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第1部

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―わあああああ!!!

目の前の出来事が、まるで夢の中みたいに、現実感がない。
私が、こんな大勢の人たちの前に立つことになるなんて、考えたこともなかった。



「き、緊張してきた…」
「大丈夫か?」

これから、聖女様と王族の方々によるパレードが始まるのだ。
その中になんと、私も入ることになってしまった。
聖女候補の代表としてらしいのだが、もっと適任者がいるはずと聖女様にいくら言っても「私は、エミリアがいいの」と言って、聞いてくれなかった。
それに、私が聖女候補として、みんなに認められる良い機会だと言っていた。
そのために、妖精のみんなが何かしてくれるらしい。

「お、お初にお目にかかります。私は、聖女候補として働かせていただいてます、エミリアと申します」
「ほぉ。そなたが、噂の子か。君の話は、よく聞いているよ」
「お、恐れ多いです…」
「なんでも妖精と仲がよいのだとか」
「え、えと」
「神の神託もあったそうだしな、君は、特別な子らしい」
「そ、そんなことは…ないと…」

だらだらと汗が流れる。
苦手だ。
王族というと、どうしても前の国を思い出してしまう。
元いた国の王様は、私のことなんて視界にも入れたくないとおっしゃっていたらしい。
仮にも王子の婚約者だという立場であったが、王と話したことは一度もない。
王族は、魔法が使えないものに対して厳しかったから、納得はしていた。
ただ、それゆえになぜ婚約を許したのだろうか。と、冷静に考えてみればわかったはず。
普通であれば、許さないはずが、許した理由。
最初から、知っていたのだろう。
私が、本当の婚約者ではないこと。ただの王子の遊びであること。
加護がない人間に何をしても、あの国は許されたから。
だから、私以外に、加護を持たない人間が、あの国にはいないと聞かされていた。本当かどうかは分からない。加護がない人間が、わざわざ名乗り出る必要なないから、隠している人だって、いたかもしれない。今となっては、何もわからないが。
そんな国だったから、あそこにい続けて、たとえ、私が殺されたとしても、誰も罪にならなかったのではないだろうか。
そうでなければ、妹があれほど、強い攻撃魔法を放つはずがない。
たとえ、妹の攻撃魔法で死んだとしても、きっと妹は許されたはず。
元婚約者の王子によって、もみ消されたはずだ。
例えば、私が妹を殺そうとしたとか、正当防衛だったとか、それらしい理由をつけて。

そう思うと、よかったと安堵する。
あの国を出ることが出来て。
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