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「な、なにこれ!!!」

この国がくれた今にも崩れそうなボロい家が新築に建て替わっていた。

「こいつらのおかげだ」
「え?」

アスランが指さしたところには、職人の姿をした小さな人たちがたくさんいた。

「え?か、かわっ…可愛い…」
「俺の知り合いの神に頼んで、眷属たちを貸してもらったんだ。おかげで、家を建て直すことが出来た」
「あ、ありがとうございます~。持つべきものは神様の知り合い…」
「俺が酒をご馳走になってるだけだと思ってただろぅ。財布の心配ばっかりしやがって」
「ははぁ~。おみそれしました。さすが神様」

いやぁ。お酒奢っておいてよかった~。(手のひらクル~とか言われてもその通りとしか言えない)

さっそく家の中を見させてもらった。

「す、すごいっ!広い!調理場も設備艦尾してるし、今からでも住める!」
「そりゃあ、神様の仕事に手抜きなんてないからな」
「すごい!神様!すごい!」
「そうだ神様ってのはすごいんだぜ」

わいわいと、はしゃぐ私たちは、そのまま祭りで買ってきた食べ物やお酒をテーブルに置いていく。そう!テーブルも椅子も布団もあるし、なんなら、棚なんかも置いてある。
本当に至れり尽くせりで、逆に人間の生活に必要なものをよく知ってるな、と感心した。
…感心というか、神様って人間の生活に興味なんてないものだと思っているから、よくまあここまで揃えられたな、とか思う。
てっきり外見は完璧だけど、中身は空っぽの家をもらったかと思ったのに、これは嬉しい誤算。

「さぁさ。眷属様たちも食べていって飲んでいってください!いつから仕事してくれていたか存じませんが、ありがとうございます!」

おお!小さな職人さんたちが喜んでる。
よかったよかった。

「そうだ。この人たちの主人?神様にお礼を言うにはどうしたらいいのかな」
「眷属たちを喜ばせるのが一番だけどな、気になるんなら適当に神棚作って、お礼言っとけばいいさ」
「そんな適当でいいの」
「別にいいさ」

まぁ、一応神様のアスランが言うのだから、間違いはないのだろう。
簡易的な神棚を作り、お酒、お米、塩、水、お酒をお供えし、榊はないので、お気持ち程度のお花をお供えしておく。

「素敵なお家をありがとうございます。大切に住まわせてもらいます!」

一応、柏手もしておく。
…伝わったかな?

「大丈夫だって。それより、早く食おうぜ」
「わん!わん!」
「わかったって」

ポン助とアスランが服をぐいぐい引っ張ってくる。

「じゃあ、いただきます!」

それから先の記憶がない。
お酒を飲み、味の濃い食べ物を食べ、それを酒で流しこむということを繰り返していたのは、覚えている。
お酒を飲むために生きてきたんだ~という謎の幸福感に包まれながら、その辺にひっくり返ったのも、なんとなく覚えている。
そして、朝を迎えた私。

周りを見ると死屍累々と言った感じで、誰も彼もが寝そべっている。
小さないびきも聞こえる。
ぼんやりと天井を眺めながら、これからどうしようかと考える。
元の国と同じようにお守り屋をするか。
ここはギルドの国だし、教会の許可証もあるから、新しく店を構えることが出来るだろう。
アスランに頼んで、また世界樹を植えてもらって……世界樹を植えてもらうって、今考えると、すごい言葉だよね。なに世界樹を植えるって。花を植えるんじゃないんだからさ。
そりゃあギルドの人たちも疑うよ。なに、世界樹を植えるって……。

「やることもりだくさんだ~」

まぁ、しかし、生活に追われることもない今は、もう少し寝ても許されるだろう。
そして、私は二度寝を決めることにした。
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