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「世界樹を生やせるなんて力を本当に持ってるとして、国を出てきたということは、わけありか…まぁ。それもそうか…」
「信用してくれるんですか?」
「一応、教会から神託があったというんでな。最近手紙をもらったんだ」
「そ、…神託!?」

アスランのほうを見ると、パチンとウインクをされた。
い、いつのまに…。
ってか、神託ってどうやってやったんだろう。アスランがしたのかしら。

「というわけで、実は俺はお嬢さんが来ることを知ってたんだ」
「な、なんだ…じゃあ、ここまで驚かすことないじゃないですか」

そういって、周りの男たちを見る。
みんな、こちらを見て、笑っている。
馬鹿にしたような表情や態度は、演技だった、ってわけ?
部屋は、すっかりと緊張が抜けている。

「こんな、大勢で部屋で待ち構えているから、何事かと思いましたよ」
「みんな、わくわくしながらお嬢さんのことを待っていたんだよ。我先に見たいってやつらばっかりでな」
「なんですか…それぇ…」

ぐってりと上半身の力を抜く。
いや、普通に旅のときより、疲れたんだけど。
これ、私が極度の男性恐怖症だったら、どうするつもりだったんだろう。

「俺だって、初めてのことなんだから、緊張してたんだよ。なにせ、神様自ら、きちんとするように、って言ってたらしいからな。おかげで、教会の人間がずっと殺気立って、お嬢さんを待ち構えているぜ」
「教会の人がいるんですか」
「もちろん。ここにも教会があるからな」
「ギルドの国、ですものね」

ギルドの人間は、信心深い人が多いと聞く。
だからこそ、あの国のギルドの人たちに裏切られたのは悲しかったな…。
ずっと私のお守りを使ってもらって、すっかり信用されていたと思っていたのに。
あの受付嬢の冷たい目を思い出して、胸が痛くなる。
父や祖父…それよりもっと前から、あの国でお守りを作り、みんなの幸せや健康を願ってきていたが、どうやらそれはこちらの一方通行だったらしい。

「よっぽどおかしなやつか、ごりごりの聖職者が来るかと思ったら、こんな女の子一人とおこちゃまとわんころだったんだから、こっちのほうが驚いたわ」
「まぁ。たしかに」
「しかも、どこから来るのかと思えば、裏門から来たと聞いた時は、驚いたぜ。あそこの森から飛び出してくるのは、魔物かこの国を狙う人間しかいないからな」
「それはすみませんでした。入口が分からなかったものですから。それも神託出せばよかったですね」
「…お嬢さん。神託出せるのか?もしかして、割と偉い人間だったりする?」
「あ」

普通の人間は、神託なんて出せない。

「や。冗談です。冗談」
「わっはっはっ!そうだよな。まるで、神様の知り合いみたいな口ぶりだから、一瞬、ひやっとしたぜ。そんな人間、教会にもいねぇわな!」

わっはっはっ!と笑っているギルドの人たちを見ながら、知り合いっちゃ、知り合いなんだよなぁ。まさか、神様が行き倒れていたなんて、信じてもらえるわけないけど。
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