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扉は、閉められた。
こき使われ、ぼろぼろの姿。
とても聖女とは、思えない女。
こんな田舎で聖女をし、あきらかに心身疲れ切っているにも関わらず、まだこの国の聖女をしたいと思う変わり者。
ふむ。
おもしろいな。
「殿下。諦めるつもりですか」
「そんなわけがないだろう。それより、出しゃばりすぎだ。明らかに引いていただろ」
「も、申し訳ございません。ですが、彼女の力は、異常です。すぐにでも引き抜くべきです」
「わかっている。だが、ことを急いでは、しくじる。まだ、あいつは奥の手を隠し持っている可能性がある。変に刺激するのは、避けたい」
「わかっていますが…。あぁ、素晴らしい。この国をすべて一人で守っているだなんて、そんな力、ありえない」
「うちのだと、…ルナならいけるか?」
「いえ。うちの子でも難しいでしょう。一人で、国を覆えるほどの大きさの結界を張り、それをずっと保つなど、人間業ではない」
「では、まさに選ばれた人間。神業だな」
「素晴らしい。こんな人間が、こんなところにいるとは。あぁ。しかし、ずいぶんとぼろぼろでしたな。あれなら、少し甘やかせば、すぐに落ちるでしょう。なんといっても女。しかも、まだ若い。様子を見ていましたが、外の世界や甘やかされることを知らない女だ。きっと、帝国に来れば、あの考えも変わります」
「そうだな。愛国心は、素晴らしいが、それはうちに向けてほしいものだ」
冷めたお茶を見下ろし、魔法で温める。
安い茶葉だ。これが、俺に出すレベルなど、ふざけているにも程がある。
おまけに保温魔法もかけられていない。
これが、ほかの国なら考え物だが、あの聖女のことを考えると、我慢してやろうという気になる。
帝国の王子を我慢させるほどの価値があるというのに。
この国は、あの聖女の価値を知らなすぎる。
普通ならば、国家機密レベルだ。
王も王だな。
いくら帝国の王子だからと、自国の秘密兵器と会わせるなど、能がない。
俺なら、絶対に会わせない。
大事に囲って、誰にも見られない奥の部屋に隠しておく。
こんな国で、頑張れるような女だ。
大切に扱えば、きっと俺のために、神に与えられた力を存分にふるうことだろう。
そして、俺の国は、ますます強く、繁栄していく…。
「妹のほうは、どうだ」
「だめです。あれは使い物になりません」
あのパーティーのあと、どうしてもというので、実力をこいつに見させた。
ダメだったらしい。
聖女殿は、えらく才能を買っていたが、身内びいきか。それとも洗脳に近いのかもしれない。
この国の王子も、やけに押していたしな。
いくら、小さいころ出来ていても、そこまでの人間だったというのは、珍しくない上に、努力もしないのであれば、いくら才能があろうと腐るのは、当然だ。
「結界を張ることも出来なかったときは、笑ってしまいましたよ」
「ぶはっ!…本当か!それは。それでは、聖女ですらないではないか…」
あの妹に、聖女など務まらない。
それをあの聖女が知らないうちに、俺の帝国へ連れていく。
お優しい聖女。きっとそれを知れば、この国から一生出ないだろう。
それでは、困るのだ。
「早く俺のものになってくれ」
こき使われ、ぼろぼろの姿。
とても聖女とは、思えない女。
こんな田舎で聖女をし、あきらかに心身疲れ切っているにも関わらず、まだこの国の聖女をしたいと思う変わり者。
ふむ。
おもしろいな。
「殿下。諦めるつもりですか」
「そんなわけがないだろう。それより、出しゃばりすぎだ。明らかに引いていただろ」
「も、申し訳ございません。ですが、彼女の力は、異常です。すぐにでも引き抜くべきです」
「わかっている。だが、ことを急いでは、しくじる。まだ、あいつは奥の手を隠し持っている可能性がある。変に刺激するのは、避けたい」
「わかっていますが…。あぁ、素晴らしい。この国をすべて一人で守っているだなんて、そんな力、ありえない」
「うちのだと、…ルナならいけるか?」
「いえ。うちの子でも難しいでしょう。一人で、国を覆えるほどの大きさの結界を張り、それをずっと保つなど、人間業ではない」
「では、まさに選ばれた人間。神業だな」
「素晴らしい。こんな人間が、こんなところにいるとは。あぁ。しかし、ずいぶんとぼろぼろでしたな。あれなら、少し甘やかせば、すぐに落ちるでしょう。なんといっても女。しかも、まだ若い。様子を見ていましたが、外の世界や甘やかされることを知らない女だ。きっと、帝国に来れば、あの考えも変わります」
「そうだな。愛国心は、素晴らしいが、それはうちに向けてほしいものだ」
冷めたお茶を見下ろし、魔法で温める。
安い茶葉だ。これが、俺に出すレベルなど、ふざけているにも程がある。
おまけに保温魔法もかけられていない。
これが、ほかの国なら考え物だが、あの聖女のことを考えると、我慢してやろうという気になる。
帝国の王子を我慢させるほどの価値があるというのに。
この国は、あの聖女の価値を知らなすぎる。
普通ならば、国家機密レベルだ。
王も王だな。
いくら帝国の王子だからと、自国の秘密兵器と会わせるなど、能がない。
俺なら、絶対に会わせない。
大事に囲って、誰にも見られない奥の部屋に隠しておく。
こんな国で、頑張れるような女だ。
大切に扱えば、きっと俺のために、神に与えられた力を存分にふるうことだろう。
そして、俺の国は、ますます強く、繁栄していく…。
「妹のほうは、どうだ」
「だめです。あれは使い物になりません」
あのパーティーのあと、どうしてもというので、実力をこいつに見させた。
ダメだったらしい。
聖女殿は、えらく才能を買っていたが、身内びいきか。それとも洗脳に近いのかもしれない。
この国の王子も、やけに押していたしな。
いくら、小さいころ出来ていても、そこまでの人間だったというのは、珍しくない上に、努力もしないのであれば、いくら才能があろうと腐るのは、当然だ。
「結界を張ることも出来なかったときは、笑ってしまいましたよ」
「ぶはっ!…本当か!それは。それでは、聖女ですらないではないか…」
あの妹に、聖女など務まらない。
それをあの聖女が知らないうちに、俺の帝国へ連れていく。
お優しい聖女。きっとそれを知れば、この国から一生出ないだろう。
それでは、困るのだ。
「早く俺のものになってくれ」
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