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第1部

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考え込んでしまったせいで、聖女様がいるにも関わらず、黙りこんでしまった。
聖女様が、話しかけてくれるまで、気づかなかったほどだ。

「エミリア」
「!す、すみません。聖女様が、いらっしゃるのに」
「いえ、いいのよ。エミリア。難しいかもしれないけど、よく考えるのですよ。あなたが、あなたのことを考えるのです。これからはね」
「は、はい」

聖女様が、軽く手を叩く。
それだけで、気持ちが切り替わった気がする。

「はい!難しい話はこれでおしまい。せっかくのお祭りなんですもの。エミリアが住んでいた国でもお祭りは、あって?」
「あ、ありました・・・」

私は、参加したことないけど。
いつも両親と妹が、楽しそうに家を出ていく姿を見送っていた。
正直、少しほっとしていた。
使用人も家族もみな、お祭りに出掛けて、私は家に一人ぼっちだったから、誰も私を殴らないし、怒らない。咎められない。
だから、私もお祭りが来るのを楽しみにしていたっけ。
窓から見える遠くの花火を見ているのも好きだった。
だから、お祭りは、好きだ。

「そう。この国のお祭りは、とっても大きいの。ぜひ、楽しんでいって」
「は、はい。あ、でも、聖女様は、どうなさー」
「お給料もいただいた?」
「え、えっと、はい」
「少ないかもしれないけど、お祭りを楽しむぶんはあったかしら?」
「も、もちろん!むしろ、私だけで使うには、多すぎます」
「あら。お金はたくさんあって、いいのよ。エミリアなら、変な使い方もしなさそうだし、もらえるものはもらっておきなさいな。それに、エミリアはまだ女の子なんだから。女の子は、とってもお金がかかるものだもの。特にエミリアは、かわいいしね!」
「そ、そんなことは」
「じゃあ、またね。時間になったら、また会いましょう」
「わ、私もご一緒します」
「あなたのお友だちとお祭りを回らなくていいの?」
「え、あ、」
「ふふ。じゃあね。楽しんで」

私は、聖女様の背中にこれ以上はついてくるな。という言葉が見えた気がした。
ー聖女様。あなたは、このお祭り、楽しんだことあるんですか?
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