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しおりを挟む5人の聖女たちが、今にも私を殺さんばかりの目で、にらみつけてきている。
内心、こえぇぇ…と思いつつも、外面は、にっこり笑顔で聖女の皆さんと対峙した。
だてに元の国で、にらまれながら聖女をしていない。
面の皮だけは、厚いのだ。
「まぁ。そんなに殺気立たないでくださいな。私は、ただ隣国が瘴気に覆われているという噂を聞き、駆け付けたまでです。国は違えど、同じ聖女。世界を瘴気や魔物から守るという自身の使命に従ったまでです」
「あんたが、そんな他国のことも気にかけるような、心優しい聖女だなんて、知らなかったわ」
「そうですか?今までは、確かに自国のことで精いっぱいでしたが、もともと周辺の村も守っていましたし」
「なにそれ。自分は、これだけできますよアピール?」
「うっざ。だから、この国も私が守ってあげますよってか?気持ち悪い。ここは、あんたの国じゃないし、あんたの加護もいらない」
よっしゃっっっ!!!
聞きたかった言葉を引き出すことができた。
私なんていらないから、とっとと国から出ていけと言いたいのだろう。
私だって、この国に長居をするつもりはない。
この国は、他国との貿易も盛んだし、清めたとはいえ、魔物の出現も元いた国とは、段違いに多い。
5人も聖女がいるのも納得できるほど、この国を守るのは、割と厳しいことである。
「ええ。ですから、私はじきに…」
「何を言っている。お前たちのほうが、この国にとっては必要ない存在だ」
「え?」
な、なに言ってんだ。この馬鹿王子!!!
さりげなく私の肩を抱いてきたが、無理やりはがす。
「まったく恥ずかしがりやだな。ソニアは」とかまんざらでもない顔で、つぶやいていたが、いや、あなたと良い仲になった覚えはありませんよ!
「な、なにをおっしゃるのですか。この国に私たちは、必要です。私たちがいなくて、だ、誰がこの国を守るというのですか」
「もちろん、ソニアだ」
「はっ!?」
う、うそやろおおおお!?
元いた国より守るのが、大変だって言ったじゃん!
「ま、まさか私たち全員を追い出すなんてことはありませんよね…?」
「もちろん全員だ」
「そ、そんな…。今まで、私たちはこの国にずっと尽くしてきました。その仕打ちがこれですかっ!?」
「お前たちの存在が、本当に必要な時、お前たちはどうした?まさか、忘れたわけではあるまい?この国が、本当に危険な状態に陥ったとき、お前たちは、いったいどうした?」
「そ、それは…」
「……」
あれほど威勢よく叫んでいた5人の聖女たちが、一斉に黙り込んでしまう。
「お前たちは、自分たちの命惜しさに逃げた。それも結界も張らずに」
「結界も張らずに、ですか!?」
「ああ。そうだ。こいつらは、もともとあまり力が強くないんだ。5人の力を合わせてもこの国の結界を作るのに精いっぱいだ」
「だから、結界を張ると逃げ出せなくなるから…」
「そうだ。こいつらは、国を民を、そして私の信頼も捨て、逃げたのだ」
「ち、違いますっ!」
5人の聖女たちも必死だ。
それも当たり前か。
5人でようやく結界を張れるというのだから、ほかの国で受け入れてもらうのは、難しいだろう。
内心、こえぇぇ…と思いつつも、外面は、にっこり笑顔で聖女の皆さんと対峙した。
だてに元の国で、にらまれながら聖女をしていない。
面の皮だけは、厚いのだ。
「まぁ。そんなに殺気立たないでくださいな。私は、ただ隣国が瘴気に覆われているという噂を聞き、駆け付けたまでです。国は違えど、同じ聖女。世界を瘴気や魔物から守るという自身の使命に従ったまでです」
「あんたが、そんな他国のことも気にかけるような、心優しい聖女だなんて、知らなかったわ」
「そうですか?今までは、確かに自国のことで精いっぱいでしたが、もともと周辺の村も守っていましたし」
「なにそれ。自分は、これだけできますよアピール?」
「うっざ。だから、この国も私が守ってあげますよってか?気持ち悪い。ここは、あんたの国じゃないし、あんたの加護もいらない」
よっしゃっっっ!!!
聞きたかった言葉を引き出すことができた。
私なんていらないから、とっとと国から出ていけと言いたいのだろう。
私だって、この国に長居をするつもりはない。
この国は、他国との貿易も盛んだし、清めたとはいえ、魔物の出現も元いた国とは、段違いに多い。
5人も聖女がいるのも納得できるほど、この国を守るのは、割と厳しいことである。
「ええ。ですから、私はじきに…」
「何を言っている。お前たちのほうが、この国にとっては必要ない存在だ」
「え?」
な、なに言ってんだ。この馬鹿王子!!!
さりげなく私の肩を抱いてきたが、無理やりはがす。
「まったく恥ずかしがりやだな。ソニアは」とかまんざらでもない顔で、つぶやいていたが、いや、あなたと良い仲になった覚えはありませんよ!
「な、なにをおっしゃるのですか。この国に私たちは、必要です。私たちがいなくて、だ、誰がこの国を守るというのですか」
「もちろん、ソニアだ」
「はっ!?」
う、うそやろおおおお!?
元いた国より守るのが、大変だって言ったじゃん!
「ま、まさか私たち全員を追い出すなんてことはありませんよね…?」
「もちろん全員だ」
「そ、そんな…。今まで、私たちはこの国にずっと尽くしてきました。その仕打ちがこれですかっ!?」
「お前たちの存在が、本当に必要な時、お前たちはどうした?まさか、忘れたわけではあるまい?この国が、本当に危険な状態に陥ったとき、お前たちは、いったいどうした?」
「そ、それは…」
「……」
あれほど威勢よく叫んでいた5人の聖女たちが、一斉に黙り込んでしまう。
「お前たちは、自分たちの命惜しさに逃げた。それも結界も張らずに」
「結界も張らずに、ですか!?」
「ああ。そうだ。こいつらは、もともとあまり力が強くないんだ。5人の力を合わせてもこの国の結界を作るのに精いっぱいだ」
「だから、結界を張ると逃げ出せなくなるから…」
「そうだ。こいつらは、国を民を、そして私の信頼も捨て、逃げたのだ」
「ち、違いますっ!」
5人の聖女たちも必死だ。
それも当たり前か。
5人でようやく結界を張れるというのだから、ほかの国で受け入れてもらうのは、難しいだろう。
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