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「え~~ん!もう無理だよぉお!!!」
「リリア様。泣き言を言われても困ります。これ以上、休まれると国が傾きます。魔物だって、入り込む危険性があります」
「だって…だって!リリア、今まで聖女の仕事してこなかったんだよ!?それなのに、無茶だよお!」
「ですが、聖女になるといわれたのは、リリア様でしょう」
「んんんんんむうううううう!!!!」

リリアは、泣いていた。
結構、本気で。
しかし、誰も助けてくれない。それはそうだ。この状況はリリア自身が招いたことだ。邪魔な姉を追い出し、自分がその椅子に座るために、聖女になったのだ。
しかし、聖女の仕事が、ここまで大変なものだったとは思わなかった。
おかげで、リリアの美しい顔は、少しだけ陰りを帯びていた。
大好きなお化粧も髪も整えられず、風呂にだって三日は、入っていない。
おかげで、体中がかゆくてしかたなかった。
せめて、お風呂にだけは入らせてくれと頼んでも、誰も聞く耳を持たなかった。
リリアの風呂より、結界を張るほうが、最優先事項だからだ。

姉のソニアが張った結界は、いまだ衰えを見せていない。
おかげで、国の周囲に瘴気の影も魔物の姿も未だないのは、奇跡だった。
しかし、いつまでもいない人間の力だけを頼るわけにはいかなかった。
国の周囲にある結界だって、張りなおさないといけない。

しかし、いまだにリリアは結界を満足に張ることが出来ずに苦戦していた。
国が大きすぎるのだ。
王城くらいであれば、リリアの力だけでも覆える。
しかし、国一つを覆うには、リリアが気絶するほど力を使っても難しい。
それを維持するなんて、とても無理だった。
しかし、それでもやってもらわなくてはいけない。
なぜなら、リリアはこの国の聖女になったのだから。

「お姉ちゃん…帰ってきてよぉ…」
「何をいまさら。ソニア様がこの国に帰ってくることなんてありませんよ。あるとしたら、この国が帝国の手に落ちた時くらいではないでしょうか」
「じゃあ、とっとと落ちればいいじゃない!こんな国、誰が治めようと変わらないんだから!」
「リリア様」

誰もリリアのことを聖女様と呼ばない。
それはそうだ。
リリアは、聖女の仕事ができないのだから、呼べるはずもない。
それがまたリリアにとって屈辱だった。

あんな不細工よりも私のほうが、力で劣るってこと?
あんなブスに!あんなに不細工なのにっ!!!!

ここにソニアがいれば、聖女は顔じゃないのよ…と突っ込みを入れていただろうが、ソニアはいない。

私だって、聖女なのに。
こんなに可愛いのに。
聖女として、完璧なのに、どうして、あんなブスにできて、私にできないのよっ!!!

ソニアと同じように、徹夜続きの脳みそは、次第にソニアのことを敵と認識するようになった。

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