40 / 59
第1部
79
しおりを挟む
「妖精は、人間よりずっと長命だからな。たとえ、自分を虐めていた人間が死んでも、妖精は生き続けている。だから、村一つくらいなら平気で壊すし、執念深いし、妖精ってのは、いろいろいるんだ」
「ジェイフでも、仲良くできない妖精っているの?」
「もちろん。妖精同士で仲良く出来ないんだから、人間と仲良くなるのは、結構難しい。まぁ、妖精と仲良く出来ないから、逆に人間に走るやつもいるが…そういうやつは少ないな!」
「そう」
つまりジェイフは、私が妖精に殺されるかもしれない。それでもいいのか。と聞きたいのね。ポッドと仲がいい私は、妖精を良い存在…私の味方になってくれる存在だと無意識に思っていると。
今まで出会った妖精たちが特殊だったということ。確かに聖女様の国では、小さいころから、欠かさずに修行や勉強を続けてきた姿を見ていたから、聖女様の味方をしてくれていた。それにあの国は神様の信仰が国中に浸透している。神様の機嫌を損なうようなことは、妖精もしたくないんだろう。
そして、今から行くところは、そことはまったく逆の場所。
妖精が、人間に対して何をしても許される場所。
私は、殺されるかもしれない。ジェイフは、こんな感じだから本当に私を守ってくれるかわからない。
◇
「本当に印がついてる…」
夜、私たちはペガサスに乗って空を飛んでいた。
私が、煌々と一つの星が、黒い夜空にあった。どんなに遠くても真っ先に目が行くほど大きく、力強い光を放っていた。
「あれは妖精用なの?」
「いや。俺たちは星なんて見ない。妖精の情報網は世界中にあるんだ。位置情報で、星を使ったことなんて一度もない。本当に呼ばれてるんだな、お嬢さん」
ジェイフは、私を見て、星を見た。戸惑っているようだった。怯えているようにも見えた。
「…お前、人間だよな?」
「妖精に見える?」
おかしなことを聞く。私が人間以外の何かに見えるのだろうか。
「…ありえないことが起きているのは、確かだな。…行く気なんてしなかったが、…ここで見放せばもしかしたら、俺にもとばっちりがくるかもしれない。しかたない。しかたないかぁ」
「ついてきてくれるの?」
「あぁ」
「じゃあ出発は夜明けにする?」
「いや。もう時間がない。それにあの星があるときに行ったほうがいい。魔物もあの星が輝いている間は襲ってこないだろう」
「そうなの?」
「あれは、上が見てるぞ!ってサインでもあるからな。魔物みたいな本能が強い奴は怖がって出てこないだろうよ」
「本能でわかるものなのね…」
「ジェイフでも、仲良くできない妖精っているの?」
「もちろん。妖精同士で仲良く出来ないんだから、人間と仲良くなるのは、結構難しい。まぁ、妖精と仲良く出来ないから、逆に人間に走るやつもいるが…そういうやつは少ないな!」
「そう」
つまりジェイフは、私が妖精に殺されるかもしれない。それでもいいのか。と聞きたいのね。ポッドと仲がいい私は、妖精を良い存在…私の味方になってくれる存在だと無意識に思っていると。
今まで出会った妖精たちが特殊だったということ。確かに聖女様の国では、小さいころから、欠かさずに修行や勉強を続けてきた姿を見ていたから、聖女様の味方をしてくれていた。それにあの国は神様の信仰が国中に浸透している。神様の機嫌を損なうようなことは、妖精もしたくないんだろう。
そして、今から行くところは、そことはまったく逆の場所。
妖精が、人間に対して何をしても許される場所。
私は、殺されるかもしれない。ジェイフは、こんな感じだから本当に私を守ってくれるかわからない。
◇
「本当に印がついてる…」
夜、私たちはペガサスに乗って空を飛んでいた。
私が、煌々と一つの星が、黒い夜空にあった。どんなに遠くても真っ先に目が行くほど大きく、力強い光を放っていた。
「あれは妖精用なの?」
「いや。俺たちは星なんて見ない。妖精の情報網は世界中にあるんだ。位置情報で、星を使ったことなんて一度もない。本当に呼ばれてるんだな、お嬢さん」
ジェイフは、私を見て、星を見た。戸惑っているようだった。怯えているようにも見えた。
「…お前、人間だよな?」
「妖精に見える?」
おかしなことを聞く。私が人間以外の何かに見えるのだろうか。
「…ありえないことが起きているのは、確かだな。…行く気なんてしなかったが、…ここで見放せばもしかしたら、俺にもとばっちりがくるかもしれない。しかたない。しかたないかぁ」
「ついてきてくれるの?」
「あぁ」
「じゃあ出発は夜明けにする?」
「いや。もう時間がない。それにあの星があるときに行ったほうがいい。魔物もあの星が輝いている間は襲ってこないだろう」
「そうなの?」
「あれは、上が見てるぞ!ってサインでもあるからな。魔物みたいな本能が強い奴は怖がって出てこないだろうよ」
「本能でわかるものなのね…」
153
お気に入りに追加
9,149
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
貴方に側室を決める権利はございません
章槻雅希
ファンタジー
婚約者がいきなり『側室を迎える』と言い出しました。まだ、結婚もしていないのに。そしてよくよく聞いてみると、婚約者は根本的な勘違いをしているようです。あなたに側室を決める権利はありませんし、迎える権利もございません。
思い付きによるショートショート。
国の背景やらの設定はふんわり。なんちゃって近世ヨーロッパ風な異世界。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。