10 / 18
9
しおりを挟む
朝食を食べ終わり、一息つくと、ウィルが部屋を出て行こうとするので、引き留めた。
私の体調を気遣っているようだが、たっぷり睡眠をとったし、朝食もたっぷり食べたので、元気いっぱいである。…まぁ、食べすぎたせいで若干また眠くなってきたが。
「体は、本当に大丈夫なの?」
「うん。疲れて寝てただけだから」
「でも、一日中寝るなんて、よほど疲れていたんだね」
「そうかな?休みの時なんて寝っぱなしの日とかあるよ。まぁ、途中で起きないで、丸一日寝たのは、初めてだけど」
「サクラの生活は激務なんだね……お休みの時も寝てるなんて…とっても大変だったんだ」
「う~ん。怠けてるだけかも」
「そんなことない。寝たいと思うなら、疲れてるんだよ。ここの生活が負担にならないといいけど」
「そういえば、聖女として呼び出されたってことは、私、聖女の仕事をすればいいの?聖女って何をする人なの?世界樹?に祈ればいいの?」
「そうだね……。まずは世界樹のところに行ってみようか」
「苗木があるんだっけ?」
「うん。本当に小さいんだ」
ウィルについていき、世界樹の苗木があるところまで案内してもらうことになった。
その道中で、ウィルから聖女について話を聞いた。
聖女の役割は、主に浄化とサポートだそうだ。
第一優先は、国を守ること。世界樹に祈りを捧げ、世界樹が結界を張る。そうすることで、瘴気が入り込むことを防ぐのだという。
そして、世界樹の祈りに一番必要なもの……それは、
「愛?」
「うん。世界樹に愛を捧げることで、世界樹もまた聖女を愛し、聖女を守ろうとして、結界を張ると言われている」
「愛?」
木に愛を祈る?
私の疑問にウィルは苦笑した。
「言いたいことは分かるよ。僕も最初、聞いたときは思わず聞き返しちゃった。でも、先代の聖女は愛を捧げるとしかおっしゃらず……」
「はぁ……愛ね……愛…私が祈るかもしれないのよね」
「うん。サクラの愛を捧げてよ」
「……」
愛を捧げ、祈る。
抽象的すぎて、意味が分からない。出来なかったら、どうしようかな。
でも最悪、私がダメでも、もう一人いるし……そういえば、あの子は今頃どうしてるのかなぁ。
「そういえば、サポートってなんのサポートをするの?」
「国の周辺には魔物が生息してるんだ。その討伐を時々するんだけど、そのサポートかな」
「ま、魔物の討伐のサポート!?私、戦闘訓練なんか受けたことないんだけど!体力だってないし……まさか私も戦うの?」
「それはないよ。聖女は、瘴気を払う力を持ってるんだ。だから、世界樹から離れても、宝石を身につけなくても、聖女が近くにいることで瘴気が払われる」
「そうなんだ。つまり、宝石の無駄遣いを防ぐために連れていかれるのね」
「そ、そんなことはないけど」
「でも、宝石って高いんでしょ?」
「まぁ……」
「どれくらい?」
「魔物の討伐のために必要な分を買うとしたら……、まぁそれなりに金額はかかるかな」
「ふ~ん」
本当にそれなりに金額がかかるんだろうな。
想像できないけど。
私の体調を気遣っているようだが、たっぷり睡眠をとったし、朝食もたっぷり食べたので、元気いっぱいである。…まぁ、食べすぎたせいで若干また眠くなってきたが。
「体は、本当に大丈夫なの?」
「うん。疲れて寝てただけだから」
「でも、一日中寝るなんて、よほど疲れていたんだね」
「そうかな?休みの時なんて寝っぱなしの日とかあるよ。まぁ、途中で起きないで、丸一日寝たのは、初めてだけど」
「サクラの生活は激務なんだね……お休みの時も寝てるなんて…とっても大変だったんだ」
「う~ん。怠けてるだけかも」
「そんなことない。寝たいと思うなら、疲れてるんだよ。ここの生活が負担にならないといいけど」
「そういえば、聖女として呼び出されたってことは、私、聖女の仕事をすればいいの?聖女って何をする人なの?世界樹?に祈ればいいの?」
「そうだね……。まずは世界樹のところに行ってみようか」
「苗木があるんだっけ?」
「うん。本当に小さいんだ」
ウィルについていき、世界樹の苗木があるところまで案内してもらうことになった。
その道中で、ウィルから聖女について話を聞いた。
聖女の役割は、主に浄化とサポートだそうだ。
第一優先は、国を守ること。世界樹に祈りを捧げ、世界樹が結界を張る。そうすることで、瘴気が入り込むことを防ぐのだという。
そして、世界樹の祈りに一番必要なもの……それは、
「愛?」
「うん。世界樹に愛を捧げることで、世界樹もまた聖女を愛し、聖女を守ろうとして、結界を張ると言われている」
「愛?」
木に愛を祈る?
私の疑問にウィルは苦笑した。
「言いたいことは分かるよ。僕も最初、聞いたときは思わず聞き返しちゃった。でも、先代の聖女は愛を捧げるとしかおっしゃらず……」
「はぁ……愛ね……愛…私が祈るかもしれないのよね」
「うん。サクラの愛を捧げてよ」
「……」
愛を捧げ、祈る。
抽象的すぎて、意味が分からない。出来なかったら、どうしようかな。
でも最悪、私がダメでも、もう一人いるし……そういえば、あの子は今頃どうしてるのかなぁ。
「そういえば、サポートってなんのサポートをするの?」
「国の周辺には魔物が生息してるんだ。その討伐を時々するんだけど、そのサポートかな」
「ま、魔物の討伐のサポート!?私、戦闘訓練なんか受けたことないんだけど!体力だってないし……まさか私も戦うの?」
「それはないよ。聖女は、瘴気を払う力を持ってるんだ。だから、世界樹から離れても、宝石を身につけなくても、聖女が近くにいることで瘴気が払われる」
「そうなんだ。つまり、宝石の無駄遣いを防ぐために連れていかれるのね」
「そ、そんなことはないけど」
「でも、宝石って高いんでしょ?」
「まぁ……」
「どれくらい?」
「魔物の討伐のために必要な分を買うとしたら……、まぁそれなりに金額はかかるかな」
「ふ~ん」
本当にそれなりに金額がかかるんだろうな。
想像できないけど。
107
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?

芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる