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大臣が、助け船をだすように、とチラチラこちらを見てくる。
「殿下。あまりご自身を危険にさらさないでくださいよ」
「しかし、お前が危険な場所に行くといっている。同じ国を守るものとして、お前だけを危険な場所に行くことは、許可できない」
「…兵士は、連れていけますよね?」
「も、もちろん!第5聖女様は、必ず兵士たちでお守りしましょう」
「だがもし、あの国を救ったとして情がわいたら?」
「「え?」」
情がわいたら?
何を言っているんだ。そんなことはありえない。この帝国での待遇と生活を知ってしまったうえで、あの国に戻る選択をするなんて、ありえない。
「お前は、流されやすいから。あそこの国の王子に甘い言葉でささやかれ、懇願され、国の民たちが頭を下げたら…?」
「………いや、ありえないありえないありえない」
あの王子に甘い言葉で、ささやかれる???
―ぞわっ
おえっ!!!
むりむり!!!あの王子に甘い言葉なんてささやかれた日には、神にでも祈り、協会に引きこもりますよ!
「なんて、気持ち悪い想像させるんですか!見てください!鳥肌がやばいですっ!」
「しかし、お前は流されやすいから…」
「そんなことありませんよ」
「しかし、俺の言葉は、ハイハイ聞くじゃないか」
「それは、殿下の顔がいいから…」
美しい人に懇願されて、断れるほど鋼の精神は持ち合わせていないんで。
あと、普通に美しい男の人に見慣れていないせいで、つい…。
それが、世界でも有数のトップに懇願されて、断れる女がいる…?
「とにかく!心配するようなことはありません!一応、元婚約者ですから!あの方の嫌な面は、いっぱい知ってますからっ!」
「な、…なんだと…も、元婚約者?」
「元、ですよ!婚約破棄しましたし」
「ああっ!聖女様のばかっ!鈍感!」
「えええぇ…?なに急に…」
大臣が急に私を罵倒し始めたんだけど、なんで?
殿下もスン、って急に無表情になるし、なに、なんなの…。
「絶対行く」
「ほらぁ」
「な、なんで…?」
「死んでも行く」
「縁起でもないこと言わないでくださいよ」
こうなったら、絶対何が何でも行く姿勢を見せ始めた殿下が、わけがわからない。
少し納得して、国で待ってる流れだったに、どうしてこんな急な流れになってしまったのか。
「聖女様の婚約者が、あの国にいると殿下に知られたら、面倒なことになるって言ったじゃありませんか」
「元、な」
自分のでもないのに、殿下が、元、をやけに強調してくる。
「それより俺に隠していたのか」
「殿下。あまりご自身を危険にさらさないでくださいよ」
「しかし、お前が危険な場所に行くといっている。同じ国を守るものとして、お前だけを危険な場所に行くことは、許可できない」
「…兵士は、連れていけますよね?」
「も、もちろん!第5聖女様は、必ず兵士たちでお守りしましょう」
「だがもし、あの国を救ったとして情がわいたら?」
「「え?」」
情がわいたら?
何を言っているんだ。そんなことはありえない。この帝国での待遇と生活を知ってしまったうえで、あの国に戻る選択をするなんて、ありえない。
「お前は、流されやすいから。あそこの国の王子に甘い言葉でささやかれ、懇願され、国の民たちが頭を下げたら…?」
「………いや、ありえないありえないありえない」
あの王子に甘い言葉で、ささやかれる???
―ぞわっ
おえっ!!!
むりむり!!!あの王子に甘い言葉なんてささやかれた日には、神にでも祈り、協会に引きこもりますよ!
「なんて、気持ち悪い想像させるんですか!見てください!鳥肌がやばいですっ!」
「しかし、お前は流されやすいから…」
「そんなことありませんよ」
「しかし、俺の言葉は、ハイハイ聞くじゃないか」
「それは、殿下の顔がいいから…」
美しい人に懇願されて、断れるほど鋼の精神は持ち合わせていないんで。
あと、普通に美しい男の人に見慣れていないせいで、つい…。
それが、世界でも有数のトップに懇願されて、断れる女がいる…?
「とにかく!心配するようなことはありません!一応、元婚約者ですから!あの方の嫌な面は、いっぱい知ってますからっ!」
「な、…なんだと…も、元婚約者?」
「元、ですよ!婚約破棄しましたし」
「ああっ!聖女様のばかっ!鈍感!」
「えええぇ…?なに急に…」
大臣が急に私を罵倒し始めたんだけど、なんで?
殿下もスン、って急に無表情になるし、なに、なんなの…。
「絶対行く」
「ほらぁ」
「な、なんで…?」
「死んでも行く」
「縁起でもないこと言わないでくださいよ」
こうなったら、絶対何が何でも行く姿勢を見せ始めた殿下が、わけがわからない。
少し納得して、国で待ってる流れだったに、どうしてこんな急な流れになってしまったのか。
「聖女様の婚約者が、あの国にいると殿下に知られたら、面倒なことになるって言ったじゃありませんか」
「元、な」
自分のでもないのに、殿下が、元、をやけに強調してくる。
「それより俺に隠していたのか」
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