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神降ろしとは。
地域一帯を清浄にするために行う儀式である。
聖樹を植えることで、一定の区域に結界を張ることができるのだが、この聖樹は、穢れに弱く、浄化をさせることが苦手な性質を持っている。
外からの攻撃に強く、内側の攻撃に弱いといえば、通じるだろうか。
聖樹を植えるには、瘴気を生み出している穢木を壊す必要があるのだが、この穢木を守っている魔物を倒す必要があるのと、ある程度、周りを浄化させないといけないというのが、厄介なところである。
この穢木を守っている魔物は、冒険者の間では、「ボス」と呼ばれ、国によっては、高額な懸賞金をつけられていることが多い。
それほど、この魔物は強い上に厄介なことが多い。
瘴気は、魔物にとっての栄養だ。魔法で言うバフ効果を常にかけられているようなもので、ただでさえ、強い魔物が、瘴気の力によって、強化されているのだから、高いレベルの冒険者でさえ、死の危険性がある。国で、高額の懸賞金でもかけなければ、誰も退治しないだろう。
冒険者でもない私が、そんな強い魔物に立ち向かっても大丈夫なのかといえば、絶対に大丈夫という自信はない。本来ならば、他の国に要請して、万全の状態で挑むべきだろう。
ただ、今回は瘴気が濃すぎる。他の国の助けを待っていたら、おそらく、この国とこの土地が持たないだろう。
穢樹が育ちすぎると、今度は子どもを生む。そして、いつしか森を形成し、樹海になってしまえば、今度こそ手に負えなくなるだろう。
だから、ここは無理をしてでも「ボス」を倒し、神降ろしをしなくてはならない。
◇
「穢木がまだ一本なのが、救いだわ」
私は、オーロラの背から、国の周囲を眺めた。
ずいぶんと進行しているようだが、まだ子どもの姿はない。
「なんの魔法を放つ?」
「ここは一発、でっかいのいきましょう。聖なる柱よ・・・」
「ば、馬鹿がっ!そんなレベルのを小石を投げるみたいに放つな。少し距離をとるぞ」
「大袈裟な・・・」
確かに高レベルの聖魔法ではあるが、最高レベルというわけではない。
ちょっと空の見晴らしがよくなる程度の魔法だ。
「私に当たったら、怪我どころじゃすまないんだぞ!!!」
オーロラは、そういうと穢木から結構な距離をとった。
「もういい?」
「もういいぞ」
許可を得たので、思う存分いかせてもらおう。
「聖なる柱よ」
魔力を練り、手のひらに光輝く魔法のたまが浮かび上がる。
それを空高く、放りあげた。
玉は、みるみる上空に上がっていく。重く、暗い雲の中を光輝く玉が突き破って進んでいく。
「天の刃となり」
上空で、カッと玉が光輝き弾けた。
雲が消える。
白い光が、辺りを照らした。
オーロラが、眩しそうに目を細めていたのが、なんだか可愛らしい。
「その地に杭を」
玉は、巨大な柱となって地上へ突き刺さった。
「聖なる柱」
高レベルの聖魔法だ。広範囲、高威力の文句なしの魔法なのだが、危険認定されている魔法のひとつである。
というのも、澄みきりすぎた水に魚が住めないように、いかに聖魔法といえど、高いレベルのものは、人に害を及ぼしてしまうと言われている。
私は、仮にも聖女なのでなんの問題もないのだが、人によっては猛毒になってしまうらしい。
というわけで、よほどのことがない限り、禁止されている魔法だが、まぁ、事が事だし、周りにいるのは、魔物くらいだし。大丈夫でしょう。
地域一帯を清浄にするために行う儀式である。
聖樹を植えることで、一定の区域に結界を張ることができるのだが、この聖樹は、穢れに弱く、浄化をさせることが苦手な性質を持っている。
外からの攻撃に強く、内側の攻撃に弱いといえば、通じるだろうか。
聖樹を植えるには、瘴気を生み出している穢木を壊す必要があるのだが、この穢木を守っている魔物を倒す必要があるのと、ある程度、周りを浄化させないといけないというのが、厄介なところである。
この穢木を守っている魔物は、冒険者の間では、「ボス」と呼ばれ、国によっては、高額な懸賞金をつけられていることが多い。
それほど、この魔物は強い上に厄介なことが多い。
瘴気は、魔物にとっての栄養だ。魔法で言うバフ効果を常にかけられているようなもので、ただでさえ、強い魔物が、瘴気の力によって、強化されているのだから、高いレベルの冒険者でさえ、死の危険性がある。国で、高額の懸賞金でもかけなければ、誰も退治しないだろう。
冒険者でもない私が、そんな強い魔物に立ち向かっても大丈夫なのかといえば、絶対に大丈夫という自信はない。本来ならば、他の国に要請して、万全の状態で挑むべきだろう。
ただ、今回は瘴気が濃すぎる。他の国の助けを待っていたら、おそらく、この国とこの土地が持たないだろう。
穢樹が育ちすぎると、今度は子どもを生む。そして、いつしか森を形成し、樹海になってしまえば、今度こそ手に負えなくなるだろう。
だから、ここは無理をしてでも「ボス」を倒し、神降ろしをしなくてはならない。
◇
「穢木がまだ一本なのが、救いだわ」
私は、オーロラの背から、国の周囲を眺めた。
ずいぶんと進行しているようだが、まだ子どもの姿はない。
「なんの魔法を放つ?」
「ここは一発、でっかいのいきましょう。聖なる柱よ・・・」
「ば、馬鹿がっ!そんなレベルのを小石を投げるみたいに放つな。少し距離をとるぞ」
「大袈裟な・・・」
確かに高レベルの聖魔法ではあるが、最高レベルというわけではない。
ちょっと空の見晴らしがよくなる程度の魔法だ。
「私に当たったら、怪我どころじゃすまないんだぞ!!!」
オーロラは、そういうと穢木から結構な距離をとった。
「もういい?」
「もういいぞ」
許可を得たので、思う存分いかせてもらおう。
「聖なる柱よ」
魔力を練り、手のひらに光輝く魔法のたまが浮かび上がる。
それを空高く、放りあげた。
玉は、みるみる上空に上がっていく。重く、暗い雲の中を光輝く玉が突き破って進んでいく。
「天の刃となり」
上空で、カッと玉が光輝き弾けた。
雲が消える。
白い光が、辺りを照らした。
オーロラが、眩しそうに目を細めていたのが、なんだか可愛らしい。
「その地に杭を」
玉は、巨大な柱となって地上へ突き刺さった。
「聖なる柱」
高レベルの聖魔法だ。広範囲、高威力の文句なしの魔法なのだが、危険認定されている魔法のひとつである。
というのも、澄みきりすぎた水に魚が住めないように、いかに聖魔法といえど、高いレベルのものは、人に害を及ぼしてしまうと言われている。
私は、仮にも聖女なのでなんの問題もないのだが、人によっては猛毒になってしまうらしい。
というわけで、よほどのことがない限り、禁止されている魔法だが、まぁ、事が事だし、周りにいるのは、魔物くらいだし。大丈夫でしょう。
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