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「皆さんも、どうでしょうか?もう一度だけ、チャンスを差し上げると言ったら。今度こそ、この国を、この国に住む皆さんを守る意思はありますか?」

私が、この提案をすると、リーダー格の人だけは不満そうな顔をしていたが、それ以外の聖女は喜んで「もちろん。頑張ります!」と元気よく返事をした。
よほど、彼女たちだけの旅が過酷だったのかもしれない。
確かに彼女たちの服装は、ぼろぼろだし、顔も汚れているし、髪だって、何日か洗っていないのか、油ぎっていて、光沢を失っていた。
本当に魔法が苦手らしい。
生活魔法くらいは、できてもよさそうなものだが、聖女の力に集中しているのだろう。
別に珍しいことではないが。
聖女という能力は、守ることに特化している人間が、多いから、私のように攻撃もできる聖女のほうが珍しいといわれている。

とは、言っても私だって最初からできたわけではなく、修行や練習の積み重ねで、こうなったので、それを才能がある、と一言で済まされると、物言いたくなる気持ちはある。

「なによ。偉そうに」
「……」
「なにがチャンスを差し上げる、よ。あなた、この国の人間でもないくせに、どこ目線よ。ふらっとやってきて、私たちの立場を奪ったのは、あなたじゃない。それなのに、なにがチャンスよ。もともと、私たちの席よ、そこは」
「……」

王子が、何か言おうとしているが、静止してもらう。
彼女の言葉は、まぁ最もだ。
最初から、国をきちんと守っていれば、の話だが。

「それなのに、なにが慈悲?あんたは、おいしいとこどりをしているだけじゃない」
「それもその通りですわね。じゃあ、一緒に炭鉱で働きますか?」
「な!?そ、それは嫌に決まってるでしょ…」
「じゃあ、もう一度、この国で聖女を」
「私、嫌です!」
「は?」

私が、続けようとして、急にさえぎってきたのは、若い聖女だった。
私の妹より、もっと若いだろうか。
この聖女グループで、最年少なのだろう。

「わ、私…この人にいつも命令されてきました。それなのに、この人は、全然仕事をしてくれないし…何か言えば、私なんて簡単に追い出せると、いつも脅してきて」
「な、なに言ってるのよっ!?」

なんか知らんけど、暴露大会始まったな。
いろいろと我慢していたことがあったらしい。
これを機に、この人を追い出すチャンスと思っているのかしら。

「私もです。いつもいつも、私たちに仕事を押し付けて、自分だけイベントがあるときだけ、出席して、手柄を独り占め」
「今回だって、私たち、本当はこの国を守るつもりでした。でも、この人が無理やり…」

女グループの嫌なところを煮詰めたような場面だな。
聖女というと、きれいなイメージがあるけど、こういうところはやっぱり変わらないのね…。
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