10 / 26
9
しおりを挟む
「もう二度とこの国の土地を踏めると思うなよ」
「わかりました。私も二度とこの国の土地を踏む気はありませんよ。あぁ、でもこの国が危険にさらされた時は、一回だけ助けてあげますよ。一応、この国で生まれ育った恩返しです」
「ふん、そんなことには、一生ならんと思うがな」
「ま。そうなったら、なったでいいじゃありませんか。私、一応慈悲深いので。約束は守りますよ」
「はっ!言葉だけならいくらでも言える」
「じゃあ、短い間でしたがお世話になりました。新しい聖女兼婚約者様と仲良くしてください。結婚式の招待状は、送ってこなくて結構ですので」
「頼まれても送らんわ!ってか、お前、住所ないだろ」
「天啓をいただきましたので。帝国に行こうかと」
「天啓だぁ?はっ!ますます笑わせてくれる。神など人が作り出した幻にすぎない。そんなものを信じているなど、お前もついに頭がおかしくなったか」
「はぁ。まぁ、どちらでも構いませんが、私に用事があるときは、帝国の王宮までお願いしますね」
「はっ!そんな話を信じろと?送ったこちらが、バカにされるわ。それにお前に用事など、一生、ない!一生な!」
「はいはい。そうだといいですね」
ーくすくす。いい気味ね、あんな仕事もしない聖女。いなくなって、清々するわ。
ーなにもしないくせして、偉そうで、気にくわなかったんですもの。
ーこっちが、守ってやってるのに、礼ひとつ言わない偉そうな女。追い出されて当然だ。
ー新しくやってきた聖女様は、毎日笑顔で挨拶してくださるし、俺たちの心配もしてくださる。
ー素晴らしい方。顔もこっちのほうが、かわいい。
などなど、様々な声を聞きながら、私は城をあとにする。
生まれてこの方、聖女として育てられ、しつけられ、訓練され、仕事をしてきたけど、味方が少なすぎることに改めて驚いた。2割の人には、嫌われると聞いていたけど、絶対2割より多くの人間に嫌われている。
・・・まぁ、それもそうかもしれない。
私は、聖女としての力が強すぎた。
そのせいで、生まれてから、この国を魔物やその他の脅威から守ることになった。
といっても、私だけの力ではなく、神様の恩恵なわけだけど。
聖女として、生まれた私は、生まれたときから神様に好かれている。
そんな私が、神様から守られるのも当然のことなので、これからどうなることやら、少し心配である。
「わかりました。私も二度とこの国の土地を踏む気はありませんよ。あぁ、でもこの国が危険にさらされた時は、一回だけ助けてあげますよ。一応、この国で生まれ育った恩返しです」
「ふん、そんなことには、一生ならんと思うがな」
「ま。そうなったら、なったでいいじゃありませんか。私、一応慈悲深いので。約束は守りますよ」
「はっ!言葉だけならいくらでも言える」
「じゃあ、短い間でしたがお世話になりました。新しい聖女兼婚約者様と仲良くしてください。結婚式の招待状は、送ってこなくて結構ですので」
「頼まれても送らんわ!ってか、お前、住所ないだろ」
「天啓をいただきましたので。帝国に行こうかと」
「天啓だぁ?はっ!ますます笑わせてくれる。神など人が作り出した幻にすぎない。そんなものを信じているなど、お前もついに頭がおかしくなったか」
「はぁ。まぁ、どちらでも構いませんが、私に用事があるときは、帝国の王宮までお願いしますね」
「はっ!そんな話を信じろと?送ったこちらが、バカにされるわ。それにお前に用事など、一生、ない!一生な!」
「はいはい。そうだといいですね」
ーくすくす。いい気味ね、あんな仕事もしない聖女。いなくなって、清々するわ。
ーなにもしないくせして、偉そうで、気にくわなかったんですもの。
ーこっちが、守ってやってるのに、礼ひとつ言わない偉そうな女。追い出されて当然だ。
ー新しくやってきた聖女様は、毎日笑顔で挨拶してくださるし、俺たちの心配もしてくださる。
ー素晴らしい方。顔もこっちのほうが、かわいい。
などなど、様々な声を聞きながら、私は城をあとにする。
生まれてこの方、聖女として育てられ、しつけられ、訓練され、仕事をしてきたけど、味方が少なすぎることに改めて驚いた。2割の人には、嫌われると聞いていたけど、絶対2割より多くの人間に嫌われている。
・・・まぁ、それもそうかもしれない。
私は、聖女としての力が強すぎた。
そのせいで、生まれてから、この国を魔物やその他の脅威から守ることになった。
といっても、私だけの力ではなく、神様の恩恵なわけだけど。
聖女として、生まれた私は、生まれたときから神様に好かれている。
そんな私が、神様から守られるのも当然のことなので、これからどうなることやら、少し心配である。
35
お気に入りに追加
1,383
あなたにおすすめの小説
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。
悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。
蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。
しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。
自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。
そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。
一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。
※カクヨムさまにも掲載しています。
ブラックな職場で働いていた聖女は超高待遇を提示してきた隣国に引き抜かれます
京月
恋愛
残業など当たり前のお祈り
いつも高圧的でうざい前聖女
少ない給料
もう我慢が出来ない
そう思ってた私の前に現れた隣国の使者
え!残業お祈りしなくていいの!?
嘘!上司がいないの!?
マジ!そんなに給料もらえるの!?
私今からこの国捨ててそっちに引き抜かれます
聖女の代わりがいくらでもいるなら、私がやめても構いませんよね?
木山楽斗
恋愛
聖女であるアルメアは、無能な上司である第三王子に困っていた。
彼は、自分の評判を上げるために、部下に苛烈な業務を強いていたのである。
それを抗議しても、王子は「嫌ならやめてもらっていい。お前の代わりなどいくらでもいる」と言って、取り合ってくれない。
それなら、やめてしまおう。そう思ったアルメアは、王城を後にして、故郷に帰ることにした。
故郷に帰って来たアルメアに届いたのは、聖女の業務が崩壊したという知らせだった。
どうやら、後任の聖女は王子の要求に耐え切れず、そこから様々な業務に支障をきたしているらしい。
王子は、理解していなかったのだ。その無理な業務は、アルメアがいたからこなせていたということに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる