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第1部

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「妖精は、人間よりずっと長命だからな。たとえ、自分を虐めていた人間が死んでも、妖精は生き続けている。だから、村一つくらいなら平気で壊すし、執念深いし、妖精ってのは、いろいろいるんだ」
「ジェイフでも、仲良くできない妖精っているの?」
「もちろん。妖精同士で仲良く出来ないんだから、人間と仲良くなるのは、結構難しい。まぁ、妖精と仲良く出来ないから、逆に人間に走るやつもいるが…そういうやつは少ないな!」
「そう」

つまりジェイフは、私が妖精に殺されるかもしれない。それでもいいのか。と聞きたいのね。ポッドと仲がいい私は、妖精を良い存在…私の味方になってくれる存在だと無意識に思っていると。
今まで出会った妖精たちが特殊だったということ。確かに聖女様の国では、小さいころから、欠かさずに修行や勉強を続けてきた姿を見ていたから、聖女様の味方をしてくれていた。それにあの国は神様の信仰が国中に浸透している。神様の機嫌を損なうようなことは、妖精もしたくないんだろう。

そして、今から行くところは、そことはまったく逆の場所。
妖精が、人間に対して何をしても許される場所。
私は、殺されるかもしれない。ジェイフは、こんな感じだから本当に私を守ってくれるかわからない。



「本当に印がついてる…」

夜、私たちはペガサスに乗って空を飛んでいた。
私が、煌々と一つの星が、黒い夜空にあった。どんなに遠くても真っ先に目が行くほど大きく、力強い光を放っていた。

「あれは妖精用なの?」
「いや。俺たちは星なんて見ない。妖精の情報網は世界中にあるんだ。位置情報で、星を使ったことなんて一度もない。本当に呼ばれてるんだな、お嬢さん」

ジェイフは、私を見て、星を見た。戸惑っているようだった。怯えているようにも見えた。

「…お前、人間だよな?」
「妖精に見える?」

おかしなことを聞く。私が人間以外の何かに見えるのだろうか。

「…ありえないことが起きているのは、確かだな。…行く気なんてしなかったが、…ここで見放せばもしかしたら、俺にもとばっちりがくるかもしれない。しかたない。しかたないかぁ」
「ついてきてくれるの?」
「あぁ」
「じゃあ出発は夜明けにする?」
「いや。もう時間がない。それにあの星があるときに行ったほうがいい。魔物もあの星が輝いている間は襲ってこないだろう」
「そうなの?」
「あれは、上が見てるぞ!ってサインでもあるからな。魔物みたいな本能が強い奴は怖がって出てこないだろうよ」
「本能でわかるものなのね…」
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