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「じゃあ、これをすべて捨てたらいいのか?」
「「や め て く だ さ い !!!」」

思わず大臣と一緒に叫んでしまった。
そんな、祈り(怨念)がこもったものを捨てるなんて、罰当たりなことでもしてみろ。
国際問題になりかねないから。
うちの国の聖女が、そもそもうるさいのだ。
そんな自ら、呪われるようなことをしないでほしい。

「じゃあ、どうすればいい」
「どうすれば…て、ええ…?」

私は、ほかの聖女から、めちゃくちゃ目をつけられていて、祈りのこもった物を渡してないからこそ、見逃してもらっているのだ。
それを渡してみろ。
またうるさくギャーギャー言われるに決まってる。
もうそんなに殿下と一緒にいたいなら、戦場でもどこでも一緒についていけばいいじゃないと思う。

吊り橋効果で、ワンチャンあるよ、きっと、たぶん、おそらく…。
殿下は、こう見えて戦場慣れしてるし、危機的状況に慣れてるから、吊り橋効果が発揮されるかは、断言できないけど、国に引きこもっているよりかは、恋が芽生える可能性があるんじゃないだろうか。

そもそも、殿下が危険なところに行っているのに、聖女は国に引きこもって兵士に守られているっていう状態なのもどうなんだろうか。
6人も聖女がいるんだから、あと二人くらいは私と一緒に来てもよさそうなのに。

それなのに、私だけ殿下に媚び売ってるとか言われても、納得いかない。別についてくるな、なんて誰も言ってないんだから、ついてくればいいんだ。

「適当なものを差し上げればいいじゃありませんか」

適当なものって…。
大臣がそんなこと言っちゃだめだろう。
この男、自分には全く関係ないからって、すぐに適当なことを言うから、困る。
私が聖女同士の殿下の奪い合いに巻き込まれて、ひぃひぃ言ってても素知らぬ顔をするほど、面の皮が厚いだけある。

「殿下に適当なものなんて、渡せないでしょ…」
「わかった。こうしよう」

殿下が、なにやら思いついたらしい。
こういう時は、どうせろくでもないことしか言わないから、心の準備をしておく。

「この戦いで、お互い無事に帰ってきた時に、記念としてくれればいい」
「え?」

それって、いわゆる死亡フラグというやつでは?

「俺もお前に渡そう」

にこ、と有無を言わさない殿下スマイル。
この顔にどれだけの令嬢の心が撃ち落されたことか…。

「私も、もらえるんですか?」
「ああ。もちろん。交換っこだ」

交換っこって…。
なんでそんな子どもみたいな可愛いこと言うんだ。

「絶対、ばれたとき、うるさいわよ…」
「私たちに被害はありませんから、良いんじゃありませんか?もらえるものはもらっておいて、損はないですよ。しかも、帝国の王子からの贈り物なんて、すごいじゃありませんか。みんながもらえるものじゃありません」
「じゃあ、大臣も欲しい?」
「まさか」
「みんな欲しいんじゃなかったの?」
「過ぎたるものは、身を滅ぼすといいますから」
「私にも過ぎたものなんだよなぁ…」
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