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「さっきの声は、誰だ?」
「我が国の聖女です」
「そうか。あの声が噂の…。とても優秀だと聞いている」
「ええ。とても優秀な子ですよ」
「そうか…。それは、うらやましい」
「で、殿下…実は、私も聖女なのです」
「… お前は」

殿下が、私を再度見つめる。
ここは、アピールポイントね!

「そうです。リリアは、とても美しい聖女なのです」

うちの王子様も援護してきた。
おそらく、俺の聖女はすごいんだぞって、マウントとってるつもりなんだろうけど、いいわよ。その調子。どんどん褒めなさい。

「ええ。リリア様は、とても美しい」
「見てください。この髪や肌を。さすがは、聖女というだけあって、輝いています」
「…王よ。この者たちは」
「ああ。わかっている。私もこの件については、頭が痛い。見苦しいものを見せてしまって、申し訳ない」
「あなたも苦労しているのだな」

王様と殿下がなにやら、ぼそぼそ言ってるけど、関係ないわ。

「殿下!私は、とても優秀なのです」
「そうか。それで、お前は何をしている」
「え?」
「同じ聖女が、戦っている最中にお前は何をしている」
「え?」

何を言っているのかしら?

「なにって。殿下とお話ししています」
「…はぁ」

なんでため息をつかれなきゃならないの?
美形だからって、こちらを馬鹿にしていいと思っているのかしら。
やっぱり男が権力を持つと駄目ね。
偉そうになるばかりで、こちらを馬鹿にしてくるんだもの。
この王子さまは、違うと思ったのになんだかがっかり。
まぁ、ため息をつく姿もかっこいいし、私は寛容な女だから、別にいいけど。

「お前は、戦わないのか?」
「殿下こそ、戦わないのですか?」

殿下の目が、すっと細くなる。
色気が増して、とてもかっこいい。
ふふ。私に図星を刺されて、痛くなったのを隠しているつもりなんだろうけど、無駄よ。私には、なんでも分かっちゃうの☆

「戦いませんよね?殿下がいるせいで、戦いが起こっているのに、殿下はこの城から出ない。戦えないから。違いますか?」
「おい、小娘。殿下になんという無礼」
「うるさい!あなたは、黙ってなさいよ。私たちは、戦わなくてもいい存在なんですもの。だって、守られるべき存在だから。だから、私は戦わない。殿下も戦わない。そうでしょう?」
「…ふん」

殿下が、私の言葉に何も言えずにそっぽを向いた。拗ねてるんだわ。かわいい。

「なら、俺が戦えば、その減らず口もなくなるか」
「は?」
「で、殿下…!?」
「そこの女が言う通り、俺のせいで起こった戦いだ。罪もない民が、けがをしているとあれば、俺が隠れているわけにはいかない。行くぞ」
「お、お待ちください!ここで、なにかあったら、王がなんと言われるか」
「うるさい。あそこまで言われて、黙っていられるか」
「待たれよ。オスカー殿。そちらのものが言う通り、ここであなたに怪我でもされたら、外交問題になるだろう。賢い貴殿なら、わかるだろう」
「なら、ここで待てというのか」
「そうだ。おそらく、あの子がじきに」
『お待たせしました。終わりました』
「は?」
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