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「もう二度とこの国の土地を踏めると思うなよ」
「わかりました。私も二度とこの国の土地を踏む気はありませんよ。あぁ、でもこの国が危険にさらされた時は、一回だけ助けてあげますよ。一応、この国で生まれ育った恩返しです」
「ふん、そんなことには、一生ならんと思うがな」
「ま。そうなったら、なったでいいじゃありませんか。私、一応慈悲深いので。約束は守りますよ」
「はっ!言葉だけならいくらでも言える」
「じゃあ、短い間でしたがお世話になりました。新しい聖女兼婚約者様と仲良くしてください。結婚式の招待状は、送ってこなくて結構ですので」
「頼まれても送らんわ!ってか、お前、住所ないだろ」
「天啓をいただきましたので。帝国に行こうかと」
「天啓だぁ?はっ!ますます笑わせてくれる。神など人が作り出した幻にすぎない。そんなものを信じているなど、お前もついに頭がおかしくなったか」
「はぁ。まぁ、どちらでも構いませんが、私に用事があるときは、帝国の王宮までお願いしますね」
「はっ!そんな話を信じろと?送ったこちらが、バカにされるわ。それにお前に用事など、一生、ない!一生な!」
「はいはい。そうだといいですね」

ーくすくす。いい気味ね、あんな仕事もしない聖女。いなくなって、清々するわ。
ーなにもしないくせして、偉そうで、気にくわなかったんですもの。
ーこっちが、守ってやってるのに、礼ひとつ言わない偉そうな女。追い出されて当然だ。
ー新しくやってきた聖女様は、毎日笑顔で挨拶してくださるし、俺たちの心配もしてくださる。
ー素晴らしい方。顔もこっちのほうが、かわいい。

などなど、様々な声を聞きながら、私は城をあとにする。
生まれてこの方、聖女として育てられ、しつけられ、訓練され、仕事をしてきたけど、味方が少なすぎることに改めて驚いた。2割の人には、嫌われると聞いていたけど、絶対2割より多くの人間に嫌われている。
・・・まぁ、それもそうかもしれない。
私は、聖女としての力が強すぎた。
そのせいで、生まれてから、この国を魔物やその他の脅威から守ることになった。
といっても、私だけの力ではなく、神様の恩恵なわけだけど。
聖女として、生まれた私は、生まれたときから神様に好かれている。
そんな私が、神様から守られるのも当然のことなので、これからどうなることやら、少し心配である。
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