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本編完結
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世界樹の葉は、強力な回復能力があるらしく、冒険者の間でも高額で売れる。
おまけに、浄化作用に結界能力もあるおかげで、この国は、魔物の心配と瘴気の心配がなくなったとギルドの人たちから、感謝されることになった。
お守りも売れるし、アスランに許可をもらったので、世界樹の葉の販売もするようにしたら、元の国にいるよりも経済的に潤った生活を送れるようになった。
アスランやポン助、それから仲良し判定をもらったのか、家を作ってもらったときにお世話になった眷属たちが、遊びに来るようになったので、毎日、お酒を飲み、魚や肉を食べては騒ぐ、絵本みたいな愉快な生活をしていた。
これでおしまいと出来たらよかったのだけど、そうもいかないらしい。
教会が厳重に管理しているらしい世界樹を、私のせいで、あちこちに生やされてはたまったものではない、と教会の人間たちが押し掛けてきた。
「別にあちこちにはやすなんてことはありませんよ。そんなことできませんし」
「出来ない、やらない保証なんてありませんよね」
「いや、そんなこと言われても」
「それに神様の知り合いと言われても納得いきません。私たちは、常に神様の近くにおります。祈りを捧げ、感謝をささげているのに、なぜあなたにだけ神様の加護が与えられているのでしょうか」
…面倒くさい。嫉妬かな?妬み?気持ちは分からなくもない。
私とアスランの出会いは、偶然だったし、私が意図したものではないのだから、なんのアドバイスも出来ない。
そりゃあ、毎日、近くにいて、自分たちこそが神様の祝福を受けているのだと思っていたのに、ポッと出の娘にわけわからん力を与えていたなんて知ったら、悔しくもなるだろう。
「とにかくあなたは教会の監視を付けます。今すぐ、私たちと一緒に来てください」
「そんな無茶な…」
「これは神のご意思です」
「待ってください。一晩だけ時間をくれませんか?さすがにこのまま家の整理もしないで、出かけられません」
「そんな悠長なことできません」
「……うちにも神棚があるんですけど、神様に報告しないで、出かけたらと知れたらどうなるんだろうな~(棒読み)。もしかしたら、神託が下っちゃうかもな~(適当)」
「……分かりました。一晩だけですよ。明日の朝、迎えに来ます」
「はい。ありがとうございます」
大人しく教会に連れていかれる私だったら、元の国から逃げ出しているわけがない。
「やっぱりこうなるか…」
「世界樹を持ち運べる人間なんていると思わねぇだろ」
「わんっ」
2回目の夜逃げである。
今回は、特になにもしていないのに。どうしてこんな面倒なことをしなくてはいけないのだろうか。
「今度は、北に行ってみるか」
「温かいところがいいんだけどな」
「家があるんだから、どこでも一緒だろ」
「それはそうだけど」
今回の旅には、眷属さんたちも来てくれるらしい。
神様の知り合いばかり増えていく。
「まぁ家もらえたし…ボロボロだったけど。短かったな。滞在期間。今度はもう少し長くのんびり暮らしたい」
「じゃ、出発するか」
こうして私たちは長い旅に出た。
教会は、私たちを探し回っているようだ。
世界樹をどこでもはやすことが出来る奇跡を手に入れた!なんて、大々的に宣伝している新聞を見つけたことがあるから、原因はそれだろう。
私もアスランも、協力するなんて一言も言ってないし、教会にいるわけでもないのに、よくまぁ自信満々に言えたものだと思う。
私たち世界樹ご一行は、各地を転々とし、冒険者たちにお守りと世界樹の葉を売る生活をしている。
落ち着かない生活ではあるものの、誹謗中傷もない、周りの人間がうるさく言ってこない生活は気に入っている。
おまけに、浄化作用に結界能力もあるおかげで、この国は、魔物の心配と瘴気の心配がなくなったとギルドの人たちから、感謝されることになった。
お守りも売れるし、アスランに許可をもらったので、世界樹の葉の販売もするようにしたら、元の国にいるよりも経済的に潤った生活を送れるようになった。
アスランやポン助、それから仲良し判定をもらったのか、家を作ってもらったときにお世話になった眷属たちが、遊びに来るようになったので、毎日、お酒を飲み、魚や肉を食べては騒ぐ、絵本みたいな愉快な生活をしていた。
これでおしまいと出来たらよかったのだけど、そうもいかないらしい。
教会が厳重に管理しているらしい世界樹を、私のせいで、あちこちに生やされてはたまったものではない、と教会の人間たちが押し掛けてきた。
「別にあちこちにはやすなんてことはありませんよ。そんなことできませんし」
「出来ない、やらない保証なんてありませんよね」
「いや、そんなこと言われても」
「それに神様の知り合いと言われても納得いきません。私たちは、常に神様の近くにおります。祈りを捧げ、感謝をささげているのに、なぜあなたにだけ神様の加護が与えられているのでしょうか」
…面倒くさい。嫉妬かな?妬み?気持ちは分からなくもない。
私とアスランの出会いは、偶然だったし、私が意図したものではないのだから、なんのアドバイスも出来ない。
そりゃあ、毎日、近くにいて、自分たちこそが神様の祝福を受けているのだと思っていたのに、ポッと出の娘にわけわからん力を与えていたなんて知ったら、悔しくもなるだろう。
「とにかくあなたは教会の監視を付けます。今すぐ、私たちと一緒に来てください」
「そんな無茶な…」
「これは神のご意思です」
「待ってください。一晩だけ時間をくれませんか?さすがにこのまま家の整理もしないで、出かけられません」
「そんな悠長なことできません」
「……うちにも神棚があるんですけど、神様に報告しないで、出かけたらと知れたらどうなるんだろうな~(棒読み)。もしかしたら、神託が下っちゃうかもな~(適当)」
「……分かりました。一晩だけですよ。明日の朝、迎えに来ます」
「はい。ありがとうございます」
大人しく教会に連れていかれる私だったら、元の国から逃げ出しているわけがない。
「やっぱりこうなるか…」
「世界樹を持ち運べる人間なんていると思わねぇだろ」
「わんっ」
2回目の夜逃げである。
今回は、特になにもしていないのに。どうしてこんな面倒なことをしなくてはいけないのだろうか。
「今度は、北に行ってみるか」
「温かいところがいいんだけどな」
「家があるんだから、どこでも一緒だろ」
「それはそうだけど」
今回の旅には、眷属さんたちも来てくれるらしい。
神様の知り合いばかり増えていく。
「まぁ家もらえたし…ボロボロだったけど。短かったな。滞在期間。今度はもう少し長くのんびり暮らしたい」
「じゃ、出発するか」
こうして私たちは長い旅に出た。
教会は、私たちを探し回っているようだ。
世界樹をどこでもはやすことが出来る奇跡を手に入れた!なんて、大々的に宣伝している新聞を見つけたことがあるから、原因はそれだろう。
私もアスランも、協力するなんて一言も言ってないし、教会にいるわけでもないのに、よくまぁ自信満々に言えたものだと思う。
私たち世界樹ご一行は、各地を転々とし、冒険者たちにお守りと世界樹の葉を売る生活をしている。
落ち着かない生活ではあるものの、誹謗中傷もない、周りの人間がうるさく言ってこない生活は気に入っている。
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