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オーロラと話をして、少しこの国のことが分かったところで、そろそろ帰るとするか。
「それじゃあね。オーロラ。…あなた、どこかに行くの?」
「私は、少しここにいる。お前こそ、面倒にならないうちに、この国から出たほうがいいぞ。下手に関わって、この国の神にお前が気に入られたら、面倒だぞ」
「そうね。でも、この国の聖女が、もうすぐで帰ってくると思うの。だから、それまでは、この国に滞在しようと思う」
「まぁ、好きにするといい。これも社会勉強だ」
「私が、世間知らずとでも?」
「今まで、ろくに自分の国から出てこない引きこもりが、世間知らずでなくて、なんだというのだ」
「しかたないじゃない。聖女は、緊急の用事がない限り、国から離れることが出来ないんだから」
オーロラと話すことが出来て、少し気分転換になれた。
人見知りというわけではないが、やはり知らない人たちと長時間一緒にいると、気が滅入るのは、確かだから。
オーロラに頼んで、上空から、こっそりと城へと侵入する。
一応、認識阻害の魔法をかけているから、誰にも気づかれていないはず。
もしかしたら、凄腕の魔法使いがいれば、見破られてしまうかもしれないが…。
「なにやら騒がしいわね…」
―いたかっ!?
―いや、こちらにもいらっしゃらない!
―探せ!探せっ!草の根を分けてでも探し出すのだっ!
「お前が、抜け出したことがばれているらしいな」
「うそっ。少しの時間だけだよ」
「お前、ちゃんと寝るといったか?」
「……あっ!」
そういえば、王子様を寝かして、そのまま出て行ってしまったわ。
王子様がなかなか帰ってこないから、心配して部屋をのぞけば、寝ている王子。姿のない私。それで、王子暗殺の疑いをかけられている…とか?
「自分の国を守ってくれる聖女が姿を消したのだ。それは大騒ぎにもなる」
「一応、命綱だもんね。私。…いやだなぁ」
「どうした。この国にいるのは、イヤか。違う場所に行くか?」
「……」
王子様の様子と言い、少しこの国は大げさな気がする。
オーロラに人気のないところまで、運んでもらい、地上に降りる。
それから、近くにいた兵士に声をかける。
「私はこちらにいます!」
「聖女様!こちらにいましたか!」
「いたぞー!」
「聖女様が、見つかった!」
兵士たちが、どんどん増えていく。
大騒ぎになってしまって、申し訳ない。
「なにかありましたか?」
「い、いえ…。聖女様の身に何かあったのかと思いまして。お姿が見当たらなかったものですから」
「聖女様が、いきなりいなくなって、心配したのです」
兵士たちが、道を開ける。
そして、奥から、女性のメイドがやって来た。
メイド長だろうか。
年齢は、私の母より上に見える。
「聖女様の部屋に送りにいった王子が、いつまでも帰ってこないから、心配をしていたのです。部屋をノックしても返事が、返ってこないものでしたから、ぶしつけですが、私が部屋を確認させていただきました」
「は、はぁ」
「そしたら、王子だけが寝ている様子。特に毒を盛られた様子もなく、熟睡しているから、よいものの、肝心の聖女様が見つからないとあれば、心配もいたします」
「す、すみません」
「今後、こういったことは控えていただきたいものです。しかも、王子に魔法をかけるなど、言語道断」
「お、おっしゃる通りです」
「それでは、参りましょう。今後、こうしたことが起こらないように、対策として、見張りを立たせていただきますからね」
「は、はぁ…せめて、女性でお願いします」
「それは無理です。何かあっては遅い。騎士を置かせていただきます。あぁ、一応メイドもそばに置かせるので、そこはご安心ください」
身から出た錆とはいえ、人がそばにいる状態で、寝たくねぇ~。
「それじゃあね。オーロラ。…あなた、どこかに行くの?」
「私は、少しここにいる。お前こそ、面倒にならないうちに、この国から出たほうがいいぞ。下手に関わって、この国の神にお前が気に入られたら、面倒だぞ」
「そうね。でも、この国の聖女が、もうすぐで帰ってくると思うの。だから、それまでは、この国に滞在しようと思う」
「まぁ、好きにするといい。これも社会勉強だ」
「私が、世間知らずとでも?」
「今まで、ろくに自分の国から出てこない引きこもりが、世間知らずでなくて、なんだというのだ」
「しかたないじゃない。聖女は、緊急の用事がない限り、国から離れることが出来ないんだから」
オーロラと話すことが出来て、少し気分転換になれた。
人見知りというわけではないが、やはり知らない人たちと長時間一緒にいると、気が滅入るのは、確かだから。
オーロラに頼んで、上空から、こっそりと城へと侵入する。
一応、認識阻害の魔法をかけているから、誰にも気づかれていないはず。
もしかしたら、凄腕の魔法使いがいれば、見破られてしまうかもしれないが…。
「なにやら騒がしいわね…」
―いたかっ!?
―いや、こちらにもいらっしゃらない!
―探せ!探せっ!草の根を分けてでも探し出すのだっ!
「お前が、抜け出したことがばれているらしいな」
「うそっ。少しの時間だけだよ」
「お前、ちゃんと寝るといったか?」
「……あっ!」
そういえば、王子様を寝かして、そのまま出て行ってしまったわ。
王子様がなかなか帰ってこないから、心配して部屋をのぞけば、寝ている王子。姿のない私。それで、王子暗殺の疑いをかけられている…とか?
「自分の国を守ってくれる聖女が姿を消したのだ。それは大騒ぎにもなる」
「一応、命綱だもんね。私。…いやだなぁ」
「どうした。この国にいるのは、イヤか。違う場所に行くか?」
「……」
王子様の様子と言い、少しこの国は大げさな気がする。
オーロラに人気のないところまで、運んでもらい、地上に降りる。
それから、近くにいた兵士に声をかける。
「私はこちらにいます!」
「聖女様!こちらにいましたか!」
「いたぞー!」
「聖女様が、見つかった!」
兵士たちが、どんどん増えていく。
大騒ぎになってしまって、申し訳ない。
「なにかありましたか?」
「い、いえ…。聖女様の身に何かあったのかと思いまして。お姿が見当たらなかったものですから」
「聖女様が、いきなりいなくなって、心配したのです」
兵士たちが、道を開ける。
そして、奥から、女性のメイドがやって来た。
メイド長だろうか。
年齢は、私の母より上に見える。
「聖女様の部屋に送りにいった王子が、いつまでも帰ってこないから、心配をしていたのです。部屋をノックしても返事が、返ってこないものでしたから、ぶしつけですが、私が部屋を確認させていただきました」
「は、はぁ」
「そしたら、王子だけが寝ている様子。特に毒を盛られた様子もなく、熟睡しているから、よいものの、肝心の聖女様が見つからないとあれば、心配もいたします」
「す、すみません」
「今後、こういったことは控えていただきたいものです。しかも、王子に魔法をかけるなど、言語道断」
「お、おっしゃる通りです」
「それでは、参りましょう。今後、こうしたことが起こらないように、対策として、見張りを立たせていただきますからね」
「は、はぁ…せめて、女性でお願いします」
「それは無理です。何かあっては遅い。騎士を置かせていただきます。あぁ、一応メイドもそばに置かせるので、そこはご安心ください」
身から出た錆とはいえ、人がそばにいる状態で、寝たくねぇ~。
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