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『敵戦力の撤退を確認。結界も張り終え、戦闘は、終了しております。ご安心ください』
「し、しかし、我が国に敵のスパイが潜り込んでいる可能性があるだろう!安心など出来るか!」
『いえ。新たな魔力紋の検知はありません。新しい魔力紋は、お城にいる殿下たちだけです。仮に自国の民がスパイの可能性もありますが、殺気を感知すれば、即座に分かりますので、とりあえずはご安心ください』
「は?」

お姉さまが、なにやら呪文みたいなのをべらべらしゃべってる。なに。よくある専門用語をまくしたてて、自分仕事出来ますアピール?ってか、魔力もん?なにそれ?聞いたことないし、絶対お姉さまが適当言ってるんだわ。
現に殿下も周りの側近どもも、目を丸くしているし。
あんな電波女のことなんて、無視して、こっちは貴族らしくパーティーだけしていればいいわ。

「で、でんかぁ…終わったみたいですし、パーティーの続きを」
「お前は、魔力紋の感知が出来るのか?」
『?一応』
「ば、ばかな…嘘をつけ…魔力紋が感知できるなど…そんなことが出来るなど…」
「殿下?」
「聖女殿。声だけの出会いでは、あまりにも寂しい。良ければ、俺と話をしないか」
「で、殿下!?」

なに言ってるの?!この私を差し置いて、電波女とお話しがしたいですって?この男どうかしてるんじゃないの?

「殿下。お姉さまなんかと私とお話ししましょうよ!」
「…聖女殿とお前は、姉妹なのか?」
「はい」
「では、お前も魔力紋の検知が出来るのか?」
「魔力紋?えへへ。リリア、そういうのよくわかんなぁい」
「…はぁ」
『…殿下。申し訳ありませんが、今は民や兵士の治療が最優先ですので、ご容赦ください』
「そうか。そうだったな。すまない。もともとは、俺のせいで」
「そんなことありません!殿下のような選ばれた人間には、危険がつきものなのです!私は、そんなことで、殿下のそばを離れません!」

私は、そう言って、殿下の腕に抱き着く。
これで、好感度アップね。
弱ったところにあたたかい言葉と体を押し当てれば、みんなコロッといくもの。

「… … …」
『うちのが、ご迷惑をかけているようで、申し訳ございません。リリア。その方は、お前が気安くしていい方ではありません。即刻、離れなさい』
「なに。お姉さまったら、嫉妬してんの?いいから、お姉さまは、民やら兵士やらを癒してれば?」
『…聖女様!こちらに、がれきに押しつぶされたものがおります!至急、こちらへ…』 

お姉さまの声の後ろからは、ワーワーと騒がしい。
どうせお姉さまの自作自演だろうけど。
あぁ。痛い痛い。
お姉さまは、忙しいふりをするのが、大好きだから。

『…わかりました。…あなたの言う通り、私も忙しいので、声だけで申し訳ありませんが、失礼いたします』
そう言って、光の玉は。パチンとはじけた。 
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