全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?

猿喰 森繁

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「起きた?」
「…………え?」

目が覚めたら、ウィルが寝ている私の顔を覗き込んでいた。
いや、寝起きの顔を美少年に見られるの、きつい……。

「おはようございます?」
「おはよう」
「いや、あの…いくらなんでも人のベッドルームに入るのは、王子様としてどうなの…」
「ごめん。でも一日眠り続けてたから。もう起きないんじゃないかって。心配で」
「一日?」
「一日」
「あー……なるほど……」

だから、こんなにお腹空いてるんだ。

「ご心配おかけしたようで……たっぷり寝たから元気です」
「それは良かった。体は大丈夫そう?」
「おなかすいた」
「それは良かった。すぐ用意させるよ」
「そういえば、ごはん一緒にする約束してたね……」
「うん」
「ごめん」
「こっちこそ、ごめんね。疲れてたのに気づかなくて」
「じゃあお互い様ってことでもいい?」

なんだか堂々巡りになりそうなので、私がそういうと、ウィルはなんだか嬉しそうに「うん」と言った。

「ちょっと顔洗ってくる」
「じゃあ僕、朝食を用意してる」
「よろしく……」

寝起きで、少しぼんやりする。
王子様に朝食を用意させるのもどうなのって感じだけど、本人は、なんだか嬉しそうだからいっか…。ってか、まだ一日…いや二日、…三日?しか経っていないのに、こんなにフレンドリーにしていいのかな。15歳年下の男の子とも王子様の知り合いもいないため、私のこの対応が正解なのか不正解なのか分からない。
まぁ、本人がいいならいいのかな。嫌だったら、言われるでしょ。もしくは、避けられるだろうし……。

「豪華だね」
「うん。たくさん食べてほしくて」
「そう……」

サラダ、果物、ジャーマンポテト、ソーセージ、ベーコン、オムレツ、パンケーキ、牛乳、ジュース各種。

「いただきます」

私が手を合わせて、食べようとするとウィルが私の様子を見ているのに気づいた。

「あ。こっちの国では食事前に何かする?お祈りとか?」
「いや、しないよ。いただきますって、どういう意味?」
「あ。そっか、日本独特なんだっけ。いただきますって言うのは、食材を用意してくれた人、料理を作る人に対する感謝とか、食材となってくれた命への感謝を込めて、いただきますっていう食事前の挨拶みたいなもの」
「へぇ……じゃあ、僕も……いただきます」
「いただきまーす」

多いように見えたけど、やっぱりお腹が空いていたから、用意された食事を完食することが出来た。
食事もおいしかったので、言うことなし。

「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした……?」

真似してくるウィルが、なんだかかわいらしい。
弟がいたらこんな感じなんだろうか。私は一人っ子だから、新鮮だ。
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