよね?友達はいるもの」
「どうだろうな」
「え?」
ジェイフは、私の言葉にそっぽを向いている。
ポッドは、ジェイフのことを友達として紹介していたけど、ジェイフのほうは違うのだろうか。
「俺は、そう思っているけど、あいつにとっては俺の存在なんてどうでもいいのかもな」
「どうして?」
「俺の言葉なんて何にも聞いてくれなかった。俺は、止めたのにあいつはなーんにも。それなのに友達だっていうか?」
「拗ねてるの?」
「さぁな」
友情というのもなかなか難しいらしい。
ジェイフは、ポッドのことをどう思っているのだろう。
止めようとしたというのは、私と一緒にいることだろうか。
それともあの国に行くことだったのだろうか。
「どれくらいポッドと一緒にいたの?」
驚くくらい真っ暗な夜だった。
いつもは、夜空を照らしている星たちが、あの一際輝く星以外見つからなかった。
これも異常事態なのだろうか。
私が生きていて、初めてのことだからわからない。ただ、ずっと怖かった。
何かが起きているのは、間違いない。ただ、それは私の力なんて何の役にも立たないくらいに巨大な力の前にいるようだった。
あの星に、あの国に近づくたびに私の体が引き返せっと叫んでいるようだった。
それから逃げたくて、意識をそらしたくてずっとジェイフに話しかけてしまっている。ジェイフが、私の話を無視してくれないことが幸いだった。そうでなければ、もしかしたら明日行こうと引き返していたかもしれない。
あれだけ、あの国に行ってやると豪語していたのに、実際はこれだから嫌になる。
私はただの人間だった。
それだけが分からされた。
「お前が期待しているよりは、短いよ。もともと、あいつは旅人だったからな」
「そうなの?」
「妖精は、基本的には一つの国にいるが、まぁ中には変わり者だったいるさ。それがあいつだったってわけ」
「そうなのね。私の家のネズミ捕りに引っ掛かっていたのよ」
「ネズミ捕り?」
私は、ポッドとの出会いを話した。
ポッドがネズミ捕りに引っ掛かっていたのを助けたこと。
それが、きっかけで仲良くなったこと。
「ありえないな」
「そうでしょう。ネズミ捕りにひっかかる妖精なんているのねって思ったわ」
「そうじゃない」
「え?」
「ネズミ捕りなんて、簡単に抜け出すことが出来たはずなのに、どうしてあいつはお前が来るまで捕まっていたんだろうな」
「どういうこと?」
「俺たちは、魔法が使える。お前たちから見えないように姿を消すことだって出来る。それなのに、なんであいつはお前の前に姿を現したのか、不思議に思ってな」
「そういえばそうね…」
確かに魔法が使えるのだからネズミ捕りなんて簡単に抜け出せそうなものだ。
それなのにどうして、そんなのに引っ掛かっていたのかしら。
「どうだろうな」
「え?」
ジェイフは、私の言葉にそっぽを向いている。
ポッドは、ジェイフのことを友達として紹介していたけど、ジェイフのほうは違うのだろうか。
「俺は、そう思っているけど、あいつにとっては俺の存在なんてどうでもいいのかもな」
「どうして?」
「俺の言葉なんて何にも聞いてくれなかった。俺は、止めたのにあいつはなーんにも。それなのに友達だっていうか?」
「拗ねてるの?」
「さぁな」
友情というのもなかなか難しいらしい。
ジェイフは、ポッドのことをどう思っているのだろう。
止めようとしたというのは、私と一緒にいることだろうか。
それともあの国に行くことだったのだろうか。
「どれくらいポッドと一緒にいたの?」
驚くくらい真っ暗な夜だった。
いつもは、夜空を照らしている星たちが、あの一際輝く星以外見つからなかった。
これも異常事態なのだろうか。
私が生きていて、初めてのことだからわからない。ただ、ずっと怖かった。
何かが起きているのは、間違いない。ただ、それは私の力なんて何の役にも立たないくらいに巨大な力の前にいるようだった。
あの星に、あの国に近づくたびに私の体が引き返せっと叫んでいるようだった。
それから逃げたくて、意識をそらしたくてずっとジェイフに話しかけてしまっている。ジェイフが、私の話を無視してくれないことが幸いだった。そうでなければ、もしかしたら明日行こうと引き返していたかもしれない。
あれだけ、あの国に行ってやると豪語していたのに、実際はこれだから嫌になる。
私はただの人間だった。
それだけが分からされた。
「お前が期待しているよりは、短いよ。もともと、あいつは旅人だったからな」
「そうなの?」
「妖精は、基本的には一つの国にいるが、まぁ中には変わり者だったいるさ。それがあいつだったってわけ」
「そうなのね。私の家のネズミ捕りに引っ掛かっていたのよ」
「ネズミ捕り?」
私は、ポッドとの出会いを話した。
ポッドがネズミ捕りに引っ掛かっていたのを助けたこと。
それが、きっかけで仲良くなったこと。
「ありえないな」
「そうでしょう。ネズミ捕りにひっかかる妖精なんているのねって思ったわ」
「そうじゃない」
「え?」
「ネズミ捕りなんて、簡単に抜け出すことが出来たはずなのに、どうしてあいつはお前が来るまで捕まっていたんだろうな」
「どういうこと?」
「俺たちは、魔法が使える。お前たちから見えないように姿を消すことだって出来る。それなのに、なんであいつはお前の前に姿を現したのか、不思議に思ってな」
「そういえばそうね…」
確かに魔法が使えるのだからネズミ捕りなんて簡単に抜け出せそうなものだ。
それなのにどうして、そんなのに引っ掛かっていたのかしら。
299
お気に入りに追加
9,406
あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
実家を追放された名家の三女は、薬師を目指します。~草を食べて生き残り、聖女になって実家を潰す~
juice
ファンタジー
過去に名家を誇った辺境貴族の生まれで貴族の三女として生まれたミラ。
しかし、才能に嫉妬した兄や姉に虐げられて、ついに家を追い出されてしまった。
彼女は森で草を食べて生き抜き、その時に食べた草がただの草ではなく、ポーションの原料だった。そうとは知らず高級な薬草を食べまくった結果、体にも異変が……。
知らないうちに高価な材料を集めていたことから、冒険者兼薬師見習いを始めるミラ。
新しい街で新しい生活を始めることになるのだが――。
新生活の中で、兄姉たちの嘘が次々と暴かれることに。
そして、聖女にまつわる、実家の兄姉が隠したとんでもない事実を知ることになる。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。