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2章
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「じゃあ、やっぱり女神様が私のお願いを聞いてくれたんですね」
「お願い?」
「ええ。歴代の聖女を哀れに思うなら、その証拠を見せてくださいってお願いしたんです」
「それで、なぜ神殿が崩れることになるんだ?神殿が崩れてしまったら、女神を崇めることも難しいだろう」
「だからじゃないでしょうか」
王子は、私の言葉に眉を上げた。
口元が、少し笑っている。
「女神様が、神殿が崩れることをお望みだとでもいうのかっ!」
「どういうことだ?」
「聖女って労働条件過酷すぎますよね。人権がないというか…もう奉仕活動通り超えて、奴隷というか…」
「何を言っている!聖女になれることに意味があるのだっ!それに対して、文句を言うやつはみな、不敬だ!」
「失礼ですが、聖女の中に若くして命をなくした方って多いのでは?」
神官たちは、黙っている。
王子だけが「多いな」と言った。
王子の言葉に言い訳をするように神官たちが騒ぎ立てた。
「だからなんだ!聖女は女神様の元でまた修行を受けるために、若くして死んでいるのだ」
「それを過去の聖女たちが望んでいなくても?」
「そんなのはありえない!」
「修行を終えた聖女が転生し、またこの国に尽くす。これ以上の喜びはない!」
この世界、転生って概念はあるのか…。
ってか、過労死した原因の場所に、喜んで戻ってくる人が存在するなんて、本当に思っているのだろうか。だとしたら、本当に頭お花畑だな。
「だったらなぜこの国に聖女がいないのでしょう?修行を終えた聖女が、この国を愛したはずなら、聖女の一人、二人がいるはずでは?困っているから、私を呼んだのでしょう?」
神官たちは黙っている。
こいつら、困るとすぐに黙るな。
いい大人が情けない。
「では、あなたが聖女か?」
「私は…」
「いや、こいつが聖女なわけがありません!こいつは悪魔です!国を滅ぼすためにこの世界に来たのです!」
「じゃあ、元の世界に返してくれませんか?待っている家も人もいるので」
はい。また黙る。いい加減にしろ。
「この人を帰すことは出来るのか?」
「できません。そんな術式は存在しません」
「そんな馬鹿な。あなたたちが知らないだけでしょう」
「うるさい!黙れ!いい加減にしろ!お前はなんなんだ?!この世界のことを何も知らないくせに、いちいち言い返してきやがって!お前は、黙ってこちらの言うことを聞いていればいいんだ!」
「……」
王子と私が黙っている。
神官たちだけが、般若のように怒り狂って、怒鳴っている。
「そうやって、歴代の聖女たちにも接していたんですか?」
「お願い?」
「ええ。歴代の聖女を哀れに思うなら、その証拠を見せてくださいってお願いしたんです」
「それで、なぜ神殿が崩れることになるんだ?神殿が崩れてしまったら、女神を崇めることも難しいだろう」
「だからじゃないでしょうか」
王子は、私の言葉に眉を上げた。
口元が、少し笑っている。
「女神様が、神殿が崩れることをお望みだとでもいうのかっ!」
「どういうことだ?」
「聖女って労働条件過酷すぎますよね。人権がないというか…もう奉仕活動通り超えて、奴隷というか…」
「何を言っている!聖女になれることに意味があるのだっ!それに対して、文句を言うやつはみな、不敬だ!」
「失礼ですが、聖女の中に若くして命をなくした方って多いのでは?」
神官たちは、黙っている。
王子だけが「多いな」と言った。
王子の言葉に言い訳をするように神官たちが騒ぎ立てた。
「だからなんだ!聖女は女神様の元でまた修行を受けるために、若くして死んでいるのだ」
「それを過去の聖女たちが望んでいなくても?」
「そんなのはありえない!」
「修行を終えた聖女が転生し、またこの国に尽くす。これ以上の喜びはない!」
この世界、転生って概念はあるのか…。
ってか、過労死した原因の場所に、喜んで戻ってくる人が存在するなんて、本当に思っているのだろうか。だとしたら、本当に頭お花畑だな。
「だったらなぜこの国に聖女がいないのでしょう?修行を終えた聖女が、この国を愛したはずなら、聖女の一人、二人がいるはずでは?困っているから、私を呼んだのでしょう?」
神官たちは黙っている。
こいつら、困るとすぐに黙るな。
いい大人が情けない。
「では、あなたが聖女か?」
「私は…」
「いや、こいつが聖女なわけがありません!こいつは悪魔です!国を滅ぼすためにこの世界に来たのです!」
「じゃあ、元の世界に返してくれませんか?待っている家も人もいるので」
はい。また黙る。いい加減にしろ。
「この人を帰すことは出来るのか?」
「できません。そんな術式は存在しません」
「そんな馬鹿な。あなたたちが知らないだけでしょう」
「うるさい!黙れ!いい加減にしろ!お前はなんなんだ?!この世界のことを何も知らないくせに、いちいち言い返してきやがって!お前は、黙ってこちらの言うことを聞いていればいいんだ!」
「……」
王子と私が黙っている。
神官たちだけが、般若のように怒り狂って、怒鳴っている。
「そうやって、歴代の聖女たちにも接していたんですか?」
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