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鉱山の最深部に行くと、地竜がボリボリとせんべいでも食べるように魔石を食べていた。

「き、貴重な魔石が……!
「なんだ、おまえは」
「あなたが地竜ですね。魔石を食べるのはやめてくれませんか。それはとても貴重なもので」
「急にきたと思えば、なんなんだ。無礼じゃないか」
「あぁ…すみません。私、申し遅れました。ソニアと申します」
「名を名乗ればいいものでもない」
「あぁ…そうですよね」

意外な正論パンチに、私は心が折れそうである。
ここは人間の作った穴倉だと言っても、地竜にとっては自分の縄張りに勝手に穴を掘られたんだから、勝手にその中の物を食べても問題なかろう、という考えなんだろう。

「不躾に大変申し訳ないのですが、ここは人間たちが堀った穴でして」
「それが私に関係あるのか?」
「いや、まぁそうなんですけど」

う。やっぱり突っ込んでくるよね。

「まぁここが人間たちが作った穴倉だというのは知っていたが」
「知っていたんですか」
「いやがらせで、ここにいると言ったらどうする」
「い、嫌がらせ…ですか」
「あいつらは、急にやってきたかと思えば、こんな穴を私の許可もなく、堀ったのだ。文句を言う権利はあると思うが」
「そうですね」

この国、いろいろとずぼらというか。
先代の聖女は何をしていたんだろう。
あの5人の聖女グループもそうだけど、連携が取れてない。
…って、それは私もか。私なんて国から追い出される羽目になっただんから、人様の国に連携が取れてないって言えるほど偉くないわよね…。

「何を勝手に落ち込んでいる」
「いえ。自己嫌悪で」
「しかし、お人好しな聖女もいたもんだ。見たところ、この国の聖女ではないな」
「見て分かりますか」
「まぁな。加護も違うし」
「そういえば、ドラゴンは加護が見えるんでしたね」

普通に会話できてることに、ドラゴン系統特有の頭の良さを感じて恐ろしい。
もう少し怒り狂っているとか、遠慮なくこちらを攻撃してくるもんだと思っていたけど、こうまで冷静に言葉を返されると、ますます罪悪感がわいてくる。
最初、意気揚々と倒そうとしてすみません…。
脳筋なのは、私のほうでした。

「お前の働きによっては、この洞穴から出て行ってもよい」
「ほ、ほんとですか?」
「お前が、私の餌を持ってくればいい」
「え」

餌って、まさか。

「人間は、人工の魔石を作れると聞いたことがある。それを私に持ってくればいい」
「人工魔石!!!」

いやいやいや。
簡単言ってくれますけど、それ得意不得意に別れるやつ!
しかも、ドラゴンの胃を満足させられるほどの量って…。
石も魔力も足りないんじゃないの?

「どうした。別に私はこのままいても構わないぞ。無理にどかそうというならば、戦うつもりだ」
「いや~~~~」

この鉱山の中で戦ったら、大惨事確定じゃないか。
仮に地竜に怪我をさせても、私が怪我をしても洒落にならない。

「どうする。聖女よ」
「う~~~~ん」

私だけでは無理かもしれない。
でも、この国には聖女が他にも5人いる。
どれだけ作れるか分からないけど、魔石をぼりぼり食べられるよりは、まだ…。

「とりあえずお試しでもいいですか?」

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